田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

t_ken

皆様の声 VOICE

高速道路の無料化に関する質問 

【年齢】
37

【性別】
男性

【住所】
江戸川区篠崎町

高速道路の無料化について質問です。 
ブログに書かれていたこと自体については全て同意します。ただ、無料になった場合、場所によっては激しい渋滞になることが考えられることについてのご意見はいかがですか?
個人的には都市高速と東名・名神は有料のままにした方が良いと思ってます。朝夕の時間帯だけというのもアリかもしれません。無料化すると言った場合、必ず環境・渋滞に視点をおいた反対意見が出てきますので、そうした意見に対する回答、対応方法を用意しておくことが必要だと思います。
こういった議論ができるようになったことは素晴らしいことですね。道路族、ORSE等の天下り団体は一掃して欲しいものです
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回答:タナカケン

1ヶ月ぶりの皆様の声ですが、投稿ありがとうございます。
無料化した場合の予想される渋滞についてのご質問ですね。
これも随分と過去から議論をしてきた問題です。
確か、民主党さんの案では、首都高と阪神高速は有料化を維持し続けて、他の高速道路に関しては、無料化を実現するという政策だったと思います。
つまり全面無料化論ではありません。

私は全面無料化論者です。
先ず首都高を例に考えます。
私は無料化することが、高速道路を使うことにも、また降りることにも抵抗感を無くすだろうと考えます。最近ではカーナビも発達していますから、渋滞情報により、どの道が空いているのかが一目瞭然でわかります。高速道路と一般道路が併走していることも珍しくありません。
そこで高速道路の渋滞が起こったらどうなるのでしょうか。私は自然と、意識的な方々が、一般道に降りていくと思います。また空いてきたら高速道路に乗ればいいのです。無料化してこその抵抗感の無さです。

しかし、有料化は、そのような合理的な判断を阻害してしまいます。お金を払ってしまったという価値を求める利用者は、渋滞して不合理だと思いつつも、高速道路を利用し続けて、降りようとはしません。また降りたとしても、再び乗ろうとすることに躊躇したくないとも思います。これこそ消費者心理というものです。

私はよくスーパーのレジ待ち理論と言うのですが、誰も好んで、長くレジ待ちしている列に並ぶバカはいません。普通は、空いているところ、空いているところに並んで、なるべく早くレジを通過したいと思うのです。そこには、自然と「神の見えざる手」が働いています。
無料化によって、その現象が、そっくりそのまま期待できます。

ただし、その前提としては、併走する一般道があるということと、入口ではなく、出口が各所にたくさんあるということが必要でしょう。
首都高の出入り口は、短い距離でたくさんありますので、心配はしていませんが、東名などの高速道路の場合、長期渋滞した場合、高速道路を出たくても出られない心配もあります。

中長期的には、当該自治体の財政的負担も求めながら、もっと短い距離でたくさんの出入り口を作るのがよろしいでしょう。それが解決法につながります。
ですから、当面、東名などでの渋滞発生については、無料の道路だからとあきらめてもらうしかありません。有料制であっても、渋滞するときは渋滞するのです。利用者の皆さん、等しく我慢とお願いしたいものです。そもそも今までは、お金を取られている有料制だからこそ、怒りもするでしょうが、無料化ならば、多少は、怒りも静まることでしょう。

高速道路のような公共物の使命は、採算性を追求する以前に、より多くの人たちに安全に安心して使ってもらうことなのです。その本分を忘れて、採算性を重視したり、値上げによって需給を調節しようとするのは、いかがなものかと思います。
多くの利用者が使用しての渋滞ならば、それを一時的には甘んじて受け入れて、中長期的には、道路の拡幅などにより、少しずつ、そのような現象を緩和していくことに努める方が良いでしょう。

環境派からの反対についても経験ずみです。
私は大学生の時から、この主張を展開してきましたが、環境を重視する後輩から、理論的にはわかるけど、高速道路を利用することで、(建設を促進することで)森林が伐採され、排気ガスが多く出され、環境に逆行することには反対です。だから有料制を支持します。こう言われたことがありました。
環境派の彼女が考える環境的な主張もわかります。とても重要な視点です。ただし、環境原理主義的な発想は「人間がこの世の中からいなくなれば、もっとこの地球は緑多い星になる」という理想を底辺に宿しています。
理想には一定の理解も示しますが、私がその考え方を採用することはありません。環境と人間社会が追究する利便性は、その調和こそが重要なのです。利便性一辺倒だけでもダメでしょう。同時に、環境一辺倒でもダメでしょう。

私はむしろ無料化こそが、政治力学的に考えて、無理な高速道路の建設に歯止めをかけることになると思います。今までのことを思い出してください。有料制が維持されていたからこそ、捕らぬ狸の皮算用で、採算性の低い有料道路が安易に造られてきたのです。本四架橋しかり、東京湾横断道路しかりです。
無料化が、環境を破壊するのではなく、有料制こそ、本来作らなくても良かった高速道路を造り続けてきたと言う意味で、環境を破壊してきたのです。

無料化されれば、多くの車が通行して、排気ガスが多くなり、環境を破壊するではないかというご指摘も以前からいただきました。これは時間の経過と共に、科学が解決してくれるだろうと期待しています。その後押しをするために、政治は、排気ガスに対して、厳しい規制をし続けていくことがよろしいでしょう。現に、日本の排気ガス規制は、世界で一番厳しいものだと聞き及んでいます。その方向性は正しく、ますます厳しくすることで、排気ガスを無害化させるような科学技術は発展していくのだと思います。その開発コストは、少しずつ製品に上乗せされて、消費者である国民がそれを負担していくのです。
今すぐには無理でしょうが、中長期的に見れば、決して無理な話では無いと思います。そうなれば、何台の車が通行しようが、環境に与える負荷は小さなものになっていきます。

あと最後に。制度、ルールはシンプルな方がいいです。無料化と言えば、完全無料化しかありません。
一部無料化論は、有料化を支持する者達からすれば、その突破口から、実質的に無料化を骨抜きにする術をいくつも開発するでしょう。面従腹背による総論賛成、各論反対という対応です。

官僚が考える大人社会はしたたかですから、形式無料化、実質有料化などという芸当は、彼らにしてみれば、得意中の得意だと思います。そのように官僚の裁量権に有料制の枠を残しておくことが、私にはとても危険に思えます。ここはスッキリキッパリと、完全無料化でいきましょう。

2009年07月16日