田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
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日刊田中けん

呉子 図国篇 部下の無能を悲しむ

 あるとき、朝廷で会議が開かれたが、誰一人として武候よりすぐれた意見を出す者がいなかった。退出するとき、武候は、どうだと言わんばかりの顔である。

 それを見て、呉起が進み出た。

「恐れながら申し上げます。昔、楚の荘王が臣下と会議を開いたところ、誰一人として荘王より優れた意見を出した者がおりません。政務を終えて退出するとき、荘王の顔にはありありと失望の色が浮かんでいました。それを見て、申公という重臣が『なぜそのような顔をなさるのか』とたずねたところ、王は、こう答えたということです。
『"どのような時代にも聖人はおり、どのような国にも賢者はいる。それを見出して師と仰ぐ者は王者となり、友として迎える者は覇者となる"というではないか。わしはもとより至らぬ身である。ところが今、群臣ことごとく、そのわしにさえ及ばぬことがわかった。これでは、我が国の前途が案じられてならぬ』
 荘王はこのように臣下の無能を悲しんだのです。しかるに、あなたはそれを喜んでおられる。わが国もこの先どうなることか。心配でなりません」
 さすがに武候もみずからの不明を恥じる気配であった。

2023年06月10日