海外から学ぶまちづくり
今回のスペインの旅では、マドリッド郊外(中心部から電車で30分位)へ行く機会がありました。
自家用車から判断して、特別高級住宅地とは思えない普通の住宅地でしたが、町並みに関しては、日本の高級住宅地に勝るとも劣らない閑静な住宅地でした。
取得費用はわかりませんが、住宅地の質という面だけを見れば、そのコストパフォーマンスは、一見してスペインの住宅地の方が高く感じます。
名所旧跡ばかりを見てしまう典型的な旅行者にとって、郊外の住宅地を見る機会は、ありそうでないものです。何気ない住宅地の観察であっても、地元自治体との違いをまざまざと思い知らされます。
そこから言えることは、江戸川区が将来、どのような町並みを作っていくべきなのか、その方向性なのです。
それを一言で言えば、
「価値ある住宅地の創造」となります。
具体的には、どのようなことを気をつけて、街作りをすべきなのでしょうか。
① 高すぎる建物は建てない。
② どの道にもしっかりとした歩道をつける。
③ どんな道であっても、一番端の車道は、当たり前のように駐車スペース(車庫としての活用ではなく、外来用の目的として)
私はこれまでも都市の過密が良くないとして、ゆとりある都市空間を作るべきだと訴えてきました。
しかしそのような町は、理想を掲げることによって実現すると言うよりは、個別具体の目標を設定して、それに向かって街作りをした結果得られる成果であると思うわけです。
江戸川区に限らず、日本の人口は確実に減ってゆきます。個人がどれほど努力しようとも、国や自治体がどれほど、出産奨励政策に力を入れようとも、大幅な移民受け入れ政策でも実行しない限り、日本の人口は減り続けます。
私はそれが一概に悪いこととは思いません。むしろこの機会にしっかりとした質が高い街作りをすべきだと思います。
質が高い町を作ると主張すると必ず「貧乏人が住めない町を作るのか」とお叱りをいただきます。
ではその「貧乏人」は、50平米の家と100平米の家があって、家賃や立地など、他の条件が全く一緒でも50平米の家に住むのでしょうか。
このままでは、家があっても住む人がいない、部屋があっても借りる人がいないゴーストタウンに江戸川区がならないとも限りません。
これまでの江戸川区は、「より多くの人が住める町」を意識的に作ってきました。そのために住宅の質を下げてしまったのです。一度下げてしまった質はなかなか上げられません。住宅の質を下げる。だから、単価が安い住宅ができる。それによってより多くの住民が移り住む。過密住宅地ができあがる。過密住宅によって、更に質は下がる。このような構造的な悪循環をたどってきたのです。
しかし、これからは違います。江戸川区のブランド化をはかりつつ、住んでいる人たちが真に住みやすい、住民の満足度が高い町を作ってゆきます。
人口減少期にだからこそできる「より少ない人がゆとりを持って住める町」を意識的に作ってゆきましょう。
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2009年05月04日