千載一遇のチャンスで凡打した民主党の代表選
民主党の新しい代表が、鳩山由紀夫氏に決まった。
あらためて言うまでもなく、民主党は結党時からして、自民党から政権奪取を至上命題として義務づけられた政党である。それを可能にするためには、より多くの有権者の支持が必要であるにも関わらず、なぜ民主党は、国会議員だけで代表を選ぶような愚行を行ったのだろうか。
折角、民主党だけに注目が集まった代表選挙である。もっとたっぷりと時間をかけて、民主的な議論を深めていく過程で、より多くの国民に支持を訴え続ける手法があったのではなかろうか。
代表が突然辞任するというハプニングがあったにせよ、そのように、いついかなる時でも代表が辞任することもあるとの想定の下、代表戦における民主的なルール作りをしなければ、その選び方からして、民主党は国民の失望を買う。
かつて自民党総裁の選び方を密室で決めていると批判した民主党は、選挙とは名ばかりの出来レースによって、自らの代表を決めてしまった。これでは、自民党から政権を取ろうとする政党としては迫力不足であり、正直、信任するに値しない。
政権交代とは、それほどまでに難しい所行である。野党がどんなにがんばっても、与党に落ち度がなければ、政権交代などは起こりえない。与党に落ち度があっても、野党に同様の落ち度があれば、やはり政権交代など起こりえない。
私はこの様な与党と野党の関係を、野球における投手と打者の関係に置き換えて説明している。
投手がいい玉を投げたときは、どんな名打者でも打てない。
投手が失投したとき、はじめて打者は打つことができる。
しかし、その打者の能力が低ければ、失投であっても打つことはできない。
政権交代という高見を望むのならば、尚更、足元の党内民主主義を徹底し、国民が注目する代表戦を行うべきではなかったのだろうか。
「急がば回れ」ということわざがある。政策はどんなに素晴らしいことを言っても、政権与党にならなければできないことも多い。
しかし、党内民主主義の徹底は、民主党に集う人たちの情熱だけで実現できる。今は地道な党内民主主義の確立に全力を挙げ、愚直にそれを実行することが、強いては政権交代への近道になるのでは無かろうか。
今回の代表戦。確かに注目はされたが、民主党が自民党とは違う、真に民主的で、国民、党員に開かれていて、たっぷり時間をかけた議論を通じて世論と対話していくような演出がなぜできなかったのか、とても残念だ。とても今の自民党では、このようなことまではできないと、自民党関係者を思わず唸らせるような代表戦を戦って欲しかった。
衆院選挙はまだ始まってもいないが、もしも政権交代が実現できないようであれば、足元の代表戦の運営から、党のあり方を見直していくことが必要なのは言うまでもない。
「物事の本質は細部に宿る」ともいう。
まだまだ発展途上の政党には、党内的な課題も多い。
政権交代の可能性は、まだまだ私には見えてこない。
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2009年05月17日