田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

国民の軍隊

 かつて田中秀征氏は、自衛隊のあり方について、だいたい以下のようにおっしゃっていました。
 「徴兵制は、現代の日本においては、その歴史的経過から考えて、とても許されることではない。しかし、職業軍人だけで構成される軍隊と、一般国民によって構成される軍隊とでは、一般常識が働くという意味で言えば、後者の方が望ましい。ここで言う一般常識とは何かと言えば、たとえどのような状況になっても、決して国民に対しては銃を向けない軍隊になると言うことだ」

 柳田邦男は著書「この国の失敗の本質」の中で、「薬害」や「もんじゅ事故」の反省から、この国を失敗から救う手段として「素人が前面に出るシステムの確立」と「情報公開」をあげています。

「民主主義とは、素人(=国民)による政治参加」です。

 専門的知識と高度な判断が必要とされる医療行為において、対象者となる患者が、治療の内容をよく説明を受け理解した上で、どのような治療を決断するのか、患者自身が決めるまでの行為が、インフォームド・コンセントです。
 ただし、インフォームド・コンセントが普及した背景には、専門家による独断的な判断が、結果として患者の幸せにはつながらないという反省と、治療が失敗した場合、医者が責任回避できるシステムとして機能させるという、患者の都合と医者の都合という二つの面があります。

 5月21日(木)の日記「外見は中身を凌駕する」でも書きましたが、私たち国民は、望むと望まざるとに関わらず、強大な権力を分割し、その一部を各自の役割に応じて担わなければなりません。
 民主主義とは、ある意味、庶民にとって厳しい制度なのです。

 ナポレオンは、それまでは傭兵を主体とした軍隊から、フランス軍を「民主主義を守るための国民軍」へと変えていきました。民主主義がその発生過程において、徴兵制と深く関わっていたことは、「民主主義のため国民が権力を担う」という自立的な意識が、国民の側にも強くあったからです。
 そのためにフランス軍はとても強かったわけですが、同時に、多くのフランス国民も他国以上に死んだのです。国民がそのまま兵士になるならば、どんなに多くの兵士が死んでも次々と補充ができるのです。民主主義になって、より多くの国民が死んでいったという民主主義の負の部分も私たちは知らなければなりません。

 それにしても素人は、モノを知らない。経験もない。これは国民の姿そのものです。
 しかし「偉大なる無知者」が、権力に関わることによって、権力者の暴走を止めたり、秘密の謀略ができにくくなったり、情報の共有化によって、国民意識の底上げを図れたり、そのメリットは大きいはずです。それこそ、私の主張は柳田邦男氏の主張と全く同じです。

 さて江戸川区議会が暗黒議会であることは、周知の事実ですが、江戸川区役所も同様に、行政マンに議員に対する認識が間違っている人がいます。
 かつて高崎賢一副区長は、自分が不見識だと思う議員に対して、「勉強してください」と発言しました。
 私が、目の前にいるというのに、上田議員に対して、そのような言い方をする副区長は、そんなに偉い人なのかと、思い直したわけです。是非、他の議員さんに対しても、同様のお言葉をかけて欲しいものです。

 干渉を受けたのは、今期初当選の新人女性議員です。素人と言えば、より素人然としている議員に対する行政マンの干渉は、本質的に権力が「素人の政治参加」を歓迎していないことに由来しています
 しかし、同様な干渉は、自民党や公明党の議員に対してされたという話は、とんと聞きません。
 これこそ行政権力は、より大きな権力に対しては、従順であることの証明でもあります。
 また新人議員や弱小会派の議員に対する干渉が、しいては議会全体の権威失墜に関わったり、議会全体がバカにされていることにつながっていると感じない鈍感な議員が多いところも、江戸川区議会の実態であります。

 かつて10期も区議会議員を経験された先輩議員は、現職時代、当時まだ新人だった私に対して、次のような質問をされました。
先輩「○○ということは、どういうことなんだ」
けん「知りません」
先輩「何だおまえ、そんなことも知らないくせに議員をしているのか。そんなことも知らないならば、議員など辞めてしまえ」

 ご自身が知らないことを棚に上げて、私を非難するスタイルに当時は、違和感を覚えていました。それほどベテラン議員とは凄く、偉い人なのだと。それでも、何期も議員を経験しているその人のスタイルは、いつまで経っても「傲慢な素人」の域を出ませんでした。
 決して専門家にはならず常に素人の発言を心がけていたという意味では、貴重であったと、今だから思えることもあります。期数を重ねても止むことがない厳しい発言は、行政職員に対しても一定の効果はあったのです。
 「そんなこともわからないで、教育長なんか勤まるか。辞めてしまえ」
 このような発言も私は聞いたことがありますから。

 さて、長々と話してきましたが、素人が権力に参加することを、日本社会における全体的な合意として、もっと肯定的に受け止めるべきでしょう。かつ素人に対して、優しく接することができる権力側であって欲しいと望みます。
(いや、むしろ、そうさせなければならないのが、私たちの仕事か)
 裁判員制度しかり、議会運営しかり。(・・・・・・・・・・・・・・中長期的には軍隊も視野に入れて)

 権力を職業人だけに独占させない。分立させ、分担する。
(議員だけが政治をするのではなく)国民全体の協力と主体的な活動なくして、この国の幸せな明日はあり得ません。

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2009年05月24日