合法と違法が混在した社会
Record Chinaより
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2009年5月、レコードチャイナのライターによる個人ブログ「21世紀中国ニュース」は、ソニーが発表した新型携帯ゲーム機「PSP go」に対する中国ネットユーザーの反応を取り上げている。
以下は同ブログから。
ソニーの携帯ゲーム機「PSP」の新作が発表されました。その名も「PSP go」。日本のみならず世界中から高い注目を集めています。もちろん中国も例外ではありません。それというのも、「ニンテンドーDS」が幅を利かせる日本と異なり、中国では圧倒的なPSPの天下となっているためです。
なぜ中国ではPSPの人気が高いのか?一つには華麗なグラフィックが受けたということがあげられますが、それ以上に人気の秘密となっているのが海賊版ソフトの使いやすさ。中国では違法ダウンロードソフトが遊べるよう改造された PSPが販売されているほか、改造するサービスも各地にあります。
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海賊版ソフトが良くないことは周知の通りです。
違法コピーが良くないことも周知の通りです。
この様な正論を踏まえつつも、では海賊版ソフトを完全に無くせば、または違法コピーを無くせば、元のソフトを作っている会社は、ビジネス的に成功するのでしょうか。
私はとてもそうだとは思えないのです。
どんなに優れた技術であっても、それが普及しなければ、やがては衰退し、世の中から無くなってしまうことも珍しくありません。
DATは、カセットテープに代わる商品として期待されましたが、それほど普及することなく、一般向けの製品は発売が中止されました。
DVDレコーダーを購入したときにつきまとう問題として、デジタル放送をいかにしてコピーするかという問題がユーザーに発生します。
かつては、デジタルテレビ放送をデジタル放送として録画して、それを一度だけコピーできるコピーワンス(1回だけ、コピーができるという技術。コピーすると同時に、元のデータは消えてしまう)という規格がありました。しかし、その技術は著作権を強く保護しようとしたために、利用者の不便を強いていました。あまりにも厳しい規制は、デジタルテレビ放送そのものが普及しなくなる可能性も出てきたことから、ダビング10という新しい規格に取って代わられてしまいました。
正論は大切です。しかしビジネスは一筋縄ではうまくいきません。
海賊版ソフトや違法コピーがあったからこそ、「ハードは普及した」のようなビジネスモデルもあるはずです。
大人の社会は、建前と本音がうまく混在して、成り立っているとも言えましょう。
アニメのような商品では、ソフトとしての作品は、可能な限り、無料で見ることができます。
深夜放送として見たり、または善し悪しはともかく、違法コピーされた作品をYou Tube で見たりできるのです。
それは日本国内のみならず、海外の人たちもほぼ同時に見ることができます。
ですから、ソフトその物は、最初からそれほど利益にはなりません。1回だけの放送を見るだけならば、それは宣伝に近く、利益を出すためには、ソフトをDVDとして所有することに喜びを見つけてもらうとか、そこで使われている音楽をダウンロードしてもらうとか、または関連するフィギュアを買ってもらうとか、その漫画版、小説版を買ってもらうなど、メディアミックス(映画・TV・漫画・小説・音楽など、色々なメディアを組み合わせて、一つの商品を多元的に売り出していく商法)の中で、それぞれ少しずつ利益を出していくのでしょう。
これはまだ、ビジネスモデルとしては、確立途中でありますから、全てにおいて成功しているとは言えないでしょうが、そこには、ある程度、消費者側の「違法行為」を容認しながらも、認知度を高めていき、それをビジネスにつなげていくという、したたかな勝算が隠されていると思います。
有名な話ですが、吉本興業は、お笑い芸人の画像が、違法コピーによって、二次利用、三次利用され、インターネットを中心に公開されていることに対して、異議を申し立てていません。
それに対して、ジャニーズ事務所は、所属タレントの画像が、違法コピーによって、二次利用、三次利用され、インターネットなどで公開されることを対して、敏感に異議を申し立て、中止させています。
より多くの人に見てもらう。知ってもらうことを是とした前者の方に、ビジネスモデルとしての将来性を感じるのは私だけではないと思います。
そう。より多くの人に知ってもらう。知名度こそが、政界を制する鍵なのです。
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2009年06月10日