田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

チルドレン、または与党という考え方

 小泉チルドレンという言い方で有名になった「チルドレン」という考え方について検証する。
 主に党首や首長の主張を信奉し、その意向を議会内で推し進めようとする新人議員たちのことを言う。
 チルドレンだけでなく、地方議会には、本来あるはずがない与党、野党が存在しているという意識がある。
 ここで言う地方議会の与党とは、常に首長のやることに対して賛成する議員のことであり、そのリトマス試験紙的なもので言えば、予算に賛成する議員を与党という。逆に、首長に対して批判的に振る舞い、予算に対して反対する議員を野党という言い方をする。

 何でも首長とべったりな議員たちがいるということは、存在論としてわからなくもない。
 しかし、与党議員にしろ、チルドレンにしろ、首長の政策に議員が追認しているだけの議員ならば、その人たちは、根源的な意味で、真に議員と言えるのだろうか。
 議会内における首長の後援者であり、応援団であり、首長のスパイなのではないだろうか。
 中学生時代にならった「三権分立」という考え方における議会を構成する議員の1人として、行政とは違う議会の権能については、どのように理解しているというのだろうか。

 あらためて言うまでもなく、議会と行政は違う。行政のトップに立つ首長と議員は違う。同じ会社の上司と部下という関係ではなく、違う会社同士の社長と役員ぐらい違う。寄って立つ分野が違う。

 それにも関わらず、権力の集中を計り、議会と行政が一体となって動くことを良しとする風潮は、議院内閣制によって保証されている。しかも、本来、二元代表制であるはずの地方政治の場においても、議会と行政は一体という考え方は根強い。議会はまるで、行政の補完機関のようである。
 首長のやることに対して、常に賛成するという「与党」という意識は、そこから生まれ、与党であることのうま味を知ると、議員はなかなか、行政とは立場が違う議会人としての権能を失ってしまう。
(与党であるうま味とは、自分の小さな政策が通りやすいとか、役職が回ってきて小銭を稼ぐことができるとか、議員を辞めたあとに、行政職に再就職できるとかである)

 権力が分立することなく、集中して失われるのは、国民・有権者の権利である。権力の集中が正しいとするならば、最初から三権分立などという面倒な機関は必要ないはずだ。しかし、長い時間をかけて作ってきたヨーロッパ人の知恵が、三権分立を生み出したというのに、それを模倣している日本の議会は、形だけを似せて、魂を入れていない。だから、権力を分立させて起こる「対立・緊張・居心地の悪さ」などを引き受けようとせず、より強い権力を持つ、首長へとすり寄ろうとするのである。

 果たして、日本の地方議会制民主主義は、これで良いのだろうか。
 民主主義とは名ばかりで、大会派による独善的な運営しかしていない江戸川区議会の中にあって、与党議員であると言って、議員の権能を捨てているような議員を見ると、本当に議会の自殺的行為にしか私には見えない。


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2009年06月13日