田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

高速道路料金無料化が天下の悪法とは、どういうことだ。

 今一度、この資本主義社会における原則的なルールを確認したい。

 この資本主義社会にあって、各種企業が行うサービスの優勝劣敗は、市場が決定する。
 その過程で、市場から歓迎された企業は、多くの利潤を手にする事ができる。
 逆に、市場から歓迎されなかった企業は、市場からの撤退をしていただく。

 大きくは、前述したこの2つのルールがある。

 それにも関わらず、前者については理解を示す人であっても、後者、つまり歓迎されなかった企業が市場から撤退することを「悪」と見なす人たちがいる。

 今、衆院選挙まっただ中であるが、今回、民主党が提案した「高速道路の無料化」、これを天下の悪法と論じる主張がある。
 その根拠の1つとして、民業圧迫だという。
 フェリー会社は倒産や撤退を余儀なくされるだろうし、JRや航空会社、高速バスなどの比較的長距離移動を行う旅客会社は、大きなダメージを受けるから反対だと言う。

 ちょっと待って欲しい。そのような主張をする人は、あまりにも世界を知らなすぎる。日本国内しか見ていない。日本の交通政策は、とてもお粗末なもので、今まで政治的なテーマとして充分取り上げられてこなかった。外交・防衛・福祉・教育・経済などなどは、何度もいくつもの政党が取り上げてきた政治的テーマではあるが、今回の高速道路の問題ほど、交通政策について、政治の場で語られた事はなかった。

 この日本が、交通政策を軽んじて見ている事は明らかである。その結果、日本国民はどのような状況に置かれているのか。少しでも海外旅行に行った人ならばおわかりだろうが、あまりにも公共交通料金が高すぎるのである。
 私が実際に旅行をして、体験学習してきた地域だけ取り上げてみる。
 例えば、お隣の韓国、ソウルのタクシーの初乗り料金は、200円弱。地下鉄の初乗り料金は、70円前後。それも日本の鉄道のように小刻みに料金が上がっていくのではなく、ゾーン制により、ある程度の距離までは初乗り料金で行く事ができる。
 バンコクのタクシーの初乗り料金は、約100円。バスは30円~60円(冷房あるなしで料金が違う)。市内を走る高架式の鉄道は、30円。
 マドリッドの地下鉄の初乗り料金は、10回券を買うと、一回あたり、約80円。タクシーの初乗り料金は250円。

 物価水準が違うので、日本の料金が高くなってしまうのは仕方が無いとしても、その分を差し引いても日本の公共交通の料金が高すぎるのは明らか。
 その象徴が、高速道路料金だった。
 今回の選挙結果によって、高速道路料金が原則無料となれば、他の公共交通に料金体系に影響を与える事は必至である。赤字体質に陥っているJALと、同じく経営が厳しいANAの国内航空会社2社は、高すぎる乗務員の給料や組合体質などを変えていかない事には、生き残っては行けないかも知れない。

 高速道路料金の無料化は、これまで高い公共交通料金を支払わされてきた日本国民に対して、少しでも、公共交通料金の値下げを誘導すべく導入される政策である。
 もし、高速道路料金が無料化になって、経営が厳しくなる旅客業があるとするならば、速やかに市場から撤退していただくか、国営企業にでもなっていただくしかない。

 天下のアメリカ合衆国でさえ、原則を曲げてしまったので、今ではあまり声高らかに言う事もはばかるのだが、市場に歓迎されなくなった企業は、市場から撤退すべきである。
(アメリカ合衆国が原則を曲げた例としては、GMとAIGを税金を投入することで救おうとした事である。本来ならば、市場に歓迎されない企業は、どれだけ大企業と言えども潰してしまうのが筋である)

 国家や地域は、企業を福祉の対象とはしない。経営が厳しい企業や倒産してしまった企業で働いていた従業員は、手厚い福祉の対象にしても、企業そのものを福祉対象にはしないのである。

 まずはこの原則を、読者の皆さんと一緒に確認したい。

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2009年08月25日