空港の話
http://www.t-ken.jp/diary/20090909
こちらでも話していますが、旅行が趣味ということもあって、それに関係する話題には興味津々です。空港事情に関しては、最近、飛行機で旅をすることも多くなったことから、とても興味を持っています。
http://mainichi.jp/select/wadai/wakaru/life/archive/news/2009/20090909org00m040009000c.html
こちらには、日本の空港についての話題が掲載されています。
まずは共通理解を深めるために、前述したニュースを要約します。
・2009年6月に静岡空港がオープンして、日本国内の空港の数は98。
・2010年には、茨城空港が開港する予定。
・ところが旅客数は頭打ち。
・JALとANAは非採算路線の廃止や減便をしている。
・多くの地方の空港は赤字。
・国土面積に占める空港の数は、イギリス、ドイツに次いで世界第3位。
・1万㎡あたりの空港数は、2.6で、アメリカの2.0を上回る。
・2008年の国内旅客数は9289万人。
・同年の国際線は1643万人。
・JALは08年度下期に26路線を廃止・減便。09年度にも12路線をリストラ。
・ANAも09年度に10路線ほど廃止・減便。
・関西国際空港(以下、関空)は、1兆1200億円もの借金
・関空は借金返済のため、着陸料を高く設定したので航空会社が敬遠。
・国内線は前年度比29%減。
・国際線もJALのロンドン便が廃止。欧米への国内航空会社による直行便はない。
・大館能代空港は1998年オープン。99年度利用者は15万人。08年度利用者は12万人。飛行機には平均、40%の定員しか乗っていない。
・福島空港は、JALがすべて廃止。ANAは新千歳便と伊丹便だけ。
・能登空港の搭乗率は65.4%。国内線では60%が合格ライン。
・能登空港はANAと「搭乗率保証」という契約を結んでいる。目標の搭乗率62%を下回った場合は、県と地元の輪島市などがANAにお金は払う。上回れば逆にANAからお金がもらえる。開港1年目の搭乗率は79.5%となり、能登空港はANAから9700万円を受け取った。
日本の空港問題は、第二の高速道路問題となっています。
高速道路がそうであったように、建設してどれだけ多くの人に利用してもらうかの試算を甘く見つもり、まずは建設ありきで作ってしまったことです。
政治家と地元の土建業者による共謀によって、この国の公共事業費が食い物にされ続けてきた証拠です。
ただし、高速道路と違うのは、高速道路は、無料開放すれば、利用者が増え、より多くの人たちに利用してもらうという公共物本来の使命を果たせますが、空港に関しては、そうは行きません。無料開放して、勝手に飛行機が離発着できるような公共物ではないのです。
よく高速道路の無料化を話すと、「そんなに無料化がいいのならば、鉄道もバスもフェリーも全て交通機関は無料にするのが良いんじゃないですか」、この様に言われることがあります。
確かに、日本の公共交通の料金は高すぎるので、そのような交通機関も無料になれば、理想的です。でも、高速道路とそれら公共交通の決定的な違いは、ランニングコストの違いでしょう。つまり、車1台、人1人が、それを利用したときにかかる費用が、全く違うと言うことです。
道路に関しては、高速道路に限らず、その場に人がいなくても、勝手に車は道路の上を移動してくれます。
しかし、鉄道にしろ、バスにしろ、フェリーにしろ、利用者本人の自助努力だけではどうしようもない「乗り物」を動かす経費が必要となってきます。鉄道や港には、乗り物だけでなく、駅や港にもしかるべきに人員を配置しなければなりません。そのようなランニングコストがかかるのか、かからないのか、それだけでも、自前の乗り物で勝手に移動できる高速道路と、公共交通機関とでは、前提が違ってきます。前者を無料化できても、後者を無料化することは困難です。
最近、高速道路の無料化を目前にして、各種公共交通機関の責任者たちが、高速道路の無料化に反対する声明を出しています。何をそんな甘えたことを言っているのでしょうか。この世の中は資本主義社会なのです。市場から歓迎されない、消費者から選ばれないサービスは、公共交通機関と言えども、淘汰されるのです。もちろん、公共サービスは、単純に市場原理を当てはめることが難しい、福祉的事業でもあると思います。特に地方の日常的な公共交通を確保するためには、赤字であっても運行するバスや鉄道などが必要であったりもするでしょう。
しかし、そのような福祉的事業を除けば、これまで高速道路が有料であるが故に、商売が成立していたJRやフェリーなどがあったのです。「高速道路は有料のままで良い」という闇カルテル的な暗黙の了解によって、各種公共交通機関は、異業種間の利益をそれぞれ確保しつつ、サービス競争をしてこなかったつけが、ここに来て出てきているだけです。
もし声明を出すのであれば、高速道路無料化に反対するのではなく、自分たちの事業が、どれだけ社会貢献しているかを最大限アッピールして、高速道路無料化に伴うある程度の損失補填を期限付きで、関係自治体や国に求めていくのが正解です。
高速道路の無料化に反対するのは、市場が決める自由競争の社会にあってお門違いです。消費者へのサービス向上を常とすべきを、まずは既得権の確保を最優先にしようとする姿は浅ましい限りです。他の企業がそうであるように、消費者に選ばれなくなった高コストのサービスは、静かに市場から撤退するのが、資本主義社会のルールではありませんか。
空港に話を戻しますが、一度作ってしまった空港を、何か有効に利用することが望ましいことです。しかし、前述したように高速道路のように無料開放することができない公共物については、思い切って廃港するという決断も迫られる時期が来ることでしょう。
離島の空港に関しては、赤字であってもできる限り存続できる特別な対策が望まれますが、北海道・本州・四国・九州の陸続きにある空港の場合は、存続理由が希薄です。市場から歓迎されないサービスは撤退する。これが資本市議社会でのルールであり、空港事業と言えども、そのことは例外ではありません。
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2009年09月13日