田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

江田けんじ衆議院議員に答える。高速道路の無料化は断念しない。

 高速道路の無料化は、民主党政権が、政権の命運をかけて行うべき施策である。
 2009年3月期決算における料金収入は、ネクスコ東日本、ネクスコ中日本、ネクスコ西日本、首都高株式会社、阪神高速株式会社、本四高速株式会社の6社合計で、2兆3400億円。
 道路特定財源は平成19年度において、5兆6102億円。今後、暫定税率が廃止されて、2兆7000億円もの減収になったとしても、2兆9000億円もの税収は残ることになる。
 1990年にはとっくに償還して、無料化して良いはずの東名高速道路や名神高速道路からは、今でも通行料金が徴収され続けている。

 このように、毎年車のユーザーは、きちんと税負担を行い、不必要な高速道路の通行料金も支払わされ続けてきた。江田議員が言う1兆3000億円どころの負担額では無いのである。
 これまでずっと搾取され、虐げられて、政治の話題にもならなかった高速道路の問題が、小泉首相の時代から、やっと政治的話題として取り上げられるようになってきた。これまで政治がこの問題を解決してこなかった責任を、これ以上、車のユーザーに負わせるべきではない。

 外国では、高速道路の有料化へと行政が転換していると言うが、それは一部であり、まだ大勢は無料化のままである。日本は、これまでの高速道路行政の矛盾を一度精算する必要がある。仮に今後、有料化の道を歩むにせよ、「外国が行っているから」と言ってなし崩し的にこれまでの有料化を追認してはならない。
 それに医療・介護・年金・子育て支援という施策は、全体的な税制改革の中で議論すべき話であって、自動車ユーザーにその責任を負わせるべき問題ではない。

 氏は、公平性、公正という観点からも問題だと指摘する。しかし、全国料金プール制が導入されてから、受益者負担という考え方は、恣意的に解釈された。地方のほとんどその高速道路を利用しない、他府県のユーザーが払う通行料金によって、建設費の償還が行われてきたのである。これ即ち、受益者負担ではない。免許を持っていないお年寄りにまで、高速道路の費用を負担させて不公平だと言うが、免許を持っていないお年寄りが、道路特定財源や高速道路の通行料金を支払っているわけではない。全て車のユーザーが払った税金や通行料金の中から、その財源を見つけて対応しましょうということだ。また車のユーザーであっても、高速道路を利用しないと言う人もいるだろう。私はその人たちは、潜在的なユーザーであって、高速道路が無料化すれば、自然に利用する人たちであると確信している。だから問題視しない。
 また他の輸送機関である鉄道や船舶、航空等があるのに、車だけが1兆3000億円もの多額の税金を投入するのかということを問題視している。では氏に問う。それら、鉄道、船舶、航空が、これまで税金の援助無しにこれらの事業を行えてきたのだろうか。否違う。公共交通であるが故に、多額の税金によってこれまでの事業が成立してきたのである。それに対して口を閉ざし、高速道路事業に対して、車のユーザーの負担の中から、その無料化を行おうとするときのみ、反対するのは、それこそ不公平である。
 日本の公共交通は、それでなくてもコスト高である。利用料金が高い。これは国全体の問題である。むしろこれまで、高速道路事業が有料化であったこらこそ、他の公共交通は利用料金を高く設定できたのである。今後、高速道路が無料化されれば、同じ公共交通同士によるサービス競争が始まるのである。それによって消費者が得をするのである。
 氏が他の公共交通に対して心配していたのでは、これまで同様、業界のぬるま湯的体質を肯定し、それら公共交通をサービス競争から回避させ、消費者の利益とは反することになる。
 JRなどは、高速道路が1000円化した後、一部の新幹線利用者に対して、現地でのレンタカーの利用料金を1日2000円とするサービスを始めた。このように高速道路の料金が下がることによって、他の公共交通のサービスもまた向上し、それが利用者の利益につながるのである。

 高速道路の無料化による渋滞が、救急医療やトラック輸送に悪影響を与えると氏は指摘する。これにしても、救急医療はスピードが命というならば、高速道路を使うような長距離移動の場合は、ヘリコプターの活用を積極的に行うべきだろう。そうではない比較的近距離移動ならば、そもそも高速道路を使う機会は少ない。トラック輸送にしても、無料化によって、深夜、一般道を爆走するトラックが激減する。トラック輸送もまた時間との勝負である。それならば、何をわざわざ渋滞している道路を通ろうとするであろうか、比較的空いている深夜帯にこそ、トラック輸送は、活動しようとするのである。

 民主党政権の矛盾として、高速道路の無料化と、地球温暖化ガスの排出量の中期目標を25%減とするという目標が相容れないと指摘する。これは別問題だろうと私は考える。環境が大切であることは言うまでもない。それならば、環境に即した自動車に対して、優遇税制を行い、環境を害する自動車に対しては、重税を課せば良いのである。自動車という極めて先端技術が試される工業製品においては、税制誘導によって、いくらでも新技術の利用促進を図れることができるのである。氏は、これからのガソリンが、ハイブリッド車だけでなく、水素や太陽電池だけで動くような車を開発していることをご存じないわけでは無かろう。日本人の英知を結集して、新技術を優遇して、市場に適合するようにすれば良いのである。それが政治の役割であろう。それを徹底すれば、どれだけ多くの車が高速道路を通行したところで、少なくとも地球温暖化ガス排出量が増えることはない。25%減という目標が、非常に「野心的な目標」だと言うならば、その野心に従って、環境に配慮した車を、それこそ野心的に優遇すれば良いのである。

 この様にエネルギー消費量が少なく、環境破壊も少ない自動車を優遇していく社会になれば、物流を車から鉄道や海運などの公共輸送機関に、無理矢理シフトしようとする「野心的な発想」も少なくなるのではないだろう。

 氏は更に、通行料を取らない民営化された道路会社はどうなるのかと、利用者よりも先に、道路会社の心配をされている。税金を投入して運営するのであれば、それは民営化ではなく国営化なのかと心配しておられる。そう私は、事実上の国営化に戻ると思っている。そもそも新規参入が望めない公共分野において民営化する、しかも将来的には料金を取らないとする道路を民間会社が運営すること自体に無理があったのだ。国営化して、一般道と同様に、これまでの高速道路を自動車専用道路として管理運営すると言うことで問題はない。
 料金徴収で1.6万人、ETC等システム管理で0.4万人の雇用はどうするのかという問いである。では問おう。ETCによって不要になった料金収受員は、その後、どこに行ったのであろうか。単純に契約期間が終わって「はい解雇」で、終わりでは無かったか。ETCが導入されるときに、そのような議論が国会であったのか。料金収受員の人件費削減も同時に目的としていたETC導入時に行うべき雇用問題の議論を、今更、無料化にしようとするときに言い出すのは、卑怯である。
 JRが自動改札を導入したときも、多くの改札で働いていた人員が不必要となった。その時、JRはどうしたのか。
 新しい技術が導入されて、人が必要なくなると言うことは、昔から良くあることである。手厚い失業保険を充実させ、新規の職場を斡旋したり、退職不補充を狙って、時間経過と共にゆるやかに改革を行うなど、手法はいくらでもある。
 料金収受などにかかる経費は、税金など、他の方法によって高速道路の建設費の償還が行われていれば、本来必要が無かった経費である。高速道路の有料化を維持するためだけに発生する必要経費は無くしていくことこそ、効率がよい行政運営そのものである。

 このように江田けんじ議員は、まずは高速道路会社の存続、運営こそが関心事であって、その影にあって、これまで長年にわたって虐げられ搾取され続けてきた利用者に対しては、顔が向いていない。
 脱官僚を標榜していながら、官僚出身者よろしく、官僚の天下り先を温存しようとしている。基本的な発想が、行政側ばかりに顔が向いて、国民に顔が向いていない官僚的体質そのものではないだろうか。

 高速道路の無料化は、民主党が国民に問うた公約である。もしこれに反対だと言う政治勢力があるならば、正々堂々と、高速道路は永久有料化にするとマニフェストに掲げて、この次の選挙を戦えば良いのである。そして、その政治勢力が多数を取ったときに、その公約を実現すれば良い。
 民主党は、マニフェストによって、数多くのことを言っている。しかし、その中の全ての約束を覚えている人は少ない。それでも、多くの国民が覚えている他図少ない民主党の公約の一つが高速道路の無料化であることは間違い無い。
 私は断言する。この公約が実行されなかったとき、民主党政権は崩壊すると。
 高速道路の無料化。この1点において、私は民主党を外野から支える。

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2009年09月20日