田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

t_ken

日刊田中けん

民主党に代わって、東京新聞の社説に私が答える。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009092302000081.html



 東京新聞の社説が、高速道路無料化に対して、素朴な疑問を呈している。
 私は民主党関係者ではないが、高速道路無料化を主張し続けてきた政治家の一人として、代弁する。
 まずは、以下に2009年9月23日付けの東京新聞社説での疑問を転載する。
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疑問の筆頭は、受益者負担の原則が崩されることだ。

 高速道路は、民営化した高速道路会社が既設路線の管理、新規の建設を行う。建設に借り入れた資金返済、供用中の路線の管理などは利用者の通行料金で賄う。
 返済すべき債務の残高は今も三十兆円以上ある。東名高速道路は今年八月、地震のため静岡県で路肩が崩落したが、建設時期が古く老朽化の進む区間の管理、整備の費用も相当の額となる。
 無料化すればすべてに税金が投入される。公共交通のみ利用のお年寄り、車を運転しても身近な生活道路しか走らない人も、頻繁に高速を使う運転者と同じように建設や管理に要する費用、極論すれば高速道路会社職員の給料までも負担することになる。
 不公平ではないか。国民が思うのはごく自然である。麻生政権の下では、ETC搭載の乗用車に土日祝日など「千円で高速道路乗り放題」が実施された。国費を投じ一部の運転者だけを優遇したのにも、批判は強かった。原則無料化は不公平感をさらに強める。
 「千円で乗り放題」では、遠くへ行くことを目的としたかのようなETC搭載車が走り回った。無料化すれば、高速を走る車がもっと増えるのは確実だ。一般道路から高速へ移る車、航空機、鉄道やバスなど公共交通から高速利用の車に代わる人々が見込まれる。
 渋滞が激しくなり、早く移動できる高速本来の便益が失われないか。二酸化炭素(CO2)排出量は増えないか。
 高速のサービスエリアの店舗やレストランだけが繁盛し、一般道路沿線の観光地や市街地がさびれて、特色のある地域の産業や文化が衰えることにならないか。
 まずこれらの疑問に納得できる回答をしてから、次の手順を進めるべきだろう。
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 まず、受益者負担の原則が無料化によって、崩れてしまうということについて。
 受益者負担の原則は、無料化以前に崩れている。東名高速道路と名神高速道路は、1990年に既に償還を終えている。それにも関わらず、2009年現在においても、無料化は実現していない。実に19年もの間、利用者は「払い損」しているのだ。
 この償還した黒字路線の高速道路料金を原資にして、地方の高速道路は、以後造られるようになった。
 今更、受益者負担の原則を持ち出されても、それは「いいとこ取り」の勝手な解釈である。受益者負担を言い出すのであれば、東名・名神高速道路は即刻無料解放しなければならない。
 そして、ほとんど通行量がない地方の高速道路は、受益者負担に見合った高額な通行料金を設定しなければならない。それでこその受益者負担である。
 「全国料金プール制」という日本における高速道路は全て一本の道であるというこの発想を認めた時点で、受益者負担の原則は破綻しているのである。
 もっと言えば、政権交代によって、無料化が既定路線となった今現在は、部分的な道路を誰が利用しようが、利用しまいが、関係なくなっている。
 高速道路が有料であったことを理由に利用してこなかった人は、無料化すれば、将来の潜在的な高速道路利用者になるであろうから、問題視しない。それにたとえ高速道路がない離島の道路であっても、それは日本国における道路である以上、「プール制」の概念により、一部分を使うことは全体を使うことと同義であり、同じ車利用者であるならば、そこに差異はなくなるのである。この様に考えなければ、そもそも「プール制」なる概念は通用しない。
 もっと言えば、離島における道路建設が、本当に受益者負担である離島関係者だけの税金で建設されているのか。そうではあるまい。国や県などの多額の補助金があってこその離島における道路建設である。そもそも高速道路が無料になるにあたって、「自分たちの税金が無料化に使われている」とは、発言できない立場にある。そこには、そもそも受益者負担という発想が無かったのだから。
 今や一般の生活道路については受益者負担を求めず、高速道路のみに受益者負担を求めるような時代は終わった。高速道路については、有料化を排し、無料化することで誰もが気軽に使うことができる自動車専用道路と変身するのである。

 では、車を利用しない、高齢者や子どもたちにまで、建設費等を支払わせるのかという疑問である。税金を使うと言うことで、高齢者や子どもたちも納税者であり、彼らの税金を使っているという発想だろうが、これも根本が間違っている。
 平成19年度における道路特定財源は、5兆6102億円。今後、暫定税率が廃止されて、2兆7000億円もの減収になったとしても、2兆9000億円もの税収は残ることになる。この中から、高速道路の建設・維持費等を捻出すれば良いのだ。
 これほど受益者負担に合致した税金の使われ方はない。
 事実は逆であろう。車の利用者が支払った様々な税金が、高齢者や子どもたちの生活を支える施策に使われているのである。国や自治体がどれだけの福祉費を計上しているか、知らないわけでは無かろう。
 はたして、このことに、車の利用者たちが一度でも文句を言ったことが合っただろうか。賢い高齢者や子どもであれば、沈黙が金であることはわかっている。それをわからない者が、高速道路の無料化を批判して、やぶ蛇となるのだ。
 車を利用している者が、自分たちが支払った税金の一部を使って、高速道路の無料化を実現しようとしているのである。この政策の場合、税金は、それを支払ってきた対象者に対して恩恵が与えられる施策なのである。より合理性が高いと言える。

 ましてや無料化したら、「誰が高速道路会社職員の給料までも負担するか」とお考えのようだが、無料化したら、そもそも人員削減によって、相当数の職員の給料がいらなくなるのである。車の利用者は、高速道路会社職員の雇用を確保するために、高速道路の有料制を認めてきたわけではない。発想が、本末転倒である。
 高速道路無料化が、一部の運転者だけを優遇したものであり、それでは社会的不公平感をさらに強まるとおっしゃる。前述したように、むしろこれまで虐げられ、社会的に搾取され続けてきたのは、運転者の側である。東名・名神高速道路のように、本来無料化されていい時期から、既に19年も経っているのに、今でもお金を支払わされているのである。
 たとえるならば、既に自分の借金返済が終わっているというのに、「世の中にはまだまだ借金をしている人たちがたくさんいます。完済したから順に、他の人たちの借金を支払い続けましょう」と言われているようなものである。その状態を、少なくとも東名・名神高速道路利用者は、これまで屈辱的な思いの中で、甘んじて受け入れてきたのだ。
 これまで差別を受けてきた人間たちが、「差別からの解放」を訴えることの、どこが優遇であり、不公平が強まると言うのであろうか。理解に苦しむ。

 確かに無料化すれば、高速を走る車がもっと増えるのは確実だろう。
 ただし、それによって渋滞が激しくなるとの予想は早計である。現代は、車が売れない時代なのだ。そもそも現代の若者が車離れを起こしている。少子化によって、将来の予想される運転者人口も少なくなる。日本人が少なくなるのだから、無料化によって、一時的な渋滞は発生したとしても、恒常的に将来にわたって、渋滞が続くとは考えにくい。それに民主党政権は、渋滞が予想される首都高や阪神高速などは、無料化しないと言っている。
 ゴールデンウィーク、お盆の時期、シルバーウィークなど、大型連休の時は、渋滞が激しくなるであろうが、それは有料化時の今でも、渋滞するのだから無料化が招くだろう弊害であるとは、断定できない。

 渋滞することで、早く移動できる高速本来の便益が失われないかとのご心配である。高速道路がその需要以下の供給ができていないとすれば、それは高速道路の建設設計者の責任である。利用者の責任ではない。そもそも高速道路は、お金を払えば、高速移動を保証するという「限られた人」のための公共物ではない。供給以上の需要により、運悪く渋滞してしまった場合は、より多くの利用者によって、利用されている結果と言うことで、無料化により、渋滞というその境遇を甘んじて受け入れようでないか。
 ならば反対に問う。これまで、渋滞を理由に、通行料金を返還したことが、高速道路会社に合ったであろうか。否、一度も無かった。つまり、充分なサービスを提供できなくても高速道路料金は徴収してきたのである。これこそ、やらずぶったくりな商法だ。これからは、仮に渋滞になってしまうかも知れないが、少なくとも高速道路利用においては、料金を取られないことをもって、良しとしようとする利用者の合意形成が重要であろう。
 公共物とは、特定の誰かのために存在しているのではなく、不特定多数の大衆の為に存在している。渋滞してしまう高速道路が良くないならば、有料化によって通行量制限をしようとするのではなく、道路を拡幅したり、他の公共交通の料金を大幅に引き下げたりなど、他の真っ当な手段により、中長期的な展望を持って渋滞解消を目指すべきである。

 高速道路の無料化によって、一般道路沿線の観光地や市街地がさびれて、特色のある地域の産業や文化が衰えることにならないか、とのご心配であるが、認識が全く逆だ。高速道路の無料化によって、地方の観光業が発展するのだ。これまで高速道路によって多額の交通費がかかっていて、国内旅行を断念してきた人たちが、高速道路の無料化によって、もっと気軽に国内旅行を楽しめるようになるのである。少なくとも、これまで高速料金として支払ってきた経費分だけでも、旅先での宿泊費や飲食費に当てることができるようになるのだ。
 これは地域経済を活性化させ、日本国内の内需を大いに刺激する。この考え方は、国土交通省も認めるところであり、高速道路の無料化による経済効果は、少なく見積もっても、2.7兆円あると言われている。
 逆に考えると、高速道路の有料化こそが、これまでの国内観光業を空洞化させてきた犯人の一人でもあると言うことだ。常識的に考えても、距離的に近い国内旅行よりも、距離的に遠い海外旅行の方が、少ない経費で旅行できるというのは、おかしな現象ではないか。国内旅行が、これまでのような旅行者の高負担によって支えられる時代は、終わろうとしている。適正な移動経費によって、より多くの日本人に、この素晴らしい日本という国を旅行して欲しいと私は思う。
 それを阻み、日本国民に国内旅行をさせないようにし続け、海外旅行への誘導を意識的に行ってきたのが、これまでの自民党政権だったのだ。
 民主党政権による高速道路無料化によって、地域の観光業が盛んになり、経済が活性化するのは間違い無い。これまでのように、高速道路関係者の生活維持のために、私たち国民の国内旅行を楽しむ権利とお金を奪われ続ける必要は無いのである。

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2009年09月24日