高速道路の無料化は、公共交通の料金を下げさせる
よく高速道路の無料化によって、公共交通は壊滅的な打撃を受けると反対論者は言う。
しかし、はたしてそうだろうか。
もちろん、市場に歓迎されない公共交通(つまり極端に利用者が少ない場合)は、倒産などのケースもあるだろうが、実際は、高速道路の無料化によって、交通各社の競争が促進され、利用者にその利益が還元されるのだ。
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http://www.asahi.com/business/update/1022/TKY200910210548.html
『東海道・山陽新幹線「過去最大の割引」 期間限定で』
JR東海とJR西日本は、10月31日から来年1月11日までの土日祝日と年末年始に、東海道・山陽新幹線の18区間で運賃を大幅に割り引く。正規運賃より最大でグリーン車が27.7%、普通車指定席が23.1%安くなる。景気低迷で利用客が激減しており、「過去最大の値引き率」(JR東海)で空席を埋める狙いだ。
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なぜ、東海道新幹線と山陽新幹線は、土日祝日と年末年始に大幅な料金の割引を行うのか。これは明らかに高速道路の無料化による対抗策である。
高速道路の無料化論者である私と、それに反対する有料化論者との認識が決定的に違うのは、高速道路の無料化が、公共交通を滅ぼすという有料化論者の主張と、公共交通の料金を下げさせ、より利用者である国民が利用しやすい環境を実現させるという無料化論者の主張にこそある。
つまり、今までは、高速道路が有料であるが故に、公共交通は、公共的使命を忘れ、暴利をむさぼり続けてきた。新幹線などはその代表と言ってもいいだろう。これは交通業界における闇カルテルともいえる現象で、それによって一番の被害者となってきたのは、利用者である国民であった。
高速道路が無料化されれば、それによって、料金に対する競争意識が働き公共交通の料金が、今のままの高水準を保てなくなる。
今後、リニアモーターカーが建設され、東京と名古屋と大阪が結ばれれば、ますます東京と関西の空港を結ぶ飛行機需要は少なくなるだろう。今、伊丹と関空と神戸空港と羽田空港を結ぶ便に需要があるのは、飛行機の方が新幹線よりも安いからであって、それ以上の理由は少ない。
羽田空港から成田空港までは遠く移動は容易ではない。成田空港と地方の空港を結ぶ便は、極端に少ない。
関西圏からならば、圧倒的に新幹線の方が便利なのだが、この新幹線が高すぎるのだ。
今現在、東京駅から大阪駅までの新幹線の料金は、14050円。
それに比べて、東京駅から大阪駅までの飛行機を使ったときの料金は、14140円。
ただし、ここにはからくりがある。14140円とは、航空料金を、13100円として計算したときの結果である。確かに、今これからすぐに飛行機に乗って、大阪駅まで移動しようとすれば、正規料金は22600円になる。しかし、前日予約をすれば、22600円だった料金が、11100円~14100円まで値下がりする。しかも、一般的な旅行代理店で、エアー&ホテルという航空券と宿泊料金がセットになったチケットを買うと、私が調べた限りでは、最安値は往復で、23000円になる。往復料金なので、単純に半分にして片道料金を計算すると、11500円となる。しかも、ここには、安宿とは言え、宿泊料金が含まれている。
新幹線にも、多少の割引料金はあるが、航空機ほどの大幅な割引はない。
東京から関西方面に行く場合に限って言えば、時間的にも利便性的にも、新幹線は飛行機に勝っている。つまり国策として、東京駅から大阪駅までの新幹線の料金を片道1万円にすれば、東京と大阪間を飛行機で移動する激減するであろう。同時に、いくら経済的とはいえ、東京から大阪までを無料の高速道路を使って、移動しようとする者も同時に減ることであろう。市場機能によって、適正料金が実現されれば、移動距離の長短によって、適正な交通手段は自ずと選択される。そこには適正料金が実現している必要性はあるにせよ、市場原理による価格構成がされれば、移動時間も含めた一番利便性が高い交通機関に自然と利用者は流れるものである。
おおざっぱな見解ではあるが、直線距離で500キロメートル圏内は、新幹線移動。500キロメートルを超える移動は、飛行機による移動にすればよい。
新幹線を最大限活用し、国内の短距離航空需要を意図的に激減させ、その分だけ羽田を中心として、国際線の航空需要を大幅に引き受ければいいのである。新しい滑走路を作るばかりが芸ではない。意図的に減らすべき需要は減らし、増やすべき供給に答えていく。そのために、国策的な交通行政における対応は必要となってくる。
2009年10月22日