官僚が日本というこの国を食い物にする
朝日新聞(2009/11/07)
空港施設会社、8割が黒字 常勤役員の3割が天下り
国が税金で管理・運営する26空港のほとんどが赤字なのに対し、ターミナルビルを運営する会社など国指定の38事業者の8割が黒字であることが、朝日新聞の調べで分かった。利益剰余金は2300億円に達し、多くが国土交通省OBや地方公共団体の幹部の天下り先になっていることも判明した。
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官僚による官僚のための国家経営の実態が、また明らかになりました。
これは、高速道路における錬金術と全く同じ手法です。よく知られている話ですが、一時、高速道路における累積赤字は40兆円と言われました。(現在は31兆円)それに対して、サービスエリアや駐車場など、付帯設備を管理する道路施設協会は年間5000億円からの黒字を出していたのです。官僚たちは、赤字の道路公団そのものにも天下りますが、その後は、道路施設協会にも天下り、二重三重の給与と退職金を手にして、甘い汁を吸い続けてきました。
「脱官僚」のスローガンは、国民の意思を政治に反映させ、官僚をその意志決定から排除するだけではありません。このように国富に寄生し、甘い汁を吸い続けてきた官僚を様々な関係団体から排除して、国富を等しく国民全体に還元させることが目的なのです。
高速道路の無料化は、「渋滞を招く」「環境を悪化させる」として、多少評判が悪くなっていますが、有料化が続いて組織が温存されれば、一番喜ぶのは、このように道路公団およびその下部組織である道路施設協会に天下る官僚たちであるということを忘れないで欲しいのです。
頭の良い彼ら官僚は、様々な口実を作っては、現状維持、組織温存を図ることでしょう。我々国民は、それに言いくるめられてはなりません。原則として、天下り組織は一つ一つ潰していくことが、国民の利益につながります。
さて、問題のJALですが、冬のボーナスが全額カットになりそうです。深刻な業績不振で公的支援が必要な状態に陥っているための対応だそうです。JALもまた、無理な空港建設、空港経営の犠牲者とも言えます。間接的ながら、官僚たちに食い物にされてきたのがJALなのでしょう。同情の余地はあるにせよ、事ここに至っては、「原則潰す」という考えがあっても良いのではないでしょうか。経営に対して、未だに組合は非協力的であり、赤字の地方空港は、「赤字でも飛行機を飛ばしてくれ」と言っています。陸路がない離島などには、別途対応が必要でしょうが、北海道・本州・四国・九州の四島にある赤字空港に関しては、これもまた「原則潰す」という考えで望むべきです。地方分権の時代にあって、赤字空港を抱える地方自治体は、自分たちの税金を支払ってでも、空港を維持するのか、それとも甘んじて空港廃止に従うのが、二者択一の選択を自分たちの責任で行わなければなりません。当事者となる地方自治体にとっては、住民投票によって決めるべき大問題になると思います。ただし、これまでのように国が全面的に面倒を見て、赤字空港の経営を支えると言うことはナシです。
既存の企業に対して手厚すぎることは、そこに市場原理が働きません。需要が少なくなった分野には、市場規模に応じた企業が、自然に残ればいいのです。また既存の企業が撤退すると同時に、そこには市場(利用者)に歓迎されるサービスを行う新規参入組が、どんどんチャレンジすれば良いのです。
起業を奨励することと、市場に歓迎されなくなった企業を潰すことは、ワンセットで行わなければなりません。
今までの日本は、官僚が天下ってきた既存の組織や企業に対して、甘すぎて、それらの団体を存続するために多額の税金を使ってきました。それだけの税金があるならば、その分だけ起業しやすい環境を作り、競争原理を働かせ、その富を国民に還元するように、国は働きかけるべきでしょう。
市場原理に従うあり方とは、消費者、つまりはお客様を大切にすると言う考え方が根底にあるからです。
世には、労働者を一番大切にすべきだと考える政治勢力があります。また官僚や大企業こそ、一番大切にすると言う政治勢力もあります。生活者を大切にすべきだという政治勢力もあります。
そこで私は、お金を支払う生活者、つまり多くの消費者をまずは大切にできる社会を作っていくことが必要だと思うのです。税金の無駄遣いを排し、税金を有効に使う社会とは、官僚が作り上げる社会とは、全く違った社会となりましょう。
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2009年11月08日