JAL国有化論
JALに対しては、何とか現状を維持しつつ再建を、との道をと民主党政権は模索している。
市場から歓迎されなくなった企業は潰す。(企業に対して福祉制度はない)
企業につとめていたりする従業員などの最低限の生活は保障する。(企業は救わねど、個人の生活は守る)
市場原理に合わず、存続が難しい事業であっても、社会的な有用性が高ければ、国有化により対応する。
これが私が考える企業に対する3つの原則である。
この3つめの方策について、東京大学教授伊藤隆敏氏が提唱するJAL国有化論を紹介する。(2009 11/21 週刊東洋経済)
航空会社のような社会インフラ企業が債務超過に陥り、その再建に国が関与する場合は、「破綻」の認定が第一歩となる。
「破綻」であるから公的機関が全株を0円で強制取得する。
ただし重要なことは、再建後の企業価値を損なわないようにビジネスを継続すること。
短期債務は支払いを継続する一方、長期債務、労働協約、企業年金は可能な限り削減する。
国は中途半端な関与はしない。関与するならば徹底的に関与して国有化をためらわない。健全銀行に政府保証のない「つなぎ融資」を要請したり、中身が無い「絶対に破綻させない」という宣言は逆効果である。
一時国有化後は、不良資産を切り離す。年金基金や長期債務は、旧JALに引き継ぎ、新JALが事業を継続しやすくさせる。旧JALには新JALの株式を一部割り当て、配当で債務を返済していく。新JALの再上場によって、政府は一時国有化の支援資金を回収する。
このような国有化には、二つの懸念材料がある。一つ目が新JALのビジネスに政府は関与しない。二つ目は公平な競争原理を堅持し、JAL撤退後の空港にANAなどの就航を強制したり、航空運賃カルテルを容認してはならない。
JAL再建を是とするならば、伊藤隆敏氏のおっしゃる国有化論は一つの大きな選択肢だろう。ただし、私は、同業他社が存在する航空事業にあって、社会的な有用性の高さをあまり感じられないJALに対しては、再建案を必ずしも是とする立場ではない。
ただし、氏の意見に同調するのは、国の中途半端な関与が最悪の選択肢だとの認識である。氏の価値観から言えば、JALを潰すという選択肢もまた、2番目の選択肢としては暗に認めているようにも感じる。
さて、今の民主党政権は、JALを一時国有化する覚悟がないまま、中途半端に再建に関与し、最悪の選択をしているように見えるのは私だけだろうか。
株価は100円を割り込んで年初来安値をつけている。ギャンブル好きで無い限り、JAL株は持たない方が良いし、JALマイルは早々に使い切ってしまい、0にしておいた方が無難であろう。ギリギリのところで、国家は個人の財産を救わない。個人の財産を救う最後の砦は、自分自身の決断である。
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2009年11月17日