交通闇カルテルは許されない
高速道路の無料化の評判が良くない。
ここでも何度も取り上げたテーマではある。利用者から「渋滞が増えるので止めて欲しい」という反対論には、同意はしないが一定の理解は示そう。
しかし、私が理解を示さないのは、JRをはじめとする交通各社の反対論である。
JR東日本は年末年始の帰省客を対象に往復割引切符を売り出すと発表した。これまでのJRは回数券など多くの割引切符を発売するが、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始などの繁忙期は適用外だった。年末年始を対象とする割引切符の発売は今回が初めてとなる。
対象となるのは普通運賃だけで特急券は割引対象外だが、それでもトータル2~3割引きとなる。このようにJRが割引きする背景に「高速道路1000円」が影響していることは間違い無い。JRによると「全国の土休日における鉄道利用者の6.6%が自家用車に転換した」と試算している。
「仮に土休日の1000円が全日に拡大するだけで、JR旅客6社全体で減収は750億円程度まで膨らむ」
このようにJR側は主張する。
ここで、私は利用者、消費者、国民に考えて欲しい。ここまでJRが高速道路の無料化に反対するのは、これまで自分たちが750億円もの富を毎年受け取っていたからである。無論、この原資は国民の財産である。これまでのJRは素人の私の目から見ても、激烈な企業間競争の中にあって、企業努力を続け、利用者にその利益を還元すべく料金割引などのサービス向上に努めていたとは言い難い。独占企業特有の殿様商売によって、暴利をむさぼってきたのだ。
公共交通の料金とは、国民が生活していく上で支払いが避けて通れないということから、その存在意味は税金に等しい。
消費税の増税論の時よく言われる台詞がある。
「日本人はあまり税金を払っていない」
仮にそれが事実だとしても、日本には生活する上で支払いを避けて通れない準税金的な存在があることを指摘しなければいけない。それが公共交通の料金であり、高速道路料金であり、NHKの受信料であり、交通違反の罰金であり、年金保険の類である。
今まさに、高速道路の無料化を前提とした状態の中で、交通闇カルテルとも言うべき公共交通料金の高値安定状態が崩れようとしている。
パックツアーなどではなく、個人の自由旅行で海外に行ったことがある人ならば、体感的に知っている。諸外国の公共交通の料金がとても安いと言うことを。そう、井の中の蛙、大海を知らず。このように日本一国からでは、日本の公共交通の料金が高いという発想は出てこない。つまり私たち国民は、今まで交通闇カルテルとでも言うべき、高い交通料金を支払わされてきたのである。
私は高速道路は使わないので、高速道路の無料化に反対だ。このように主張する人も数多いだろう。しかし、高速道路を使わない人であっても、高速道路が無料化して、料金格差から来る競争原理によって、他の公共交通機関の料金が安くなるとしたら、高速道路の問題は無関係と言えるだろうか。
これまでの政治家は、福祉だ健康だ防衛だと、多くの発言をしてきたが、交通問題について積極的に語る政治家を私は知らない。政治が交通問題を語らなかったつけを国民が支払わされている。これからは交通問題に対して積極的に語る政治家にも、是非注目してもらいたい。
国民の財産を減らすのは、なにも税金だけではない。公共交通料金のような生活上支払いを避けられない料金についても、政治による監視の目を向けなければならない。
国民の財産を守る仕事とは、税金の有効利用だけでは不十分なのである。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
2009年11月19日