田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

もう国は援助しない。地方空港の経営は地方の自主判断で。

 来年度予算要求の無駄を洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」は16日、4日目の作業に入った。国土交通省所管で1兆円超の有利子負債を抱える関西空港への補給金(160億円)について「伊丹(大阪)空港などとのあり方を抜本的に解決する必要がある」として、予算計上を「凍結」するよう求めた。補給金が止まると、関空会社の資金繰りに影響が生じかねず、同社の再建策や国交省の航空行政は大幅見直しを迫られる。

 仕分け結果を受け、鳩山内閣は予算編成に向けて補給金の取り扱いを調整する。関空への補給金は、巨額の有利子負債の金利負担の一部を賄うためのもの。09年度予算では90億円だったが、国交省は「関空の国際競争力を高めるため、航空会社が支払う着陸料を値下げする原資にもしたい」として、予算の増額を要求していた。

 ただ、関空の不振は伊丹空港や神戸空港に隣接し、需要が分散していることも背景にある。仕分け人は「巨額の税金を使って一時的に着陸料を引き下げても、抜本的な需要増につながるかは疑問」などと指摘。3空港のあり方を整理しない限り、補給金の支給を凍結すべきだとの意見が14人中9人にのぼった。このほか「廃止」が2人、90億円以下への削減が3人だった。
(2009/11/16 asahi.com)
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 関西空港(以下、関空)への補給金(160億円)の予算計上を「事業仕分け」によって凍結したことは当然の判断であろう。関空の運営は今、岐路に立たされている。

 関空は、4000㎞と3500㎞の滑走路を持つ日本最高の機能を持つ空港である。しかも騒音問題を抱える内陸空港とは違い、海上空港であるが故に24時間利用ができる。更に滑走路が1本しかないと、メンテナンスをする時間は、空港機能を止めなければならない。関空のように滑走路が2本あれば、一方がメンテナンス中でも、もう一方を使って営業はできる。24時間運営をするためには、2本目の滑走路は必然であった。

 しかし、このように機能的には恵まれた関空ではあるが、需要はさっぱり伸びなかった。そのために、折角できた4000㎞の第2滑走路は、その機能をもてあまして、無用の長物になろうとしている。
 なぜ、そのようなことになってしまったのか。まず建設費があまりにも巨大すぎた。1本目の滑走路を建設するだけでも、事業費は1兆5千億円もする。2本目の滑走路建設も同額の予算が見込まれたが、何とか投資額を削った。それでも9000億円である。この建設費を回収するために、世界一高額な着陸料を課している。当然、その着陸料は最終的に乗客が負担するので、これが航空運賃の値上がり要因となる。各航空会社が、関空を使いたがらない理由がここにある。

 また大阪、神戸、京都などの都市部からのアクセスが悪い。しかも、ビジネス客は羽田と成田に集中している。エコノミーの客ばかりでは、航空会社は儲からないのだ。

 もし、この関空を浮上させるためには、債務を税金によって補填し、着陸料を大幅に下げて、航空各社を呼び込むしかない。しかし、そのためには条件がある。伊丹空港と神戸空港を廃港とし、関西の空港は関空に集中させるしかない。もしそれができなければ、関空そのものを廃港にするしかないだろう。
 これまでの建設費から言って、3兆円近い国家的大事業であるが、その空港とて、需要を喚起できないのならば、廃港しかあるまい。3兆円の税金をみすみすドブに捨てるようなものである。
 しかし、そのぐらいしなければ、関空の赤字体質は延々と続くだろうし、3兆円に留まらず、もっともっと赤字を増やし、税金を投入し続けなければならなくなるかもしれない。

 空港建設を自己目的化して3つも空港を作ってしまった関西圏の人たちは、それによって仕事が増えたと同時に、今後は大いに税金も増えていくのだと覚悟されたし。

 関空を生かそうとするのも一案。関空さえも潰してしまうのも一案。その運営は、自己責任により関西圏の地方自治体に任せた方が良いだろう。もう国は援助しない。地方空港の経営は地方自治体中心の自主判断で行うことになるのだ。その経営ができなければ、全国的に、赤字空港の廃港がバタバタと出現してくることだろう。

 私はそれで良いと思う。またはそうしなければならないと思う。これまでずっと、日本における地方の赤字空港は国におんぶにだっこだった。建設その物を自己目的化して、地元の土建業者に仕事を与えてきた。有効利用という発想は二の次だった。そのつけを、今度は、その地方自治体が償っていくのだ。
 赤字空港を持つ地方自治体にとっては、とても厳しい時代になったと思う。しかし、これを乗り越えていかないことには、明日の日本における空港行政はない。

 とにかく、今は日本のエース空港である羽田に限られた税金を投入して、国際的に見て見劣りがしない立派な空港を実現し、これから訪れる空の自由化(オープンスカイ)時代にあった経営をしなければならない。今、日本は、世界各国と航空戦争をおこなっているのである。いや、正確には既に負けているのだ。いつまでも内向きの発想で、地方空港を生かしておく余裕は、今の日本には全く無い。
 ことこの分野においては、政治家が指導的立場を発揮して、中央からの強力な後押しにより事業を推進するしかない。

(参考文献:森功「血税空港」幻冬舎新書)

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2009年11月24日