一般質問をしました。(第1質問、全文紹介)
2013年12月3日 第4回定例会一般質問
通告に従い、質問します。
まずは被災地支援です。
これまで江戸川区が行ってきた被災地支援について、詳しくご紹介ください。その後、私なりに考えた新しい被災地支援策について再度質問します。
次に観光行政です。
これまで何度となく、観光行政をもっと行うようにとの質問が区議会から出てきました。
しかし、今現在はこのような考え方に対して、私は非常に懐疑的です。
これまで私は全国各地の観光地に行きました。委員会視察でも、その土地の観光行政について説明を受けてきました。それら既存の観光地に匹敵する施設や自然が、現在の江戸川区にあるのでしょうか。「ない」と私は答えます。
観光地を持たない自治体が、次に考えることは後天的かつ人為的に観光施設を作ることです。これは至難(しなん)の業(わざ)です。
今一度、夕張市の財政破たんについて確認してみます。
かつて炭鉱の町として賑わった夕張市は、1990年に炭鉱が閉山するのをきっかけに、「炭鉱から観光へ」と大きく行政の舵を切りました。テーマパーク、スキー場、映画イベントなどを作って、積極的な自治体運営を続けました。
その結果どうなったかと言えば、積極政策が裏目に出て、観光施設はどれも赤字となり、市の財政を圧迫し、2007年には夕張市自体が財政再建団体に指定されました。
ここまでの流れは多くの国民が知る通りです。
夕張市が特殊事例ではない証拠に、以下、廃止された有名施設を列挙します。
鎌倉シネマワールド、倉敷チボリ公園、宮崎県シーガイヤ、長崎オランダ村、富士ガリバー王国、ワイルドブルーヨコハマなど、廃止に至った施設は全国各地に存在します。
この教訓から素直に学べば、観光行政に力をいれない行政判断こそが、無難な選択だとも言えます。
もちろん北九州市のスペースワールドのように、一時は315億円の累積赤字を出しながらも、現在では黒字経営に至ったテーマパークもあります。ただし、これこそ例外視すべき成功例であって、全国には失敗例がほとんどなのです。
仮にスペースワールドのような毎年黒字となる施設が江戸川区にあったとしましょう。それがどれだけの経済効果を本区に与えるのでしょうか。
平成18年に観光地として有名な倉敷市へ私は建設委員会の視察で行きました。当時の倉敷市における関心ごとは、いかに観光客が倉敷市に宿泊してくれるかということでした。「通過型」ではない「宿泊型」の観光地への転換が、倉敷市の大きなテーマとなっていました。
つまり同じ観光地であっても、通過型と宿泊型では、経済効果が大いに違います。通過型では発生しない宿泊費が、宿泊型の観光地では現地にもたらされます。どんなに安いビジネスホテルでさえ、今や1泊5,000円はします。もう少し高いシティーホテルならば、1泊10,000円はするでしょう。
宿泊型の観光地における客単価は、少なく見積もっても1万円を超えるはずです。桁違いの経済効果があるからこそ、当該自治体にとっては宿泊型の観光業が有効な地域産業になるのであって、通過型の観光地では、どんなに知名度があっても観光業による経済効果は低いままです。
では、我が江戸川区にどれだけの宿泊施設があるのでしょうか。行政からの資料によると、一日当たりの受け入れ宿泊者数は最大2600人だそうです。
東京都の年間宿泊客は、平成23年のデータでは年間4,153万人です。東京は日本一の宿泊地です。
資料によると、江戸川区における定員稼働率は77%になります。本区における年間宿泊者数は、約61万人となります。
61万/4,153万≒1.5%
つまりどんなに魅力的な観光施設が江戸川区にできたところで、現在、東京都に宿泊する客のたった1.5%しか江戸川区に泊まっていないのですから、大きな期待はできません。ホテルが少ないという致命的欠陥から、宿泊型の観光地を目指すことなど、江戸川区には土台無理な話なのです。
もちろんホテルの数は流動的です。宿泊定員もそれに伴い流動化します。それでも、今や既に江戸川区周辺には、東京ディズニーランドや東京スカイツリーに代表されるような大型観光施設に伴うホテル群があるわけです。江戸川区内に観光客が来たとしても、区外周辺の宿泊施設を利用してしまう可能性が高いのです。
以上の条件を加味して考えれば、江戸川区が安易に観光行政を振興しようとしても、歳出ばかりが拡大して、期待した効果は出てこないというのが、私なりの考察です。
私田中けんによるこのような意見に対して、本区における観光行政のあり方について、区長の見解を伺います。
次に区内小中学校における敷地面積拡大についてです。
2012年9月に同種の質問を私はしました。その時の区長は、「お金がない」という理由で一蹴しました。
日頃の区長発言を聞いていると、区長が誰よりも財政の健全化を大切に考えて区政運営をしていることがわかります。過度な支出は止めよう。健全財政を堅持しようとする区長の姿勢を高く評価します。私もこれまで区長の意向を応援すべく、過度な支出は改めるように提案してきました。
現存する資料から言って、私は平成16年からたった一人で長寿祝品に反対してきました。今では多くの議員に支持されて、平成25年現在、その長寿祝品は廃止されました。
自分の先見性を誇るわけではありませんが、区長決断に先んじて、歳出削減を提案し、先駆的であるが故に、その時には否定されつつも、後になって私の主張が多田区長に認められて実現したという実例です。
タバコの問題も同じです。私が質問するたびに否定的な見解ばかり区長は示されます。それでも亀のような歩みながらも、着実に少しずつ禁煙社会に向けた取り組みを区長が行っていることを私は知っています。これもまた私の主張に対して、社会が後からついてきた一例です。
小中学校における敷地面積の拡大についても、一度や二度、区長から否定されようとも、あきらめることなく粘り強く取り組みたい課題だと心得ています。
私は、多田区長の前職である教育長時代を議会内で知る今や数少ない議員の一人です。教育行政について、多田区長が誰よりも明るいことはわかっています。
平成25年11月28日の招集挨拶では、区長が財政問題について発言しています。
都市部と地方との財源偏在を是正する。そのような理由により、法人住民税の一部を国税化し、地方交付税の原資に充てようとする動きがあること。このような動きは、地方自治体に対する財政自主権への重大な侵害であり、到底納得できないこと。大都市には地方にはない膨大な行政需要が存在するのに、その点が何ら考慮されていないということ。どれも区長のおっしゃる通りです。
財政規模だけを見れば、確かに江戸川区は2,200億円からの自治体です。
しかし、本区の小中学校の校庭の広さを見る度に、本当に東京23区の自治体は地方がうらやむような裕福な自治体といえるのか、はなはだ疑問です。
かつて日本列島を一つ売れば、アメリカ合衆国が4つ買えるほど土地の値段が高かったというバブル時代がありました。この現象をおかしいと思うのが正常な感覚です。土地の問題は地価の高さに惑わされることなく、広さそのものに価値を見いだし、大局的見地から考えることが必要です。
私の価値観で言えば、3万平米を超える敷地面積を持つ小中学校がある自治体こそ、豊かな環境に恵まれた自治体であり、敷地面積が1万平米にも満たない小中学校ばかりの江戸川区のような自治体こそが、貧しい自治体なのです。
だからこそ私は区長に「お金がない」の一言で、この問題を一蹴して欲しくありません。日本全国、どこに住もうとも、一定水準の教育を受ける権利は、どんな子どもたちにもあるはずです。校庭の広さ、校舎の広さを比べれば、都市部の子どもたちの貧しさは一目瞭然です。この貧しさを「お金がない」の一言で、黙認してしまっていいのでしょうか。
それでも私は知っています。これからの第三松江小学校が10,720平米の広さになるということを。私は知っています。船堀小学校が11,625平米の広さになるということを。
お金が無いからやれないのではなく、お金が無くてもやろうとしている現実が江戸川区にはあります。
私の不満は、区長がしっかり仕事をされているのですから、「小中学校の敷地面積の拡大」という大きな方針を正式に作って、この事業を区内の他の学校にも広げて適用し、継続性をもった施策にして欲しいと言うことです。
土地の取得に関する事業は、仮に区長方針があったとしても、そう簡単に実現できません。希望していた隣地の地主が売りたいとか、貸したいとか思って始まる交渉事なので、タイミングが非常に重要なのです。多田区長の任期を超えた20年、30年先を見据えた経営判断が求められます。
方針を示すことは、区民理解を前提にした区政運営に欠くことができません。未来の江戸川区を広く区民に提示する仕事は、区長だからこそできるのです。
今から第一歩を踏み出しても、決して遅くはありません。土地取得にお金がかかるならば、土地だけを借りて、校庭として利用することも、あり得る選択肢だと言えます。
実際、黒字経営に徹するサービス業を営む民間企業の中には、不動産は賃貸をもってよしとし、決して土地を買わないことを社是としている企業もあるほどです。
本区にあって直近の課題である小中学校の統廃合を目前にして、大きく土地利用のあり方が変化する今こそが、チャンスだとさえ、私は思っています。
敷地面積を広くしておけば、副次的効果として、校庭や体育館が災害時の避難場所にもなります。人口過密の江戸川区にあって、一旦大規模災害が発生すれば、多くの死者が出てしまうのは避けられません。
ただし死者を少しでも減らすことができる可能性を、私はオープンスペースの拡大に求めます。いかがでしょうか。
区長の見解をお聞かせください。
最後に2014年問題と言われている2014年4月9日によるWindows XPのサポート終了について質問します。
この問題について、本区および関連する周辺組織での対応について教えてください。
同時にこの問題にあっては、まだ対応しきれていない区民がたくさんいます。区民全体に対する周知徹底について、いかようにお考えかお聞かせください。
以上で、私の第1質問を終わります。
2013年12月03日