消費者が納得するお金の払わせ方
私の意見が一般的とは言えないことを承知の上で、このように考える消費者がいるという参考意見として聞いてください。
私は消費税が導入される時の議論で、内税とするか外税とするかの論争があったとき、消費税の是非はともかく、導入するならば断固として内税にすべきだとの論陣を張ったことを覚えている。
つまり消費者心理としては、二度払う行為が大嫌いなのだ。
例を挙げよう。
600円のラーメンを食べるのに、更に30円の消費税を払わなければならないと思うととても損した気分になる。なぜならばラーメンの価値は600円だと思っているからだ。
それに比べ、650円のラーメンを食べるのに、それが内税ならば更に料金を取られることは無い。消費者にとっては、税金が含まれているにも関わらず、ラーメンは650円の価値として認識される。
その650円に対してお金を支払うことを消費者は了承するのである。
今回、九州南部を旅行して、何でこのような料金設定をするのかと気になったことがあった。
まず九州最南端の佐多岬に行ったときのこと、そこにはかつて悪名高い佐多岬ロードパークなる有料道路があった。なぜ悪名高い道路かというと、その道は有料道路であり、バイクと車は通れても、自転車と徒歩で通ることができなかったからだ。そんな有料道路も昔話となってしまった。今は、往復1000円の通行料金を取っていたゲートも荒れ果て、2007年4月より無料開放された。
ところが、その先には展望公園入園料を取るゲートがあった。その料金が中学生以上300円/人となっている。そこでお金を払い、先に進むと更に展望台利用者には、通行料として200円/人の請求が待っている。
私の感覚から言えば、なぜ最初に500円/人を徴収しないのだろうか。観光客に対して、二度請求する鈍感さと違和感が、佐多岬そのものに対するイメージになってしまう。
同様に佐多岬から、北東の方角に宮崎県都井岬がある。そこも同じような運営だった。まず岬に入る前に、通行料金400円を支払わなければならない。これはその地に住む野生の馬の保護育成管理費に充てられるとのことである。大義名分として、これはこれで理解しよう。更に先を進むと、都井岬灯台がある。この灯台は登れる灯台なのだが200円/人かかる。
私は有料道路には反対するが、施設利用料に関しても無料にすべきだとは言わない。しかし、佐多岬や都井岬のように、二度にわたって観光客から利用料を徴収する方法には違和感を覚える。なぜ一元化した利用料の徴収ができないのか。消費者の一人としてはとても気分が悪い。
かつて私は、区民施設利用における駐車場利用においても同じようなことを言い続けてきた。なぜ施設利用料の中に駐車料金を広く薄く含ませないのかと。だから、施設利用料を徴収しつつ、また別に駐車料金を支払わさせる施設運営に対して、多いに違和感を持った。この二度支払うという行為を消費者が嫌がるのがなぜわからないのだろうか。
民間のファミレスでも良い。ホテル利用でも良い。施設利用者から改めて駐車料金を取ることは、機会としてまず少ないだろう。施設の中でお金を使ってくれた人には、駐車場代をサービスすると称して、利用料の中に少しだけ含ませるやり方の方がよっぽど賢い料金収集方法である。
佐多岬も都井岬も風光明媚でとてもすばらしい景色を見せてくれた。しかし、北海道の岬巡りでは体験しなかった「料金徴収」をよりによって同じ場所で二度も体験させられた九州の観光行政というのは何を考えて事業をしているのだろうか。
それも影響しているのか、どちらの岬もあまり観光客はいなかった。特に都井岬は我々以外の観光客はいなかった。シーズンオフとはいえ、このような人気の無さで、料金ばかり取っていたのでは、料金収集者の人件費をはたして利用料金でまかなえるのであろうか。もし赤字運営だとしたら、そもそも料金収集は何のために行っているのか、全く持って本末転倒である。
客が何を望み、どのようなサービスならば喜んでお金を払うのか、もっとよく研究して九州の観光行政は運営して欲しいものである。今のような運営では、仮に高速道路が無料になって、日本全国から九州の観光地へと来た旅人が、何か違和感を感じながら帰路につくのではないかと、大いに心配になる。代替不可の観光地を持つ自治体であっても、おかしな運営をすれば、観光客など簡単にいなくなってしまうことを肝に銘じて欲しい。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
2010年01月10日