JALの次に潰すべきは、地方の赤字空港だ
2009年11月17日の日記にも紹介したが、JALを一度潰して、一時国有化し、健全経営となった小さなJALを再上場させるという東京大学教授伊藤隆敏氏の政策は、正に現実がそれに近い形で進められている。
JALを潰してしまうと、その企業イメージの低下から、新たなる経営が難しくなるなどの異論も経営陣中心に多いようだが、これまでの仕切りを見る限りでは、民主党政権における対応は正しい。
11月17日にも書いたが、「JALの株は手放した方がいい」という、私の警告が現実のものとなった。1月12日の東京株式市場では、日航株に大量の売り注文が出て、先週末比30円安の37円でストップ安となった。株主には同情するが、これもまた自己責任であり、仕方が無いことである。
JALがこの様な状況になって苦しいのは、何も従業員や年金生活をあてにしていたOBたちばかりではない。
正月明け、私はずっと家族と一緒に九州旅行を楽しんでいた。往復には、話題のJALを使った。これまで貯まっていたマイレージをここのところで、大量に消費して、価値がゼロになる可能性を少しでも少なくしておこうと考えたからだ。余談になるが、このようなポイント商法(航空業界ならば、マイレージ商法とでも言うべきか)は、消費者保護の対象になっていない。現在、事実上、個人の財産に等しい扱いになっているポイントを法的保護の対象にすることが早急に望まれる。
さて、JALに乗ってみて、あらためて思うのだが、JALのサービス自体は、特別、ANAに比べて劣っているわけではない。接客や機内サービスなど、何一つ客を不愉快にさせるようなことはない。今回はマイレージを使っての飛行であるが、お金を払って乗ったとしても、特別JALだから高いというわけでもない。JALとANAはそう変わらない。
しかし、株価がそうであるように、今、JALとANAは、天と地ほどの格差が付いてしまった。これまでフラッグシップ企業と言われ、国内最大手のJALはその地位をANAに明け渡そうとしている。いや、フラッグシップ企業であり続けようとして、無理な経営をしてきたことが、現在の事態を招いたと言うべきだろうか。JALは、逆にこれを良い機会と考え、切るべき者を切り、切るべき物を切り、切るべき場所を切るべきだ。健全経営のため、過大評価ではなく、身の丈にあった評価を求めて企業を再建すれば良いと思う。
さて、JAL問題は、このまま推移すればそれなりの結果をもたらすことであろう。問題はこの次である。それは地方空港問題だ。JALは時間の問題で、一時的に潰れる。それならば、JALしか飛ばない空港もまた、これを機会にキッチリと潰さなければならない。
先ず現状において、JALしか飛んでいない空港をピックアップしてみよう。
北海道では、とかち帯広と奥尻の2空港。
東北では、青森、三沢、いわて花巻の3空港。
中部では、信州まつもとの1空港。
関西では、南紀白浜とコウノトリ丹波の2空港。
中国では、隠岐、出雲、広島西の3空港。
九州では、種子島、屋久島の2空港。
奄美・沖縄では、ほとんどの島の空港はJALしか飛んでいない。
離島の空港に関しては、赤字運営であったとしても、公共的交通網を確保する意味も込めて、何らかの対応をしなければならない。例えばANAを含めた第3の小さな航空会社に飛んでもらうとか、このままJALに飛んでもらうにせよ、税金によって損失分を補填するなどの対応が必要になってくる。その離島が国境を形成する場所にあるならば、国土保全の意味も込めて尚更、最低限の空の交通機関は確保しておかなければならない。
そのような例外規定はあるにせよ、原則、赤字の地方空港は潰す。この方針は変わらない。JALとANAが両航空機が飛んでいる空港であったとても、採算が取れないのであれば、JALは勇気ある撤退をすべきだ。むしろ、そのような空港からの撤退の方が、代替機がある分だけ、心理的にも撤退しやすい。
これまで「地方切り捨て」という批判に耐えられない政治家が、地方に対して、湯水のような公共事業をつぎ込み、日本国の財政その物をここまでおかしくしてしまった。もうこれ以上、地方に公共事業をはじめとする金をつぎ込む余裕は、国にはない。
政治家は、「地方切り捨て」という批判を甘んじて受け、涙を流しながら、「泣いて馬謖を斬る」思いで、地方空港を潰すのである。
もちろん、ここまで記述してこなかったが、関空・伊丹・神戸の3空港もこのままでは全て存続などできない。伊丹を潰すのか、関空を潰すのか決断が迫られている。
同様に、福岡・北九州・佐賀の3空港も全く同様だ。余談だが、私は北九州と佐賀を潰して、その分だけ福岡をもっともっと立派な空港へと成長させることが、九州経済全体にとってもメリットがあると考える。
この段階になって初めて、地方は自分たちが生きていくためには国はあてにならないと知り、自主的かつ能動的な行動を模索していくことになるであろう。日本人の知恵と工夫によって、きっと優れた地方から、独り立ちしていく姿を見ることができるようになってくるはずである。
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2010年01月12日