敬語の間違いがとても気になる
よく区職員と話していると、
「了解しました」
などと言ってくる職員がいます。
「ちょっと待って。了解とは失礼な物の言い方ですよ」
私はそう言って、その場で何度も職員をたしなめました。
一般的に「了解しました」とは、
同僚もしくは目下に対して使う言葉です。
職員が議員と話すときに、使う言葉としては不適切です。
その職員が私よりも年上とか年下とか関係なく、
議員と職員という立場の違いを説きます。
そのような場合、「承知しました」と返事するのが適切です。
この様な話をすると
「議員だからって、偉そうですね」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、日頃から言葉づかいに対して敏感で無ければ、
私が一般区民とお話しするときも
平気で「了解しました」と使いかねないのです。
無論、このように言葉づかいに対して、
厳しくお伝えしている以上、
私が一般区民に対して
「了解しました」などとは言いません。
丁寧に「承知しました」とお答えします。
同様に「とんでもございません」という言葉も
区職員との会話の中でよく聞きます。
そんなときは
「『とんでもございません』は誤用ですよ」
このように教えます。
「とんでもございません」の元の文章は、
「とんでもない」ですが、
これは「とんでもない」全体で一文の形容詞だからです。
「とんでも」+「ない」という文の構成ではないのです。
ですから「とんでもありません」も誤用です。
正確に言い方は、
「とんでもないことです」または
「とんでもないことでございます」または
「とんでものうございます」となります。
「とんでもないです」は謙譲語として適切か不適切か、
疑問視される場合もあります。
世間一般では誤用説とまだまし説に分かれます。
私は、まだまし説を採用します。
積極的に言えば、「問題無い」正しい敬語と言えます。
ただし、世間では評価が分かれることも事実なので、
私は「とんでもないです」は使わず、
「とんでもないことです」を使うようにしています。
以上のように覚えておけば問題はないのですが、
「言葉は生き物」とはよく言ったもので、
最近では「とんでもございません」も
誤用でありながら、同時に正式に敬語として認められています。
2007年2月2日に文化庁から発表された「敬語の指針」では、以下のように書かれています。
「とんでもございません」(「とんでもありません」)は,相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり,現在では,こうした状況で使うことは問題がないと考えられる。
「とんでもございません」は、「とんでもないことでございます」とは表そうとする意味が若干異なるという点に留意する必要がある。問いの例は,褒められたことに対し,謙遜して否定する場合の言い方である。したがって,「とんでもございません」を用いることができるが,この場面で 「とんでもないことでございます」と言ったのでは,「あなたの褒めたことはとんでもないことだ」という意味にも受け取られるおそれがあるので,注意する必要がある。
このような文章を読むと、むしろ「とんでもございません」を使った方が、よりよい言葉のようにも思えます。
私自身の場合、まだまだ「とんでもございません」を使うには抵抗を感じますが、他人から「とんでもございません」と言われた場合、その方が、その意味をご存じ、ご存じでないに関わらず、その場で訂正することはなるべく慎んでおこうと思った次第です。
かくも日本語とは難しい言葉でございます。
2014年10月03日