田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

誰だって自白してしまう。この想像力が大切だ

 菅家さんのあいまいな返答に、森川検事が「実際にはどうなの」。何度か問いかけると、沈黙していた菅家さんは「本当のところはやっていないです」と明確に否認した。


 「(警察での取り調べに)なぜやっていないのにやったって言ったんだろうか」。森川検事から聞かれた菅家さんは「わかっているから話しちゃえよとか、言われまして」。菅家さんは警察での取り調べについて、「警察は怖いですしね」「強引なところもあるような感じでしたので」「だんだん自分から、そうですと話したんです」とも打ち明けた。


 森川検事が、次に尋ねたのが足利事件だった。「これも違うのかな」


 すすり泣きながら、長い時は30秒ほどの沈黙を続ける菅家さん。森川検事は「どうした」「間違いないの」などと重ねた。さらに「ずるい気持ちを起こさないでほしい」「僕は君からどんな返事を聞こうが別に怒るつもりもない」と話しかけ、再び「間違いないのか」と尋ねると、菅家さんは「はい」と答えた。


 森川検事に改めて84年の事件について「本当は君がやったのか」と尋ねられた菅家さんは泣き出す。森川検事は「やっぱりそう。そうだね」と念を押し、さらに79年の事件について「あれも間違いないの」と聞くと、菅家さんは「はい、そうです」と自白した。


 こうした取り調べの内容について弁護団の佐藤博史弁護士は「検事にコントロールされた状態だった」と指摘する。一方で、宇都宮地検の高崎秀雄次席検事は「事実関係を何度も確認するなど、取り調べは慎重に行われた。菅家さんが誠実に話していることがうかがえ、自白に任意性はある」と主張。取り調べの妥当性を巡る認識は真っ向から対立している。


(2010年1月21日14時31分  読売新聞)
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 私は取り調べのテープを聴いたことはないが、警察官や検察官から取り調べを受けて、黙秘をしたり、否認をしたりすることがどれだけ常人には難しいのか、よくわかっている。本人の気が強いとか弱いなど関係ない。心理的な拷問の前に、自分の主張を貫けるほど、どんな人間も強くはない。
 被疑者否認の裁判では、取調において「自白した」「自白しない」という不毛な事実確認についての論争がいつも行われる。密室で精神的にかなりプレッシャーを受けた状態で行った「自白」と裁判所における「否認」どちらも同一人物の行動には違いない。しかし、過度な心理的圧力を受けている人間が、自分の主張をそんな場所でも貫けるだろうか。相手が気に入るような回答をすることが、相手を納得させることだとするならば、密室における取調室での「自白」に何の意味があるのだろうか。


 冤罪を防止する意味でも、「裁判では調書を証拠として採用してはならない」そう主張する人もいる。なぜならば、調書を証拠として採用する限り、たとえ取り調べの可視化が可能になったとしても、警察官や検察官が自白を強要することを止めはしないからだ。もし調書に証拠能力がなければ、裁判所で本人が述べたことが全て証拠となり記録となる。これしか認めなければいいのだ。


 この様な取り調べのあり方は、即刻止めるべきであり、検察改革は、現政権においても急務の課題である。


 本当にやっていないのならば、絶対に自白しないはずだ。自白したからには、罪を認めたのだから、被疑者は絶対に犯人に違いない。そう思う人もいるだろう。


 そのような人には、魔女裁判の様子を簡単に説明するので、自分が被疑者の立場に立って、それでも「やってない」と言い続けられるとしたら、心から尊敬しよう。


取調人:あなたは魔女ですか。
被疑者:違います。
 熱湯が入った釜の上で体をつるされた被疑者は、ゆっくりと熱湯の中に降ろされる。
被疑者:熱い。
 熱湯が、足の裏をわずかに触る。そして、上げられる。
取調人:もう一度聞く。あなたは魔女ですか。
被疑者:違います。
 被疑者は、更に熱湯の中に体を沈められ、ひざ下まで熱湯に浸かる。そして上げられる。
取調人:もう一度聞く。あなたは魔女ですか。
被疑者:違います。
 被疑者は、更に熱湯の中に体を沈められ、下半身全部が熱湯に浸かる。そして上げられる。
取調人:もう一度聞く。あなたは魔女ですか。
被疑者:違います。
取調人:こんなに苦痛を与えても、「自分は魔女ではない」などと言い切れる人間はいない。よって、やはりこいつは魔女である。
 被疑者は、一方的に魔女だと断定されて、体全体を熱湯の中に沈められてしまった。


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2010年01月23日