田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

陳情審査の進め方

 ほぼ全ての陳情審査について同じ事を思うのですが、ここでは、たまたま私が所属している福祉健康委員会における陳情審査を例にしてお話しします。

 陳情第88号「認証保育所入園者の保護者等に対する補助金」に関する陳情が議会に提出され、今現在、福祉健康委員会で審査されています。
 陳情者は陳情原文の中で、経営の悪化を訴えておられ、行政側の支援を求めています。
 具体的には、以下の通りです。
1 認証保育所入園の保護者に対して、一人一律1万円の補助金の支給をお願いしたい。
2 認証保育所運営事業者に対して、入園者一人につき、3000円の家賃補助の支給をお願いしたい。


 この陳情審査にあたって、私は陳情原文だけではよくわからないので、陳情者に来ていただいて直接お話を聞く機会を設けて欲しいと委員会の中で訴えています。
 その理由としては、陳情原文においては、経営が厳しいと訴えられているのですが、具体的には、どこがどう厳しいのか、よくわかりません。事業の収支報告書のような、経営が厳しいという根拠となる事実の把握ができていません。
 それに加えて、行政側の認識としては、認証保育所とは経営的に問題ないという前提で運営しているのであって、経営を始めてから「厳しい」と言われても対応できないとの認識です。
 少なくとも行政が陳情者と同じ事実認識があれば、行政側から、経営が厳しいと言われる事実を資料として請求することができるわけですが、陳情者と行政の認識が違うと、それもできません。
 このように陳情とは、その思いの実現が行政の利害と反することは多々あるのです。


 裁判がそうであるように、原告側の言い分と、被告側の言い分を十分に聞いて、判決は出されます。
 しかし、委員会における陳情審査とは、原告側にあたる陳情者からの意見とは、この陳情原文だけしかありません。それに比べ、時に被告側に位置する行政には、委員会に常時出席していることからしても、求められれば何度も何度も意見を言う機会が与えられています。
 はたして、この様な陳情審査で、公平な判断が委員にできるのでしょうか。私ははなはだ疑問です。


 常時とは言わないまでも、せめて陳情者には、陳情原文だけでなく、陳情者と委員との直接的な質疑応答ができる場を設けて、陳情原文だけに集約されない様々な思いと情報を委員会に提供していただきたいと思うわけです。そのような過程なくして、陳情者の思いは、議会に伝わらないと思います。


 しかし、このような議会運営を認めないのは、行政側ではなく、何を隠そう議会側の人間である、自民党と公明党の議員さんたちです。
 もし区民参加型の開かれた議会を是とするならば、是非、これまでの慣例を打ち破ってでも、自民党と公明党の議員さんたちには、もっと柔軟な対応を望むものであります。


2010年02月10日