対馬を巡る在日外国人の地方参政権に関する問題
在日外国人の地方参政権について、国会では大きな話題となっているが、その影響を大きく受けるだろう対馬市議会では、今現在、はたしてどうなっているのか。議長に話を聞いてみた。確かに対馬市議会には、外国人参政権について、個人的に反対する議員は多い。日本全国からは、議会宛に、外参権について反対してくださいという陳情も来ている。
しかし、議会は平成17年に在日外国人に対して地方参政権を与えるという議決をしている。議会の整合性を考える議会人的発想からすると、今の対馬市議会では簡単に反対を言えない事情がある。
むしろ対馬の島民としては、外国人の参政権の問題よりも、島の活性化についての問題にこそ、興味関心がある。
例えば、対馬には自衛隊の陸海空の3軍がある。しかし、陸軍には戦車がなく、海軍には船がなく、空軍には飛行機がない。この事実に対して、イージス艦または掃海艇などの船舶をせめて1隻は、母港でなくても対馬に常駐して欲しいと要望している。
対馬で韓国人に対する排外的な政治運動が盛り上がらないのは、単に日常的な交流があるからだけではない。対馬では、万引きなどはあるにせよ、韓国人による日本人殺害などの重大犯罪はない。密漁に代表される色々な不満はあるにせよ、何を言ってもダメだというあきらめがあって、対馬の住民による政治的行動に結びついていない。それもあって、「地元における危機感」が、日本政府や東京を中心とした多くの人たちにマスコミを通じて伝わってこない。
だからといって、対馬と韓国の関係は、それほど良い関係とは言えない。歴史的なつながりが深い分だけ表面的な対立はないが、対馬島民で「好きよ」と言う人はそれほどいない。
通常、外国人との交流が盛んなになれば、当たり前のように男女が結婚し、混血の子どもが生まれ、更に交流が進むのだが、対馬ではそのようなことはないという。これは、対馬と韓国との交流があっても、あくまでも表面上のおつき合いに過ぎないという根拠にもなっている。対馬には韓国人から帰化して、日本国籍を持つ人もいると言うが、そのよう帰化人であっても、結婚するのは韓国人であって、日本人ではないという。つまり、韓国人とは、仮に帰化して国籍が変わったとしても、「純血性」を尊ぶ民族と言える。
今の日本の婚姻制度では、父母どちらかが日本人であるならば、生まれてきた子どもは自然と日本人として登録される。そこに何ら難しい手続きはない。
しかし、日本に来た韓国人があくまでも純血性にこだわるのであれば、一世はともかく、二世、三世と世代が変わっても、子どもたちが日本人になれることはない。この現象は日本の法制度における不備のように語られることもあるが、異国で定住してもなお、血族にこだわり続け、一向にその土地に馴染もうとしない「民族性」にも問題があると言える。
つまり、日本に定住している韓国人は、積極的に日本に馴染もうとすれば、自然と「日本人化」していくのである。
在日外国人の参政権の問題とは、「日本人化」を拒否し、あくまでも自国の民族性にこだわる日本定住者と、これから新しく日本に移住してこようとする外国人のために作られようとしている権利であって、決して既存の日本人のためにはならない。
祖国に帰る事を望まず、なおかつ「日本人化」することも求めず、それでいて参政権は欲しいというのは、どういう了見なのだろうか。「日本人化」の選択肢があるにも関わらず、その道を選択せず、それでもなお参政権を求める姿勢については、裏に隠された何か別の意図を感じてしまう。
今、対馬には民団や総連と言った団体はない。仮にあっても表だった活動はしていない。つまり、定住している韓国人は、対馬にそれほどいない。実際、市役所が把握している登録外国人の統計を見ても、韓国・朝鮮人は約60名であるが、外国人全体は100名超でしかない。韓国・朝鮮人の次に多いのがフィリピン人の40名であるが、これはほとんどが「お嫁さん」である。対馬の人口が3万6千人だから、外国人比率は、0.3%である。
ちなみに我が江戸川区の場合、人口は67万7千人であるのに対して、外国人登録者数は、2万5700人である。外国人比率は、3.8%である。
実は世間で騒がれているほど、対馬の外国人比率は高くない。よって、現状において、仮に外国人参政権が認められたとしても、対馬における影響力は少ないと言える。
ただし、議長の話では、昭和30年代には、対馬にもたくさんの韓国人が生活をしていた。炭焼きなどが主な仕事としていた。400人位の小さな学校であっても、その10%は韓国人であった。それが昭和40年代になると、知り合いなどの引きもあって、多くの韓国人が大阪へ移住した。よって対馬での韓国人は減ったそうだ。
このことからも言えることは、外国人参政権が認められた場合、その影響は、我々が心配している周辺離島ではなく、大都市部においてこそ多大であることがわかる。
2010年02月15日