田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

働かなくてもお金がもらえる区議会議員という仕事

 自嘲気味なタイトルを付けました。区議会議員の年収はざっと1000万円です。こんな高給取りを遊ばせておくなんて、もったいないとは思いませんか。真摯に考えれば考えるほど、労働力に対する対価としてはもらいすぎです。どうでしょう。純粋な労働力に対する対価としては300万円ぐらいが妥当でしょうか。しかし、現実には、1000万円もらっているわけですから、その分だけとは言わないまでも、せめて600万円ぐらいの働きはしなければ、区民に申し訳ないだろうと思うわけです。少しでも良心があれば思うはずです。


 しかし、区議会という場所は、議員のやる気を削ぐ場所なのです。いや「江戸川区議会」と限定しておきましょう。他区も一緒にして批判すると「違う」と言って怒られかねないですから。


 議会に本会議は年4回あります。私には、毎回一般質問をする能力があるし、やる気もある。質問の質が高いかどうかは、保証できませんが、少なくとも自分の意見や疑問を行政にぶつけてみたいという情熱がある。
 しかし、私のような一人会派の議員は、年一回しか一般質問をしてはいけないという江戸川区議会独自のルールがあるのです。それを決めたのが、自民党と公明党です。私からすれば、全くバカげているとしか言いようがない。とにかく突出して「目立つ議員」を議会内で作らせない「悪しき平等主義」が議会には蔓延しています。議会の中における発言によって、切磋琢磨しようとする発想がありません。これでは、選挙に当選さえすれば、あとは働かなくても(何も発言をしなくても)良い楽園にいられるわけです。

 2月17日から、本会議が始まりました。会期中に予算特別委員会という重要な集中審議会があります。私はここ7年間、1回もこの委員会には出席していません。何も私が怠慢で出席しないというわけではなく、一人会派の人間には、出席を認めないというのです。それが江戸川区議会の独自ルールなのです。東京23区で、こんな議会運営をしている議会は他にありません。公然と一人の議員を差別する。それが「江戸川区議会」の自民党と公明党の方針なのです。
 現在、江戸川区議会は、43人の議員がいるというのに、この委員会に出席できるのは、たった15人だけです。他の28人は出席できない。中には奇特な議員もいて、傍聴などもしている方もいますが、基本的に遊ばざるを得ない時間なのです。重要な委員会なのだから、もっと多くの議員が参加して、侃々諤々、議論を行えば良いと思うのですが、江戸川区議会は、相変わらず、たった15人で審議をしています。この間、28人もの高給取りは、審議にも出られず遊ぶしかないというのに。


 私は議会に4期もいます。長く染みついた慣習に対して、この様な待遇は、一人の人間としては確かに楽と言えば楽には違いありません。しかし、本当にこれでいいのかと、つくづく思うわけです。
 江戸川区民は、このように江戸川区議会議員を遊ばせておいて、仕事をしなくても済んでしまう江戸川区議会を運営している自民党と公明党に対して、何とも思わないのでしょうか。100歩ゆずって、働きたくないという議員に、無理矢理質問させるのは忍びない。それはそれでいい。しかし、働きたい、仕事したい、発言したい、質問したいという、もっともっとやる気がある議員の行動を、一つ一つチェックして潰していく、そのような議会運営を肯定している自民党と公明党の所業は、これでいいのでしょうか。自民党と公明党を支持している支持者一人一人に時間をかけてゆっくりと聞いてみたいものです。


 今になって、小泉政権時代における市場原理主義による激烈な競争社会は良くないという話を色々な場所で聞きます。何でもそうですが、行き過ぎた弊害は、確かにあったのかもしれません。しかし、江戸川区議会のように、何てお気楽な議会運営が目の前にあると、内部で競争しない社会って、果たして、自分たちだけが楽して、これで本当にいいのだろうかとつくづく思ってしまうわけです。
 現実による皮肉でしょうが、市場原理主義や競争社会を批判し、どこよりも平等な社会を作ろうとしている共産党の議員さんたちが、議会の中では一番よく働いているように見えます。
 逆に、資本主義を肯定し、一時は市場原理主義を標榜する小泉改革を推進してきた自民党の議員さんたちが、議会の中では一番楽しているように見えます。そして、その安楽さとは、私のような他の議員の足を引っ張り、徹底して邪魔をして、極力議会内で活動させないことで保証されているのです。


 良心の呵責があるからこそ言いましょう。
 今現在の、私が体験しているお気楽な議員ライフは、自民党と公明党が、江戸川区議会の中で、2/3以上の多数を占めている限り、保証されてしまうのです。43名の区議会議員の中で、30名が自公議員なのです。自民党と公明党の議員を一緒にして、自公議員などと呼ぶと、「失礼だ」と怒り出す議員さんがいるかもしれませんが、江戸川区議会の中で、かつて自民党と公明党の意見が分かれたという事案がどれだけあったでしょうか。嫌、全くありません。まるで同じ会派であるかのように、常に議会に出てくる意見は一致しています。嘘だと思ったら、江戸川区議会における賛成・反対の統計を調べてみてください。自民党と公明党は、全くの同一歩調です。常に同一歩調で歩んでいく、第1会派と第2会派の姿は、戦中の大政翼賛会のようなものです。議会内に対抗勢力がない議会とは、スムーズな議会運営と引き替えに、議論らしい議論を避けて運営されてしまう、ある意味、恐ろしい議会なのです。どんなに私が反対して、「○○したい」と言ってみたところで、一人会派に対しては、「働かなくてもいいんだよ」とささやくように、邪魔してくれる。私が議会の中で質問しなくても良い理由を、自民党と公明党が率先して作ってくれる。
 こんなにパラダイスを、現世ではそう簡単に見つけることはできません。読者の皆さんの中で、「これはいい」と少しでも思ったあなた。是非、来年予定されている区議会議員選挙立候補して、あわよくば、私と一緒に、この楽園で過ごしてみませんか。


 そう。少しでも常識的な判断ができる区民が、区議会に来てもらって、この楽園を許している、自民党と公明党の脚を引っ張ってもらいたいのです。それは私が日常的に、彼らからされていることですよ。何もためらうことなく、しっかりつかんで、何度でも引っ張ってもらえると、少しは江戸川区議会も、楽園から、普通の議会らしく変身すると思います。そうやっと、他の議会並みに。
 私は断言できます。江戸川区議会こそが、日本の地方議会のレベルを著しく引き下げている元凶なのです。


2010年02月20日