実態はともかく、女性とは弱く見られてしまう存在
頭骨折・眼球破裂…24歳女性、路上強盗に殴られ重傷
2010年3月1日9時54分 asahi.comより
28日午後11時25分ごろ、愛知県蟹江町学戸7丁目の路上で、自転車で帰宅していた同町内のアルバイト店員の女性(24)が男に顔を鈍器のようなもので殴られ、現金約1万8千円入りの財布や携帯電話などが入ったかばんを奪われた。女性は頭やほおを骨折、左目の眼球が破裂するなど重傷を負った。男は車で逃げたといい、蟹江署は強盗致傷容疑で調べている。
同署によると、男は女性の前方で歩道上に立っており、女性が車道を自転車で通り過ぎようとしたところ、いきなり殴りかかってきた。路上に倒れ込んだ女性からかばんを奪うと、現場から約20メートル離れた飲食店の駐車場に止めてあった黒っぽい軽自動車で逃げた。現場付近を通りかかった会社員が女性の悲鳴を聞いて119番通報した際、走って車に向かう男の姿を見たという。
男は茶髪で黒いダウンジャケットを着ていたという。
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「戦後、強くなったのは女性と靴下」
こんな言葉が一時もてはやされた。女性が強くなったと言っても、言われた女性にしてみれば、「強くなった」は誉め言葉でもないらしく、喜んでくれない。相対的には全く同じ意味なのだが、男性が弱くなったというと、喜んでその指摘には賛同してくれる。
自らは不変の変わらぬ者として位置づけ、相対的評価として、周りの事象に、上下左右のコメントを付けることは、古今東西、珍しいことではなく、ごく一般的なことだろう。
事実として、男性は弱くなった。その根拠として以下の統計をあげることができる。
平均寿命
自殺者数
かかあ天下の一般化
時には自虐的に、時には冷静に、時には面白可笑しく語る「男性の弱体化」についてであるが、こと暴力事件における被害者という面だけで言えば、女性はまだまだ弱者であり、犯人から狙われやすい対象であることは間違い無い。
統計を見たことがないのでハッキリしたことは言えないが、こと暴力事件における被害者は、圧倒的に女性ではないだろうか。そうまだまだ女性は弱者である。
上記の事件が、酷い事件であることはいうまでもない。私の感覚として言えば、単に「鋭利な刃物で刺されて殺された」と言う記述よりも、「左目の眼球が破裂するなど重傷を負った」のような後者の記述の方が、よほど痛々しいように感じる。それは人の生死よりも、正に感覚的な残酷さに対する拒否感に比例する。思わず顔をしかめてしまう。
この事件を知った人は、どのような反応をするであろうか。犯人のとんでもなさを批判することは容易だ。被害者に感情移入して、とことんまで犯人を批判することは、批判者にとっての「ストレス解消」にもつながるので、大いに行われるであろう。「死刑にしろ」という主張には安易に同意できないが、それでもそのぐらいの気持ちに対しては、簡単に同意できるだけのいきどおりを私も感じる。
ただその一方で、この様な事件の再発防止には何をしたらよいかという設問については、犯人を捕まえて、切り刻んだとしても、再発防止の答えにはならない。厳罰化で、犯罪の再発は防げない。
再発防止のための提言
① 生活困窮者には現金を与えよ。
犯人は、結果として、1万8千円のお金を盗んで逃走した。もし犯人に充分なお金があったのならば、このような犯行をしていただろうか。「盗人に追い銭」なる言葉を想像される人もいるだろうが、やはり、生活苦による犯罪者を増やさないためにも、一定のお金は生活困窮者に配り続ける制度は必要である。
② 女性に深夜の夜道を歩かせない。
厳しい世論の中には、夜道を歩く女性が悪いという人もいる。私用でもそうだが、これがアルバイト帰りとなると、女性を深夜まで働かせている職場に対して、一定の配慮というか義務を課すべきではないだろうか。当然、夜遅くまで働かせない。またはやむを得ず働かせてしまった場合には、タクシーで自宅まで帰ってもらう。このぐらいの対応は必要だ。
③ 歩行や自転車を回避する。
同じ深夜の移動であっても、もし車での移動であれば、犯人としても、躊躇したかもしれない。身体が外気にさらされている歩行や自転車運転は、それだけで犯人から狙われやすい。スピードも遅い。それに比べて、車ならば、軽自動車と言えども高速移動は可能だし、一応箱の中に入っていると言うことから、まだ襲われる危険性が低い。タクシーが使えないような場合は、自家用車による通勤・通学を特に女性には認めるような社会的合意があってもいい。
④ 一人では行動しない。
親しい男性に送ってもらうことが一番いい。もちろんその男性が「送り狼」にならないことを前提にしての話ではある。
この治安がいいと言われている日本であっても、この様な事件は稀に起こる。くれぐれも女性には、深夜における路上で犯罪に巻き込まれないように気をつけて欲しい。
時々、男性側から、「女性が強くなった」とちやほやされ、冷やかされることもあるだろうが、この様な事件を目の当たりにすると、やはり「女性は弱く見られてしまう存在」だと、ご自身がもっと認識して置いた方が良いだろう。その注意深さが、犯罪の再発を防止するのだから。
2010年03月03日