多数決病
今、江戸川区議会が陥っている病理現象を私は「多数決病」と名づけた。
具体的には、どのよう症状をこの様な病名で呼ぶのか。
今、江戸川区議会は44名の議員定数がある。欠員が1名あるので、実質的には43名の議員数である。
自民党が17。公明党が13。共産党が5。民主党が3。ネット無所属が3。一人の会が1。プロジェクト江戸川が1。計43名である。
江戸川区議会には交渉会派という制度があって、4名の会派に対して一名の代表者を選出することができる。この交渉会派の代表者が集まって議論をする場所が、議運理事会なのだが、今は交渉会派だけで議論をしようとすると、自民党、公明党、共産党の3会派だけの議論になってしまうため、例外的扱いとして、民主党とネット無所属が、そこに加わり、5会派の代表と議長、副議長を加えたメンバーで、議運理事会が開催されている。
つまり、議運理事会には、そのメンバーではないので、一人会派の意志を表明する機会は与えられていない。つまり、一人会派の権利は、議会の中で保証されないし、権利の主張をする機会もない。
今、一人の会に属している、私からの要望としては、一般質問が、年間1回、かつ20分間しかない状態を、年4回質問できる状態にして欲しいと要望している。かつ予算特別委員会、決算特別委員会に出席させて欲しいと
要望している。大きく言えば、この2つだけである。
他の議会では、そもそも問題とならないような待遇改善から、一人会派として発言していかなければならないことに、議会活動上の難しさを感じているわけだが、これがなかなか改善されない。
なぜ改善されないかと言えば、「一人の権利を守ろう」という発想で議会が動いているのではなく、「多数決で物事を決めよう」という発想で議会が動いているからである。
一人の権利の制限については、本来、多数決に馴染むような話では無い。なぜならば、多数決にしてしまえば、確実に一人の権利などは消し飛んでしまうからだ。だからこそ、民主主義では、一人の権利が尊重されなければならないわけだが、これが江戸川区議会には全く無い。
メンバーが10名いて、「一人会派から、一般質問の機会を増やすようにと、決算特別委員会、予算特別委員会に出席したいとの申し出がありましたが、いかがいたしましょうか」
このような議題に対して、当事者でない人たちが、イエスとは言わないのだ。
「反対多数により、否決されました」
この様なことを延々と繰り返しているのが、今の江戸川区議会である。
つまり、この議題は、多数決に馴染まない。このような価値観が議会の中で確立し、一人の議員に対しては、どのような状況であっても、一人の議員としての権利を認めると言うことが、議会全体の共通認識になっていない場合は、簡単に一人の議員の権利などは、消し飛んでしまう。
多数決病に陥ってしまった江戸川区議会には、未だ出口が見えてこない。
2010年04月03日