行き詰まる小選挙区制
第1党の保守党、自民との連立視野 英国の総選挙
2010年5月7日23時40分 asahi.comより
【ロンドン=土佐茂生】6日投開票された英国の総選挙(定数650)で、第1党になった保守党のキャメロン党首は7日午後、ロンドンで会見し、第3党の自由民主党と連立政権を組むことも視野に協議を始める意向を明らかにした。保守党はこれまで連立には否定的だったが、議会の過半数をとれない状態になり、踏み込んだ。労働党のブラウン首相も自民党との交渉に意欲を見せており、新政権をめぐるつばぜり合いが激しくなった。
両党が交渉入りすると自民党が求める選挙制度改革が最大の難関となるが、キャメロン党首は「超党派で選挙制度改革について話し合う委員会を設ける必要がある」と語った。
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今、日本では「第三極」と呼ばれるポジションを巡って、ちょっとしたミニ新党ブームが起きている。国民新党・新党日本・新党大地・みんなの党・たちあがれ日本・日本創新党・新党改革・大阪維新の会と、思いつくだけでも、これだけの新党がある。
鳩山政権との距離の取り方はそれぞれだ。第2民主党とか、第2自民党とか、またはそれぞれの補完勢力というように、陰口をたたかれることもあるミニ政党ではあるが、民主党と自民党という二大政党に治まらない多様な価値観が有権者にあることの反映だと思えば、とても面白い現象である。
さて、イギリスの自由民主党は、第三極として確固たる地位を築いた。そこで要求しているのは選挙制度改革である。当然だろう、イギリスの自由民主党は、小選挙区制という制度によって、支持率以下の議席しか常に獲得できなかった。どんなに大きな声援を受けていたとしても、第三極に議席は回ってこなかった。今回もまた、650議席の内、61議席と、議席数は伸びなかったようだが、第1党、第2党ともに過半数を確保できなかったことから、俄然自由民主党の存在感は増してきた。
自由民主党は、自分たちに不利になる選挙区制度の変更を連立政党に迫るであろう。よって、イギリスは近い将来、小選挙区制をやめる可能性が高い。長い小選挙区制の歴史を持つ、イギリスは、その歴史に幕を閉じようとしている。
では、これからの日本の政治制度はどうなるのか。やはり日本においても、小選挙区制は、早々に廃止すべきであろう。廃止したあとに、比例代表制になるのか、中選挙区制に戻るかはまた別の議論だが、とにかく小選挙区制はやめた方が良い。今、小選挙区制はそのまま残しつつ、比例の議席を大幅に削減しようとする案が出ているが、これは愚の骨頂である。小選挙区導入が謝りであったことにも気づかず、更にその上塗りをしようとしているのだから、考え直した方がいい。
日本では第三極がもてはやされるほど、多様化した政党が色々な主張をして、国会で議論を戦わせる姿を、有権者の一人としては見てみたいものである。
2010年05月08日