現政権には、最低限、このぐらいの仕事はして欲しい
「全面可視化しかない」冤罪事件の被害者ら集まり証言
2010年5月31日9時1分 asahi.comより
再審で無罪が確定した「足利事件」の菅家利和さんら、三つの冤罪事件の被害者が、冤罪被害の実態を訴える市民集会が30日、水戸市で開かれた。それぞれ、身に覚えのない事件で逮捕され、自白に至った過程を生々しく証言した。水戸地裁土浦支部での再審を控えた「布川事件」の桜井昌司さんと杉山卓男さんも参加し、冤罪を防止するには、刑事事件の取り調べを全面可視化することが不可欠だと訴えた。
集会には、富山県で起きた強姦(ごうかん)事件で別の犯人逮捕によって冤罪が発覚、07年に再審無罪が決まった「氷見事件」の柳原浩さんや、03年の鹿児島県議選の選挙違反事件で全員が無罪判決を受けた「志布志事件」の川畑幸夫さんが参加した。
菅家さんは、早朝に自宅に踏み込んできた3人の刑事に、殺害された子の写真を目の前に示されて「謝れ」と迫られた体験を告白。冥福を祈る気持ちで手を合わせると、「やっぱりおまえが殺したんだろう」と言われたという。
「楽になれると思った」「ここでは信じてもらえない。次の段階に進まなければと思った」「もういいと思った」――。5人が「自白」をもとに有罪に追い込まれた過程を述べた後、日弁連で「取り調べの可視化実現本部」副本部長を務める小坂井久弁護士は「人間は攻められ続けることに慣れていない。本当にやっていない人は自白が29年間もの服役と引き換えになるという現実感がないので、サインをするだけで苦しい状況からのがれられると思ってしまう」。
杉山さんと桜井さんは、一度認めた後、実際に体験したかのような詳細な供述調書が作られていった経験を語った。
「これから録音テープをとる。わからないことは今のうちに聞いておけ」。杉山さんは警察の取調官からこう言われ、供述調書を読み上げられるなど準備をした上で録音に臨んだという。一審で有罪判決を出した裁判官は、録音テープを聴いて「真犯人でなければ、こんなにスラスラ言えるわけがない」と法廷で言い切った。
杉山さんは最後に「法廷で取り調べのやり方を議論しても水掛け論になる。裁判官や裁判員の人にわかってもらうには取り調べ全面可視化しかない」と参加者に訴えた。(中村真理)
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取り調べの可視化は、待ったなし
2010年05月31日