公正な低価格競争を望む
「休憩も仮眠もとれない」東横イン社員ら労組結成
2010年6月4日13時46分 asahi.comより
仮眠もとれない長時間労働やサービス残業を改善してほしい――。大手ビジネスホテルチェーン「東横イン」(本社・東京都)で働くフロント社員らが「東横イン労働組合」を結成し、3日、深夜の休憩確保や労働時間に見合った時間外手当の支払いなどを求めて会社に団体交渉を申し入れた。東横インの社員らを対象にした無料電話相談も各地で受け付ける。
労組を立ち上げたのは、大阪市と兵庫県尼崎市の店舗で働くフロント社員と退職者ら女性十数人。同社にはこれまで労組はなかった。
委員長の三田(さんだ)圭子さん(39)は、大阪市内の店舗でフロント業務を担当。忙しい時期には一晩で150人を超す宿泊客を受け入れる。しかし深夜のフロント勤務は1人のみ。飛び込み客や客室からの電話の対応などで「休憩や仮眠がとれないのは当たり前」という状態が続いたという。
三田さんは「『1人体制では無理』とずっと訴えてきた。だが上司も会社との板挟みで何も変わらず、労組をつくるしかないと思った。火災など緊急時の対応に不安がある。従業員の健康とお客様の安全を守ってほしい」と語る。
会社への要求には、スタッフ増員のほかに、出産・育児をする社員が働き続けられる育児休業の保障などを盛り込んだ。
労組結成を支援した大阪全労協・ゼネラルユニオンの山原克二委員長は「各地で同じ労働問題が起きているはずで、全国約200店舗で働く社員にも加入を呼びかけたい」と話す。
東横イン広報部は「申し入れを受けたばかりでコメントはできないが、労働法を守ってきちんと対応したい」と話している。(清川卓史)
-------------------------------
旅行好きの私としては、東横インとスーパーホテルのような低価格のビジネスホテルをよく利用している。1泊2日でシングル6,000円前後、それに朝食が付いてくる。立地などの条件の違いによって、値段のばらつきはあれど、だいたいどこのホテルでも同じようなサービスが提供される安心感が、東横インにはある。
しかし、今回、労組が結成されるにあたって、この低価格で優れたサービスがどれだけ従業員の犠牲によって成立していたのかと改めて、利用者の一人として思い知ったわけだ。
確かに客としては、可能な限り安くて優れたサービスを提供して欲しい。しかし、だからといって、従業員を犠牲にしてまで、低料金は求めていない。従業員を犠牲にした上で実現する低料金とは、どこかにその分、同様にサービスの低下が客に跳ね返ってくると思うからだ。
東横インは、ビジネスホテルにあっては、大手なのだろう。障害者に対する施設・設備をあえてつくらなかった不正改造問題でも世間を騒がせた企業だが、これからは客のことだけでなく、従業員のことも同時に考え、遵法意識を更に高くもって、よりよりサービスを利用者に提供して欲しい。
2010年06月04日