働かせないための残業代
「デートより残業を優先する」 今春の新入社員の8割超
2010年7月6日7時45分 asahi.comより
今春の新入社員の8割超が、「デートより残業を優先する」と考えていることが、日本生産性本部などの調査でわかった。第1志望の会社に入った人は前年比7ポイント減の約55%。同本部は厳しい雇用環境を反映し、プライベートより仕事に重点を置く傾向が強まっているとみている。
調査は今年春に同本部の研修に参加した新入社員2663人を対象に実施した。「デートの約束があるとき残業を命じられたら」の質問には、約85%が「残業する」と答えた。1972年に調査を始めたが、残業派の比率は、バブル崩壊直後の91年に60%程度にまで低下。その後は増加傾向が続いているという。
「いずれリストラされるのか不安だ」(前年比5.1ポイント減の41.0%)「いずれ会社が倒産するのか不安」(同1.3ポイント減の26.4%)と、雇用不安はやや薄らいでいる。
-------------------------------
個人の生活よりも、企業の都合を優先させる日本社会の構図は、政権交代前後でも変わっていない。
はたしてこの様な社会で良いのだろうか。
私は長年、海外を旅行した経験から、「働くことは必要悪であり、家族と楽しい時間を過ごすことが善」というヨーロッパ的な価値観の元、日本の労働環境にも何か個人がゆとりを感じられる変化を与えたいと考えていた。
現在、1日8時間を超える時間外労働における割増率は、25%以上となっている。こんなに少ない割増率では、「働かせるための残業代」である。ここには、根本的な哲学の変更が必要だ。つまり「働かせないための残業代」という発想である。そのためには、1日8時間を超える残業代の割増率は、100%以上とすべきだろう。こうするとどうなるか。この残業代の設定は、労働者のための発想ではなく、経営者に対する罰を与えるという発想で設定されるのだ。よって、経営者が望んで、労働者を早く帰そうとすることになる。仕事量が増えた場合は、その仕事量に見合った人員を別の方法で確保することが、経営者に求められる資質となる。その仕事をしなかった、またはできなかったことに対する罰が、払う側の残業代という考え方だ。
これからは、公務員に対しても厳しい時代になってくるだろう。民間も含め労働組合にも批判が集中している。だからこそ、労働者一人一人の生活を保障するような法律を十分に整備しなければ、日本国民の幸福は実現できない。
時間外労働、深夜労働、休日労働など、それぞれの割増率を、大幅に増やすだけで、日本における労働環境は、ガラリと変わってくる。
フランスの女子大生に「日本人は何のために働くのですか」と質問されて、「日本人は、働きたいから働くのだよ」としか答えられなかった私なりの反省が、ここにある。
そのフランス人の女の子は、そのあと、私に対してキッパリと言った。
「私は、愛する家族のために働きます」と。
ここに、根本的な労働に対する価値観の違いを読み解くことができる。
2010年07月06日