生活保護と刑務所の間に
熱中症:電気代が払えず76歳の男性死亡 さいたま市
15日午後4時20分ごろ、さいたま市北区の無職男性(76)が自宅で倒れているのに同居の無職の長男(48)が気づき、近くの公衆電話から119番した。救急隊員が駆け付けたが、男性は熱中症で既に死亡していた。
埼玉県警によると、部屋にエアコンはあったが、電気代が払えず十数年前から電気は止まっていた。同日午後1時ごろ、長男が、男性に頼まれて近くのドラッグストアで氷を買って渡したが、約3時間後、布団の上であおむけに倒れていた。男性は長男と2人暮らしで、収入は男性の年金だけだったという。
熊谷地方気象台によると、15日のさいたま市の最高気温は35.8度だった。【飼手勇介】
毎日新聞 2010年8月16日 20時11分
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非常にお気の毒な話である。家に住んでいたとはいえ、天候が原因で体調不良となり死んでしまったとなれば、冬、ホームレスで凍え死ぬのと何ら代わりは無いだろう。
これだけ暑い日が続くと、もはやエアコンは、生活必需品として考えないことには、これからも同様の死者を、この日本で出していくことになるだろう。
私は常々思っているのだが、この日本には、生活保護と刑務所の間に、生活を安定させるために運営する、半強制的に滞在する福祉施設が必要だと思っている。
これまで何度かお伝えしたとおり、今や刑務所は、その実態が、究極の福祉施設となっていて、殺人や放火のような凶悪事件を犯した人は1%ほどしかなく、受刑者のほとんどが強盗や窃盗などの軽微な罪に過ぎない。それも貧困を原因とした犯罪ばかりだ。
この様な人たちには、しっかりとした福祉施設があれば、本来犯罪を犯す必要性が無かった人たちである。それにも関わらず、生きるために犯罪を犯してしまった、いやむしろ刑務所の中で生きるために犯罪を犯してしまった人たちなのである。
それならば、しっかりとした設備がある、半強制的とはいえ、決して犯罪者扱いをしない施設の中で、安定した生活を営んで欲しいと私は思う。
あらためて言うまでもなく、刑務所は福祉施設ではない。しかし、実態として福祉施設としての役割を担わされている現状を鑑みれば、刑務所とホームレス、いや生活保護との間に、何か別の対応策が必要なのでは無いだろうかと、私はつくづく思うのである。
2010年08月18日