田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

貧しい者を追い詰めても、悲惨な結果しかもたらさない

102歳遺体:逮捕の五女 母親は96年ごろ死んだと供述
2010年8月29日 毎日新聞より


 福島県いわき市平下荒川の市営住宅で、生きていれば102歳になる渡辺みちさんとみられる白骨遺体が見つかった事件で、県警いわき中央署は28日夜、この部屋でみちさんと同居していた五女の無職、愛子容疑者(70)を詐欺容疑で逮捕した。


 逮捕容疑は07年9月10日、みちさんが生きているように装い、同市から100歳の敬老祝い金30万円を詐取したとしている。「母親は1996年ごろに自宅で死んだ。収入がなく、祝い金は生活費として使った」と供述しているという。


 同市などによると、54年に死亡したみちさんの夫の遺族年金も支払われており、同署は年金の不正受給の可能性もあるとみて調べている。


 同市が先月から始めた高齢者の生存確認調査を愛子容疑者は拒否。今月24日の同署による捜索で押し入れから遺体が見つかった。愛子容疑者は18日から行方が分からなくなっていたが、28日に同署に出頭した。「遺体が見つかるのが怖くなり、県内外のホテルを転々とした。世間にやってしまったことがわかり、お金もなくなったので出頭した」と話しているという。【神保圭作】
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 今回のケースのように、とっくに死んでいる親族になりすます年金詐欺は、全国各地で多々あるだろうとは思う。私はこのような不正受給を批判すると共に、徹底した実態調査により、このような不正受給を許すべきではないと考える。
 しかし、今回のような貧困が原因となった犯罪に関しては、この容疑者に対して、単純に犯罪として処理さえすれば問題は解決するのかと言えば、私はそうではないと考える。
 貧困者を追い詰めた結果、得られる未来とは、自殺かまたは別の犯罪である。生きてゆくため、刑務所の入りたいが故の犯罪もある。


 最低限の福祉制度の充実とは、もう何度も語られてきた政治的お題目のようにも聞こえるだろう。ただし、私の場合は、具体的には、8月18日の日記でも言及したように、貧困者を対象とした半強制的に滞在させる福祉施設の創設が必要だと思う。
 これもよく言われることだが、生活保護の対象者であっても、酒、タバコ、ギャンブルなど、直接生きるために必要が無い行為であっても、自堕落にお金を消費してしまう人間に対して、納税者からの反発は大きい。
 貧困者を集め、福祉施設へ半強制的に滞在させることで、本人へはわずかだがお金が得られるという動機付けを与え、生活改善と働く意欲を持たせるような生活指導を行ってはどうだろうか。


 このような意見を言うと、「随分と上から目線の発想だね」などと批判をされたりもする。それでも私は彼らが、犯罪者となってより不自由な刑務所暮らしをするよりは、よほど快適な生活が保障されるはずだと確信する。


 貧困問題を語るとき、犯罪と刑務所の存在を考えずして、今や日本の貧困問題は語れないと私は考えている。「真の貧困」とは、刑務所の中にこそあるのだと言うことを、是非多くの人たちにはご認識いただきたい。


2010年08月29日