足立区中央図書館を視察して
子育て・教育力向上特別委員会の有志により、9月10日(金)の午前中から、足立区中央図書館を視察した。
図書館行政に対して特に造詣が深いわけではないが、館長の説明を聞いたあと私は二つの質問をした。
①図書館に限らず、区民施設には駐車場が併設されていることがよくあります。私は常々思うのですが、なぜ公共施設の駐車場は無料にしないのでしょうか?
よく「駐車場を使う人には駐車場を使うメリットがあるのだから、受益者負担の考え方からして、駐車場の有料化は変える必要がない」との理屈があります。
しかし私の主張では、車を使わなければならないほど図書館から遠いところに住んでいる人は、メリットではなくデメリットを受けています。デメリットだからこそわざわざ時間とガソリン代を払って、遠くの図書館まで通わなければならないのです。このような人たちが駐車場を使って、果たして受益者と言えるのでしょうか。
真の受益者とは、車を使わなくても済むほど近くに住んでいる人たちなのです。車を使わないのですから駐車場も使いません。近くに住んでいる人は時間も失わないし、ガソリン代も駐車場代も払う必要がありません。
しかし遠くから来る人は、多くの時間を潰し、ガソリン代と駐車場代を負担しないと図書館には行けません。これでは負担格差が広がるばかりで、より平等な区民サービスの提供にはなりません。
この様な不平等を放置しておくからこそ、図書館に限らず、様々な区民施設の誘致を、町や丁目ごとの狭い範囲で行い続けるのです。これからの時代は数少ない区民施設をいかに区民全体が有効利用するかを問題にして、経営していく必要があります。遠くの区民であっても、使いやすい区民施設があれば、狭い範囲での区民施設誘致合戦も無くなります。だからこそ、駐車場の無料化は必要なのです。
このように江戸川区では、私は区長に言ったりもしたのですが、未だに改まっていません。足立区さんではこの点について、どのようにお考えでしょうか。
②今の時代は優れた一つのコンテンツを、小説・マンガ・ゲーム・アニメ・映画・音楽など、様々なメディアを通じて表現する時代です。これまでの図書館は紙ベースでの情報を中心に収集閲覧させてきました。それに対して、これからの図書館行政は、果たしてこのままのサービスで良いのでしょうか。その点、いかにお考えかお聞かせください。
①については、やはり江戸川区同様に最初の30分は無料だが、それ以降は有料となり課金されるとのことだった。
②についてはハッキリとした答えをいただけず、思わず私の方から「今後の課題なんですよね」などと助け船を出してしまったほどだ。
①の駐車場に関しての対応は、やはり私のように発想する人間が少ないと言うことなのだろう。まるで、駐車場を無料にするなど考えたこともなかったという人がほとんどではないだろうか。これからも粘り強く自説を訴えていく。
②について、実は私は、メディアミックス時代にあった様々なメディアを図書館が収集閲覧しろと言いたいのではなかった。もちろん、それはした方が望ましいことには違いないが、どの自治体であっても十分対応し切れている自治体は無いであろう。
なぜこんな「意地悪にも似たような質問」をしたのかというと、紙ベースならば紙ベースでなぜ図書館は情報を収集し続けるのか、その意味をしっかりと語って欲しかったのだ。ただ漫然と、昨日やってきた作業を今日も行い明日も行っていくというだけの理由ではない、何か紙にこだわる理由を一緒になって考えて欲しかったのである。
たとえば私が回答例を言えば、映像にしろ音楽にしろ、それを保存する器が、時代の流れに耐えられないから保存対象としない。このようなことを聞きたかったのだ。映像は主流の方法だけでも、昔は8ミリテープで録画し、それがVHSに変わって、DVDになり、今ではブルーレイになろうとしている。音楽も同じように、レコードからCDに器が変わってしまった。今やネット配信された音楽が、iPodのような音楽機械に取り込まれて、そこから聞くような時代である。
このように映像にしろ、音楽にしろ長い時間の流れの中で、メディアは陳腐化していくのに対して、紙は何年経っても陳腐化はしない。だからこそ、紙ベースの情報を中心に図書館は収集していくのです。こんな回答を聞きたいなと思って、質問しました。
どちらにしても、電子図書などが登場し、本が必要なくなるのではと噂される現代社会にあって、図書館行政もこのような変革を迫られている時期なのかもしれません。
時代はどんなに変われども、これからの図書館サービスとは、変わる部分と変わらない部分をしっかりと見据えながら、運営されるべきだと私は思います。
これからも図書館は様々な情報を区民に提供する「知の金庫」であり続けて欲しいものです。
2010年09月14日