田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

区内共通商品券を使った現代の錬金術

区内共通商品券(以下「商品券」という)を使った錬金術の可能性について言及する。

 とある区民から、江戸川区の補助金が不正に支給されているという話を聞いた。

 事件の背景には、定額給付金の存在が関係していた。

 ここに江戸川区と江戸川区商店街連合会及び江戸川区商店街振興組合連合会(以下「乙」という)において、交わされた協定書がある。

第1条 本協定の目的は、定額給付金の給付に合わせて、商品券を使用して買物を行う区民等に対し、平成21年4月の間にあっては、15%の割引きを、同年5月から9月末日までの間にあっては10%の割引きを行う事業を実施し、もって区内商店街の活性化を図り、乙への新たなる加盟増の促進に向けた取組みの推進に資することを目的とする。

 この様な文章がある。これ自体は、何ら問題がある目的とは言い難いが、この様な制度を悪用し、簡単に私服を肥やすことができるという情報提供だった。
 まずどうすれば、商品券を使った錬金術が可能になるのか、正常な取引きで行われている構造を「区内共通商品券の流れ」と題する図表を参考にして説明する。


 まず解りやすさから言って、客を主体にして話をすすめる。


①客(主に区民)が、1,000円の商品券を持っていたとする。1,000円の商品券で、江戸川区における特定の小売店から買い物をする。すると、小売店に1,000円の商品券が入り、客は1,000円分の商品を手に入れる。
 小売店は1,000円の商品券を金融機関に持っていく。そうすると金融機関から1,000円分の現金がもらえる。
 金融機関は、乙に使用済み商品券を渡すことで、1,000円分の現金を受け取ることができる。
 これが一連の商品券の流れである。


 しかし、問題は、江戸川区と乙との交わされた協定書にもあるように、10%や15%と言った割引きを行う補助金行政にあった。


 10%や15%割引くという補助金行政を前提に、商品券を流れの説明を、①を参考にして行う。


②客つまり区民が、1,000円の商品券を持っていたとする。1,000円の商品券で、江戸川区における特定の小売店から買い物をする。すると、小売店に1,000円の商品券が入り、客は1,000円分の商品を手に入れる。ただし、10%割引販売の場合、客は1,000円分の商品を入手しながら、100円のおつりももらえるのだ。
 小売店は1,000円の商品券を金融機関に持っていく。そうすると金融機関から1,000円分の現金がもらえる。
 金融機関は、乙に使用済み商品券を渡すことで、1,000円分の現金を受け取ることができる。
 補助金行政があると、この次から流れが違ってくる。
 区振連は、使用済み商品券を回収すると、それを根拠に江戸川区に対して、割り引いた10%分の補助金申請を行う。
 それによって、江戸川区は、10%分の補助金を乙に支払う。その乙が、割引販売を行った小売店に対して、10%分の100円を支払うのである。


 さて、ここで問題となってくるのは、客と小売店が同一人物、または仲間同士だったらどうなるかと言うことだ。1,000円の商品券が最終的には1,100円となって手元に返ってくる仕組みなのだ。
 商品券を使って買い物をすれば、それに比例して、10%ずつ儲かる仕組みになっている。いや正当な売買があって10%の利益が上がるのならば問題はない。しかし、架空の売買を作り上げて、商品券だけを環流させて、補助金を受け取っていたとすれば、これは詐欺である。


 このことを区職員に問いただしてみた。すると、あっさりと私の指摘を認めた。そう不正が可能なシステムがここにはあった。
 しかし、この補助金行政は、不正が起こらない「善意の人たちが運営することを前提とした制度」だという。つまり不正の有無よりも、より多くの商品券を江戸川区で使ってもらって、江戸川区の商業を活性化させたいという大義に基づいているというのである。
 それにこの様な指摘をしたら、そもそも補助金行政などできないという。
 どのような行政であっても、似たような事例はあるという。


 例えば1万円の建築資材を買いました。実際は7,000円の建築資材でした。しかし区には、1万円の請求書が届きました。それに対して、区はその1万円という請求額を信じて、1万円を支払うのであって、実際に7,000円かどうかなどは、調べない、調べられないというのである。これによって、労せずして、3,000円が業者の儲けとなってしまっても、仕方が無いのだという。
 つまり、そこに不正があったとしても、それを追及するのではなく、黙認しているというのだ。


「不正を認めるのか」
 この様に私が言うと、「不正は良くない」という。
 しかし、確固たる証拠でもない限り、江戸川区としては、この件を告発するなどという対応はできないともいう。


 変に「疑わしきは罰せず」という常識が働いて、不正は疑いのまま放置されている。はたして、このように商品券を使った税金の不正還付が現実にできてしまうことに対して、積極的に調査をしようとしない江戸川区の対応を、我々区民は、認めることができるのだろうか。

 商品を使った錬金術が、実際にできてしまうこと問題だが、そのような事実を把握しておきながら、根本的な対策も立てずに、それをあっさりと黙認してしまう江戸川区の「不正に甘い」体質を、私はこれからも問題にしていくつもりだ。


2010年09月21日