禁煙政策、ビリからトップへ。15年の歴史を振り返る
江戸川区施設を全面禁煙 都内で初めて
2012年4月から
江戸川区は2012年4月から、区役所庁舎や体育館などの区施設を全面禁煙にする。受動喫煙の防止が目的で、10月1日に受動喫煙に関する区の基本指針を改正し、1年半の準備期間を設け、各施設の喫煙所などを徐々に廃止するという。
区によると、厚生労働省が全国の自治体に保有する施設の全面禁煙を求める通知を出した今年2月以降、全面禁煙化を決めたのは都内で初めてという。
区は現在、学校や、保健所など健康関連施設を全面禁煙としているが、区役所庁舎、区立の体育館やスケートリンクといった体育施設などは原則分煙としている。
厚労省の通知を受け、区は愛煙家を含む各部署の代表を集めた検討会で議論した結果、「受動喫煙を防ぐには全面禁煙しかない。実施にはまず区職員から範を示さねば」と決めたという。
基本指針は、たばこが値上がりする10月を機に改定されるが、「着実に実行するには、職員の健康指導なども進める必要がある」として、1年半の準備期間を設定。区職員は男性で約4割、女性で約1割の喫煙者がいるとされ、健康推進課の前田裕爾課長(51)は「少なくとも勤務時間中のたばこはやめられるようにしてほしい」と呼びかけている。
(2010年9月28日 読売新聞)
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手前味噌になるが、1995年の初当選からずっと、江戸川区議会で禁煙を訴え続けてきたのが、私タナカケンである。
当時は、禁煙などと言う概念が庁舎内にはなく、喫煙職員はところ構わず、吸いたい放題が許されている時代だった。
あれから、15年の月日が経ったわけだが、思い起こせば、これまで色々なことがあった。
初めて私が本会議で禁煙を質問として取り上げたとき、当時の中里区長が「事務室では喫煙しないように」との答弁をして、翌日から、事務机の上から原則、灰皿が無くなった。
民主党公認で当選した2期(当時の話、現在の私は無所属)の時は、議会で禁煙を主張した途端、江戸川区職員組合から呼び出され、「組合は民主党を応援しているというのに、なぜ君は、組合の邪魔をしようとするのか」と詰問されたこともあった。
同じく民主党時代に、吉田公一衆議院議員の事務所のパーティに行った時、喫煙するご本人から「まさか君は、喫煙者に対して『タバコを止めろ』などと失礼なことを言いに来たわけではないだろうね」と嫌味を言われたこともあった。
刷新の会という会派に所属していたとき、同じ会派に所属していた大先輩の田辺達昭議員(当時)と政治的な意見の相違で険悪な雰囲気になった。その時、田辺達昭議員が、おもむろにタバコを取り出して、吸おうとしたので、「田辺さん、会派の室内は禁煙が約束のはずです」と注意した。それにも関わらず、「これはタバコじゃねーんだよ」といって、一見タバコのように見える電子タバコのようなものを手にとって、私に目の前に差し出した。「紛らわしいじゃないですか」、私はそう言って、引き下がらなかった。
また文教委員会で広島市を視察していたとき、既に「委員会では禁煙」というルールが決まっていたにも関わらず、視察先の役所に灰皿があったことを理由に、おもむろにタバコを吸い出した深江かずゆき委員長(当時)を注意したこともあった。深江かずゆき委員長は、私の注意を無視し、喫煙を強行して続けた。その時は、それ以上、私は何も言わなかったが、その文教委員会が終わる一年間の最後の日に、「『委員会は禁煙』と決まっているにも関わらず、視察先で委員長自らが、その禁を破るようなことがあった。本来、委員会をまとめるべき立場にある委員長が進んで喫煙したと言うことは、この委員会における最大の汚点である」という発言をしたこともあった。
「委員会は禁煙」と決まっていたにも関わらず、その委員会とは、常任委員会、特別委員会、議会運営委員会、全員協議会などを指すのであって、議会運営委員会理事者会議は、それに該当しないとか、視察中のバスの中は、それに該当しないなどのように、喫煙議員がわずかでも、「吸える環境」を見つけ出し、喫煙を強行していたことを思い出す。
最初の内は、私も黙って我慢していたのだが、その内、「バスの中は禁煙でお願いします」と議員全体に呼びかけたり、それでも喫煙をやめない議員に対しては、「○○さん、喫煙しないでください」と個別に直接注意したこともあった。
今や議会の視察中のバスの中で喫煙する議員はいない。
他にも、区内外で、色々と喫煙議員との対立は数多くあったのだが、時に印象深い議員さんとの対立を実名を持って紹介させていただいた。今になれば、私にとって懐かしい思い出だ。
最年少の一年生議員の時から、この様な具合なのだから、他の先輩議員からすれば、私など決して議員仲間から愛される議員ではなく、生意気で憎たらしい議員だったに違いない。
しかし、少数とはいえ、私を影ながら応援してくれた同僚議員もいたし、喫煙を嫌う職員からも、私の主張は支持されているとの話を、間接的ながら聞いていたので、私は私の信じる主張を言い続けることができた。
報道によると、「江戸川区施設を全面禁煙 都内で初めて」だという。
今まで、喫煙やポイ捨てを禁じる条例がない、都内23区で唯一の自治体であった江戸川区は、私の目から見て最低の自治体であった。その最低の自治体である江戸川区が、「区内施設」という限定された条件下ではあるが、初めてトップに立とうとしている。
私は健康推進課の前田裕爾課長(51)に対して、「こんなことは私が、10年以上も昔から言い続けてきたことではないか」そのように言ったら、前田課長から、「やっと時代が議員さんの主張に追いついてきたのですよ」と、逆にヨイショされてしまった。
禁煙政策では、まだまだ他の自治体に劣る江戸川区であるが、今回の報道に関しては、素直に高く評価したい。
タバコの問題にしろ、高速道路の問題にしろ、言い始めの時は、「なんだこいつ」と思われても、10年後、20年後、「タナカケンの主張に時代が追いついた」と言われるような議員活動を、これからも続けていきたい。
2010年10月01日