緩やかな著作権の保護を支持する
週刊ダイヤモンド 2010 9/25 P.51より
アキバオタクのフェスティバル「コミケ」の熱い夏
コミケ(コミックマーケット準備会が主催する世界最大規模の同人誌即売会のこと)がこれだけ盛り上がりを見せる根底には、著作権に対するアジア独特の寛容さがある。じつは同人誌の多くは、有名なマンガ、アニメのキャラクターを無断使用している。「私の好きなあのキャラがこんなことをしていたら・・・・・・・・・」というオタクの妄想を実現しているからこそ同人誌は人気があり、再び原作も売れることになる。もし著作権者が厳密に取り締まりをすれば、日本が誇るオタク文化を否定することにもなりかねず、今のところ、多くの著作権者が暗黙のうちに放置している。
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http://www.youtube.com/watch?v=7Mfjq3905Ec
もし見られるのならば、上記のYou Tube の画像を見て欲しい。
「宇宙人、ルーピー鳩山の発言を翻訳機にかけてみた(ウルトラマン) 」
と題されるこの動画のオリジナルは、ウルトラマンである。場面は、宇宙人から送られてきたメッセージがよくわからないと言うことで、宇宙翻訳機にかけてその主張聞いてみよう状況設定だった。オリジナルでは、そこにバルタン星人が登場して、人類に対して何を語りかける映像なのだが、上記動画では、バルタン星人の代わりに、鳩山由紀夫氏の顔がアップで映り、これまでの演説で述べてきた珍説を語り出すという映像になっている。
この動画を作った作者は、間違い無くウルトラマンの画像を無断借用している。円谷プロに連絡して、使用許可を取ったとは到底思えない。
しかし、だからダメなのではなく、それでも「面白いものは面白い」と私は言いたい。これほど時の首相経験者をバカにした動画を私は見たことがない。バカにしつつも、同時に政治的主張をも感じさせる作品となっている。今日一番、腹を抱えて笑ってしまった。
もし日本が、週刊ダイヤモンドの記事にも書いてあるように、厳密に著作権を取り締まっていたら、このような「芸術」は世に登場しなかったであろう。中国のような「マルパクリ文化」を認めることは到底できないが、逆に厳密すぎる著作権の運用も、また新たなる二次的創造物を産み出すことができない結果になってしまう。世に優れた文化とは、オリジナルと言われるような作品であっても、先人による何らかの優れた作品に影響を受け、その作品の良い部分を取り入れながら、それを昇華し、乗り越えて、人を感動させたり、泣かせたり、笑わせたりするのである。
私は本作品のような、腹から笑える文化が大好きだ。
昔からパロディという技法はあるのだが、著作物の二次利用と言うことで、著作権者がそれを認めないとなれば、当然トラブルの元になる行為でもある。もちろん著作権は保護されるべきである。
しかし、あまりにも四角四面で保護しすぎると、それに影響を受けて誕生するであろうパロディという二次創作物が誕生できなくなってしまう。
オリジナルなキャラクターが、オリジナルでは到底するはずもないエッチな行為をしてしまう同人誌や、何かを模倣したコスプレや、痛車なども、厳密すぎる著作権の運用にあっては、文化として誕生することはなかっただろう。
専門家でない私がここで専門家的なことを知った振りして言うべきでは無いだろうが、これは「文学」が始まってから、早い段階で発生した技法であり、古くて新しい問題なのだろうと推測する。
時の総理大臣だって、公にバカにできる、それも二次的創作物によって、それができる文化って最高だ。その俎上には、菅直人総理大臣も、バラク・オバマ大統領も関係ない。
こんな事が平気でできる民主国家って、最高じゃないか。
では同じような露骨に権力者をバカにするようなことが、中国で温家宝首相相手にできるだろうか。北朝鮮で金正日総書記相手にできるだろうか。
正に民主国家でできるようなことが、独裁国家ではできないのである。もし、同じ事を独裁国家でやってしまえば、その者は死刑間違い無し、更に一族郎党皆殺しなどともなりかねないだろう。
民主主義万歳。この様な自由を享受できる素晴らしい日本のような民主国家が、中国や北朝鮮のような独裁国家に、経済も軍事も負けてはならないのだ。日本政府よ、しっかりしろ。この素晴らしい民主主義を守る一義的な責任は、日本の政府にあるのだから。
2010年10月05日