検察審査会の面々は、これまで何を見てきたのか
民主・可視化議連で検審制度に批判相次ぐ 強制起訴議決
2010年10月5日11時37分 asahi.comより
民主党の「取り調べの全面可視化を実現する議員連盟」が5日、国会内で会合を開いた。小沢一郎元代表に近い議員も多く参加。強制起訴を決めた検察審査会制度への批判が相次いだ。
会長の川内博史衆院議員は、大阪地検特捜部の主任検事が証拠を改ざんしたとされる事件に触れて、「検審の議決に(検事が聴取した)供述は信用できると書いてあるが、検察への信頼はいま大きく揺らいでいる」と議決の正当性に疑問を呈した。
小沢氏に近い森ゆうこ参院議員は「密室で取り調べを受け、メディアスクラムで、悪人に仕立て上げられる。何も証拠がなくても検察審査会の議決には抵抗ができない。大変な状況だ」と批判。熊谷貞俊衆院議員も「検察審査会の人選のやり方や議事進行のやり方が不透明で審査のありようが分からない。国会などの場で公にする手だてはないものか」と検察審査会制度の見直しを求めた。
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小沢氏が強制起訴となった時、可視化議連と同じような疑問を、私は真っ先に思った。
これだけ検察不信が横行している中、検察審査会が強制起訴とした根拠が、密室の中で検事が書いた調書を信用できるとした点である。
数多くの冤罪事件がそうであったように、検察は密室の中で、巧みに被疑者を脅し、なだめ、共感し、励まし、威嚇する。検察官には、自分が思い描いたフィクションとしての内容が既に用意されている。検察官という名の脚本家が、あたかも被疑者が自主的に語ったかのような供述を、調書へと書き連ねていく仕事ぶりが、密室の中で行われている。
このような問題意識があれば、今回の様に検察による密室の中で作成された調書を簡単に信じてしまうぐらい「まぬけな」判断はしなかったに違いない。
残念ながら、検察審査会のメンバーですら、この程度の認識しかないとすれば、到底検察改革などほど遠い。
これまで、どれだけの冤罪事件があって、どれだけの国民が、その強引な検察の取り調べによって苦しめられて、起訴後の有罪率が99.9%という数字が、どのようにして実現されてきたのかということを、検察審査会のメンバーに選ばれた人たちは、知っていたのだろうか。
国会にしても、このような背景があって、小沢氏が強制起訴となっているにも関わらず、相変わらず党利党略が横行しているため、それを民主党批判として、小沢氏に辞任を求めたりなどという見当違いの要求を突きつけている。
つまり、今の国会には、自分たちの政党が有利になれば他は関係ないという「利己的な主張」しか存在せず、そこに正義はない。
新たな証拠があるわけでもなく、密室の中で行われた供述のみを、強制起訴の根拠としているようでは、今回行われる裁判がまともに行われるのであれば、小沢氏の無罪判決は、高い確率で出てくることだろう。
それにしても検察の調書を無前提に信じるとは。これだから調書裁判はダメなのだ。被疑者と参考人における取り調べの可視化のみならず、検察官が作った密室での調書を裁判の証拠としては採用している、現在の調書裁判の廃止を、私は同時に世間に対して強く訴えるのである。
2010年10月07日