たばこに群がる国会議員
「たばこ一箱800円」増税シナリオ(上)
月刊FACTA 10月8日(金)16時8分配信
族議員の大物、千葉法相の落選で「連続値上げ」が確定。それでも困らない日本たばこ産業。
◇
8月30日、厚生労働省は2011年度の税制改正要望の中に、たばこ税並びに地方たばこ税の引き上げを盛り込んだ。ご承知のとおり、昨年度の税制改正により、10月1日からたばこ税率が上がり、一箱当たり70~140円の値上げが行われる。たとえば現在300円のマイルドセブンは410円になる。これだけでも愛煙家の懐を痛めるというのに、厚労省が2年連続の引き上げを求めたのは、近年の「禁煙」時流に乗り、喫煙者を追いつめ、「たばこ離れ」を促進する目論見にほかならない。
■日蔭者の「たばこ産業議連」
これに即座に反応したのが、日本たばこ産業(JT)だ。翌日、ホームページ上で「今回の増税は、過去に例のない大幅な増税であり、お客様に多大な負担を強いるのみならず、葉たばこ農家や小売店を含む国内たばこ業界全体に甚大な影響を及ぼす」とし、「更なる増税を行うことには断固反対」と公式に表明した。
喫煙の善悪はともかく、大衆嗜好品への2年連続の増税は、税制改正の常道から外れている。JTの言い分も一理あるが、ここまで危機感を募らせるのには理由がある。
政界関係者は「喫煙者に大逆風が吹いているとはいえ、毎年値段が上がるのだけは阻止したい。ところが、千葉景子法相が参院選で落ちてしまった。彼女は『JT族議員』の大物なんです」と打ち明ける。
千葉法相は参院議員歴24年(当選4回)の大ベテランの現職女性閣僚。JT幹部は「まさか落選するとは思わなかった」と天を仰ぐ。議員バッジを失った後も続投し、法相としては初めて死刑執行に立ち会うなど耳目を集めているが、政治的パワーはすでに喪失している。
その千葉法相が、JTの労働組合「全日本たばこ産業労働組合」(以下、JT労組)の顧問の地位にあることはほとんど知られていない。JT労組の機関紙「全たばこ新聞」(6月25日付)によると、千葉氏はJT労組と「たばこを吸う人と吸わない人が共存できる社会の実現」などの政策協定を結び、福山哲郎官房副長官と並ぶ「選挙区重点候補」として強力な支援を受けている。
「JT労組は横路孝弘衆議院議長が率いる旧社会党グループと親密で、千葉氏もその流れ。橋本政権時代に、旧国鉄債務の穴埋め策として『たばこ特別税』が創設されたが、横路氏や千葉氏はJTの意向を汲み、反対に回った」と政治部記者は語る。
かつての自民党には「たばこ族議員」が跋扈していた。農水族の大物といわれた故・松岡利勝氏や大島理森副総裁がその筆頭格で、遡れば藤井裕久元財務相、渡部恒三・前民主党最高顧問、そして小沢一郎氏も、葉たばこ農家や販売店組合の支援を受けていた。
「葉たばこの買い取り価格を決める『葉たばこ審議会』には、自民党議員がどっと押しかけるので、たばこの値段はほとんど据え置きでしたね」と、元JT幹部は懐かしがる。
が、葉たばこ農家の減少や政権交代の影響で「たばこ族議員」は雲散し、代わって台頭してきたのが千葉氏のような「JT族議員」である。
現在、「民主党たばこ産業政策議員連盟」の顧問には、羽田孜元首相と渡部恒三氏という、かつての「たばこ族議員」が名を連ねているものの、会長は横路グループの鉢呂吉雄衆院議員、副会長には部落解放同盟を支持母体とする松本龍衆院議員、事務局長には「味の素」労組出身の城島光力衆院議員が座り、労組系・旧社会党グループが主軸になっている。彼らに、自民党時代の「たばこ族議員」のような政治力がないことは一目瞭然だ。
(月刊『FACTA』2010年10月号、9月20日発行)
-------------------------------
この記事を見て、私は愕然とした。有名な議員たちが、少なからずたばこ関係の議員だったとは。
まず記事の筆頭には、千葉景子元法相の名前があがる。
いわゆる右翼からは、総攻撃を受けている彼女ではあるが、私は死刑廃止論者であったことを理由に、一定の理解は示していた。
落選してもなお、しばらくの間大臣を続けられたことに対しても、大臣を任命する権限は内閣総理大臣にあるという原則論から、一部大きな不評をかっていた大臣続投に対しても、私は理解を示していた。
しかし、調べてみると、本人自身ヘビースモーカーであるのみならず、「JT族議員」であったとは。
死刑廃止論者でありながら、死刑は実行してしまうし、JTの族議員だったとは、つくづくがっかりさせられる元国会議員である。
反民主の政治勢力は、ことあるごとに反組合の旗印を鮮明にする。私自身も、どちらかと言えば、反組合側の議員になるのかもしれないが、それほど強くは主張し続けてきた記憶はない。私の親しい議員の中に、反組合の議員が多いので、それに引きずられて来たような側面もある。
しかし、「全日本たばこ産業労働組合」のような団体は論外だ。ましてやその顧問をやっていた千葉景子元法相とは、全くもって信用できない人物である。
組合つながりで、JT労組と旧社会党系グループの議員たちは、親密度が高いという。こんなに不人気な時代であっても、少しでも、社会党の良いところを宣伝してあげようかと思い、日記を書いてきたが、またまた擁護できない事実が発覚してしまった。本当に、旧社会党グループの議員たちはダメダメだ。
よって、千葉景子元法相と同列で、横路孝弘衆議院議長も私にとっては、この分野における政敵となる。
更に「たばこ族議員」として、名前が挙がってくるのが、故・松岡利勝氏や大島理森副総裁、藤井裕久元財務相、渡部恒三・前民主党最高顧問、そして小沢一郎氏となる。
まさか小沢一郎氏まで名前があがってくるとは、全くもってがっかりである。今、現在進行形で、検察と戦っている人物が、たばこ族議員だったとは。
政治の世界とは、一つ一つの政策事に、味方と敵が入れ替わるモノなのだと、つくづく思い知らされる。
そうは言っても、“彼ら(民主党のたばこ議員たち)に、自民党時代の「たばこ族議員」のような政治力がないことは一目瞭然だ”と記事は結んでいるので、何だかんだ言っても、政権交代は、これはこれで良しとしよう。
ただし賞味期限は、4年間のみ。それ以降は、私自身も、反民主党の一員となって、現政治勢力を内閣から引きずり下ろすべく、微力を尽くすつもりである。
2010年10月12日