沈黙という緊張状態に耐えられる政治家を
2010年10月11日 asahi.comより
【ロンドン=伊東和貴】ノルウェーのノーベル賞委員会がノーベル平和賞を中国人人権活動家の劉暁波(リウシアオポー)氏に授与すると決めたことを巡り、中国政府は11日、13日に予定されていたノルウェーのバルグハンセン漁業・沿岸問題相との会合を取りやめた。ノルウェー政府が11日、明らかにした。
ノルウェーからの報道などによると、バルグハンセン氏は、漁業や食の安全について中国との協力関係を深める目的で11日に訪中。13日に北京で、中国の漁業問題担当次官と会談する予定だった。15日まで滞在し、上海ではノルウェーから中国へ計1千万匹のサケが輸出されたことを記念するイベントも予定されている。
ノルウェーは現在、中国と自由貿易協定(FTA)交渉を進めている。次回の会合は平和賞授賞式と同じ12月に予定されており、ノルウェー国内では交渉への影響を懸念する声も出ている。
ノーベル平和賞は、ノルウェー国会が任命した5人の委員でつくるノーベル賞委員会が選ぶ。ノルウェー政府や国会からは独立した存在だが、中国政府は劉氏への授賞決定後、「両国間の関係が損なわれる」と反発。抗議するため、8日にノルウェーの駐中国大使を呼び出していた。
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2010年10月11日 asahi.comより
【ハノイ=河口健太郎】ベトナム訪問中の北沢俊美防衛相は11日、ハノイ市内のホテルで中国の梁光烈国防相と約20分間会談した。菅直人首相と中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相との「懇談」でハイレベル交渉の再開を確認後、日中閣僚級の会談は初めて。
ホテル内の廊下で、人数を絞った形でソファに座って行われた。こうした形式は中国側の要請という。日本側は「短い会談」、中国側は「面会」と表現し、双方が正式な会合でないことを強調した。
日本側の説明によると、北沢氏は会談で、沖縄県尖閣諸島沖での漁船衝突事件について「尖閣の問題については、当方の立場はすでに伝達済み。ここで改めて議論するのは生産的ではない」と指摘。同諸島について「領土問題は存在しない」とする日本政府の立場をあえて表明しなかった。中国側は、中国人船長が処分保留で釈放されたことを念頭に「両国関係の大局からみて適切な処理を行われたことをうれしく思う」と応じたという。
北沢氏は会談で、年内に自ら訪中したい意向を打診。梁氏は「戦略的互恵関係が全面的に回復してから、双方の都合のよい時期に訪問されることを歓迎する」と答えた。
日中間の防衛交流では、海上自衛隊の練習艦隊が中国・山東省の青島に15~19日の日程で寄港する予定だったが、10日、中国側から非公式に延期の打診があった。これについて北沢氏は「問題が発生していると聞いているが、ぜひ大局的、友好的判断で寄港が実現できるようにしてほしい」と要請。梁氏は「今の(中国の)国民の気持ちと態度を慎重に考慮する必要がある」と言葉を濁したという。
会談後、北沢氏は「一歩前進」と記者団に語ったが、日中関係の現状については「まだまだ中国全体の中では完全に前向きになりきってはない雰囲気はある。もう少し時間が必要なのかなという印象を受けた」と話した。
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朝日新聞からの記事を2つ掲載した。
前者は、ノルウェーに対して抗議を示すため、中国はバルグハンセン漁業・沿岸問題相との会合を中止し、ノルウェーの駐中国大使を呼び出したという記事。
後者は、日本が中国との関係改善を求め、尖閣諸島の問題を話題とせず、年内には北沢俊美防衛相自らが訪中したいという意向を打診したという記事。
これを見る限りだと、日本は全然怒っていない。
日中の関係改善を望むと言うことを最重要課題とするがために、自分たちの「怒っている」という意志を相手に対して伝えていない。
それに比べて、中国は、ノルウェーに対して、自分たちが怒っていると言うことを、会合を中止したり、駐中国大使を呼び出したりして伝えている。
これではダメだ。日本の国会議員は、鳩山元首相をはじめとして「話せばわかる」などという考えをお持ちのようだが、ここは自ら尾っぽを振って、「お願いします。お話しください」などと言いながら、恭順の意を示すような場ではない。
むしろ、会話はせずに沈黙を保てるようでなくてはダメだ。最低限、あいさつ程度に留め、具体的な話を今の中国とするような関係ではないことを、相手に伝えなければならない。
つまり相手と面と向かったとしても、「何も話さない」ということに耐えられない人たちが国会議員をしているのだろう。日頃、雄弁さが求められる政治家ではあるが、今このときばかりは、中国に対して沈黙を保つ緊張感に耐えられる人材が欲しい。
今が正に「沈黙は金」の時なのである。自ら尾っぽを振って、相手に会話を求めに行ってはならない。
今回の尖閣諸島に関係する民主党政権の対応によって、内閣支持率が大きく下がったというのに、未だに民主党は中国に対して、土下座外交を続けていることから、国民からのメッセージが何ら伝わっていないと見受けられる。
民主党が外交を行うと、日一日と国益が失われていくようで全くもって歯がゆい思いがする。
私が民主党を少しは評価してきたのは、マニフェストに掲げた高速道路の無料化と取り調べの可視化であって、他の項目についてはことさら支持してきた覚えはない。ましてや今回の外交における大失態を全く反省していない民主党政権に対して、「4年間は続いて欲しい」とこれまで言ってきた自分自身の忍耐力不足に驚いている。
確かに自民党政権時代の負の遺産を精算するためにも、4年間は民主党政権が続かないとという思いもあるが、この4年間、いやあと総選挙まで2年半の間に、中国に対する譲歩が1ミリでもあったのならば、この政権を私は許すことができないだろう。
それほどまでにはらわたが煮えくりかえっているというのに、当の民主党の国会議員達は、ヘラヘラしながら中国のご機嫌うかがいばかりしているではないか。
全くもって情けない限りである。自らの国に対するプライドがないのだろうか。今ならばまだ間に合う。このままでは、日本の国益がドンドン失われていく。多くの日本人が、この“平和ボケ”と言われる現状から、少しでも目を覚ましてくれることを、心から望んでいる。
2010年10月13日