江戸川区議会と紫波町議会を比べる
「いつでも開ける」通年議会とは
2010年10月12日 asahi.comより
■「すわ天災」復旧予算すぐ可決/紫波町 武田平八議長(58)
紫波町議会(定数22)が9月7日開会の町議会から、議長判断でいつでも本会議を開ける「通年議会」を試行するなど、議会改革に取り組んでいる。県内初となる通年議会の狙いや、今後の展開について、武田平八議長(58)に聞いた。(高田純一)
――通年議会とは、どういう仕組みですか
普通は定める会期を定めません。今年の9月会議の場合、まず、11月30日までの開会中に審議をし、すべてが終われば休会とします。ただ、その後も災害などがあれば、議長権限でいつでも再開できます。
――通年議会にした理由は
議会はこれでいいのかという素朴な疑問から始まりました。従来は年4回の定例会でした。通年にすることで、水害などの復旧作業の際も本会議を開き、補正予算案を可決して予算執行ができるなど、各課題にタイムリーに対応するのが狙いです。
――普通の議会は議会招集権は首長にあり、議会運営委員会で日程を決めるなど手続きが煩雑です
通年にすることで、首長が一度定例会を招集すれば、議長の権限でいつでも再開できます。首長が議会審議をしないまま決定する専決処分も減る利点があります。今回から9月定例会の名称も「9月会議」に変更しました。
問題がなければ、定例会の会期を1年とする会議規則などを盛り込んだ「町議会定例会条例改正案」を12月会議に議員提出します。可決されれば来年1月から通年議会を完全実施します。
――議会を活性化させるためにほかの対策は
まず一般質問のやり方を変えました。議員の方を見て質問するのはおかしいので、町長や町の幹部らとの対面式にします。1時間だった質疑の時間も30分間延ばし、議員が満足しないまま質問が終わることをなくしました。
これまでの質疑は複数の項目をまとめて聞いていましたが、わかりやすくするため一問一答方式も採用。9月会議では実際にひとつのテーマに絞って質問、答弁を繰り返しました。聞いている方もわかりやすいし、議会の緊張感も増しました。町長らから議員への質問を認める反問制度も設けます。議員への逆質問で、反論も可能です。
――政務調査費や費用弁償などのあり方は
今年から町議1人あたり月5千円支給される政務調査費を復活させましたが、町民の目は厳しく、慎重に使うことが望ましい。議員が本会議などに出席した場合に交通費などとして支給される費用弁償は算定根拠がはっきりしないため、廃止しました。
議員には、負託された4年間を精いっぱいやってもらいます。
■紫波町議会
1955年4月、日詰町と8村の合併で紫波町が生まれ、町議会も始まった。2007年に定数を26から22に削減。この9月会議から議会中継のインターネット試験配信も開始。9月9、10日にあった一般質問の録画中継も配信している。今後は一般質問以外の映像配信も検討している。アドレスは(http://www.ustream.tv/user/ShiwaGikai)。
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本気なのか冗談なのかは知らないが、時々、色々な方面の方々から、都会の議会は進んでいて、田舎の議会は遅れているというイメージを持たれることがある。
しかし、残念ながら実際は逆である。我が江戸川区議会と紫波町議会を比較して、江戸川区議会のどこが遅れているのか、ハッキリさせる。
通年議会について。
江戸川区は、他の多くの自治会議会と同様に、年4回の定例会だ。確かに、通年にした方が様々な状況の変化に応じて本会議を開けるので、補正予算案をすぐに可決することができる。
鹿児島県阿久根市でも大いに使われたが、首長が議会審議をしないまま決定する専決処分も「議会が開かれていない時期だった」という理由が通用しなくなり、大幅に減る可能性がある。
これに関しては、紫波町が先駆的であるとしか言いようがない。江戸川区議会も、できることならば通年議会にすべきであろう。
一般質問について。
紫波町では、議員と町長や町の幹部らとの対面式に一般質問における配置換えをするようだが、江戸川区は旧来のママ、ひな壇に登って、議員に向かって質問をする形式だ。これも改めるべきであろう。
また1時間だった質問時間を30分延長して90分にするようだが、この質問時間について考え方は、江戸川区議会が最も遅れた議会であることの証明ともなっている。
なぜならば、江戸川区議会では1回の質問時間がたったの20分であり、それも年1回しか認められていない。民主主義とは多数決であるという考えしかなく、少数を尊重して意見が表明できる機会を保証するという考え方を第1会派の自民党と第2会派の公明党が持たないので、一人会派は常にこのような迫害を受けている。しかも、この現状を何ら問題があることだとは理解していない。
一年間にたった20分しか質問できない議会とは、はたして正常な議会運営と言えるのだろうか。これは、自民党と公明党で2/3を占有してしまった議会構成に原因があると言わざるを得ないが、これについては多くの選挙民に理解してもらって、少しずつ議会構成を変えていかなければ、決して改まりはしない問題だろうと思っている。
質問の仕方も、まとめて質問をして、再質問は2回までという規定がある。これでは、一問一答方式などできない。時間制限があるのだから、制限時間内は、何度でも質問ができるように、質問者と回答者が言葉のやり取りをするような運営である方が、聞いている側も緊張感を持てるのだが、今のような極端に質問時間も質問形式も制限した江戸川区の議会運営では、充分な一般質問はできない。
当然ながら、首長から議員への質問を認める反問制度などもない。
政務調査費と費用弁償について。
紫波町では政務調査費が町議1人あたり月5千円だという。これで何の政務調査ができるというのだろうか。江戸川区議会は議員1人あたり月20万円という支給額だが、実際、月20万円では常設スタッフとして、人一人を雇うこともできない。
私は議員定数を大幅に削減してでも、政務調査費等、議員が自由に使えるお金を増やすべきだと思っている。議会に対して支出する財源が同じならば、「(議員定数)半減(報酬・政務調査費等)倍増論」を私は唱えている。4期議員を続けてきて、この考え方はいささかも変わっていない。
政務調査費はよく給与と勘違いされることがある。しかし、これは政治活動をするために“使ってしまうお金”であって、決して蓄財はできない。それに、そのお金を何に使ったか、しっかりと報告しなければならない。報告することで、それを有権者が監視でき、お金の使われ方によって、対象の議員がこれまで議員活動を行ってきたという証明にもなる。
議員定数は削減し、議員報酬も削減し、政務調査費も削減することがさも良いことのようにおっしゃる有権者の方々がいるが、この様な方々は議会廃止論者なのだろうか。つまり民主主義を否定し、議会を否定し、そのためには議会を構成する議員などいらないというお考えならば、思想の一貫性を認めよう。しかし、そうでなければ民主主義を保証する一定の経費について、是非再考していただきたい。
確かに有権者の方々が批判したくなるほど、様々な規則に縛られて、報酬と政務調査費に見合った議会内での活動をお示しできないのは悔しい限りだが、その分、議会外での活動を多くの区民にお知らせすることで、議員活動にはお金がかかるのだという実態を知っていただきたい。
これ以上言うと、自分たちのことを自分たちで正当化するようで、お聞き苦しくなるでしょうから止めておきます。有権者の方々には、議会を考える上での1つの参考情報として、当事者の立場から意見しました。
とにかく、色々な面で江戸川区議会が全国でも一弐を争うほどの「遅れた議会」であるという思いは、私の中でふつふつとある。正直に言って、江戸川区議会のどこが、「まともな普通の議会」なのか、当事者として、全然理解できない。私は区民利益を追求する立場から、これからも、江戸川区議会の、とても遅れた議会運営を日々批判し続ける。江戸川区議会が、どれほど、とんでもない「遅れた議会」であるかを、区民に理解してもらうべく活動を続けていく。
2010年10月14日