検察官が創作するストーリーを批判する
「検察再生」を聞く(1) 「真実は強い」原点に返れ
元特捜検事で福祉財団理事長 堀田力氏
2010/10/16付 日経ドットコムより
最高検による捜査が続く大阪地検特捜部の捜査資料改ざん・隠ぺい事件。検事の暴走を招いた背景には何があり、検察が失った国民の信頼を取り戻すには何が必要か。検察OBやベテラン刑事弁護士、専門家らに再生の処方せんを聞いた。
・・・・・・・中略・・・・・・・・
改ざんの報告が最高検まで上がらなかったということは、組織的な問題があったということだ。人的な面も刷新し、組織をゼロからつくり直す案を立て、第三者の検証を受けないといけない。国民から納得してもらうには10年はかかるだろう。
特捜部を解体して喜ぶのは歪(ゆが)んだ政治家や悪質な経済人だ。例えば20件のうち1件でもいいから摘発することで抑止効果が出る。特捜部でなくてもよい。専門班でも、米連邦捜査局(FBI)のような独立組織でもよいから、権力の中枢を摘発する捜査機関は絶対に必要だ。
-------------------------------
堀田力(ほったつとむ)氏とは、元検察官であり、かつてロッキード事件を捜査し、田中角栄元首相に対して、論告求刑をした人物である。
確かにロッキード事件にしろ、リクルート事件にしろ、当時は、東京地検特捜部が“正義の味方”だと思われていた時代だった。
しかし、今や検察偽善の仮面ははがれた。彼らは自らの出世のため、罪無き人に罪をかぶせ、多くの犯罪者を作り上げることで、私服を肥やしてきた。
堀田力氏はまるで、政治家や経済人が悪人であるかのような言い方をしているが、特捜部を解体せずに喜ぶのは、歪んで悪質な検察官ではないのか。政治家も捕まえられる。経済人も捕まえられる。では、検察官は、誰が捕まえられるというのか。今や検察官こそ、この日本の中における最高権力者だと言っても過言ではないだろう。
いい加減、いつまでも政治家を悪人としてストーリーを創作して、無理矢理でも政治家を捕まえることを出世の道具に使わないで欲しい。
「権力の中枢を摘発する捜査機関は絶対に必要だ」
この考え方には同意するが、それと同時に、
「権力の中枢を摘発する捜査機関の不正を摘発する組織も必要だ」
このようにも言わなければならない。
正に、今までのように検察天国のような日本ではあってはならない。
今回の検察不正によって、実はこの国では、検察こそがアンタッチャブルな存在であることが、明らかになった。
民主主義とは、国民による権力のコントロールにこそ、その神髄がある。よって、国民の意思によって、この検察権力さえも国民のコントロール下に置かなければならない。
そのためには、人事を国民の手に取り戻し、密室での取り調べを止めさせ、弁護士と対等な司法のあり方を模索しなければならない。
最高検察庁の最高位である検事総長の公選制。
参考人と被疑者の取り調べの可視化。
証拠保全の義務化。弁護側による証拠の検証を保証。(弁護側が、その証拠の正当性を検証できない場合は、その証拠は証拠として認められない)
逮捕後の勾留の短縮化。(最長23日間から5日間へ)
黙秘による懲罰勾留延長の禁止。
警察・検察の取り調べにおける弁護士立ち会い義務化。
せめてこのぐらいの改革はしてもらわないと正常な検察業務が、これからも保証されるとは到底思えない。
2010年11月03日