軽自動車優遇税制は、即刻廃止せよ。
軽自動車の負担引き上げ=新税で基本的考え方-総務省
(2010/11/02-10:44) 時事.comより
総務省は2日、地方税である自動車税・軽自動車税と、国税である自動車重量税を一本化する環境自動車税(地方税)の創設に向けて、基本的な考え方を発表した。新税は二酸化炭素(CO2)排出量と排気量を基に税額を決定する。また、660cc以下の軽自動車と1000cc以下の小型自動車は規格や燃費などに大きな違いがないものの、小型車にかかる自動車税が軽自動車税の約4倍となっている点に着目。軽自動車の負担を引き上げる一方、小型車は軽減し、格差を縮小させる。
環境自動車税は制度導入後に新車登録された車を対象とする。登録済みの車は現行通り自動車税・軽自動車税と自動車重量税を課す。新税の税率は未定だが、税収中立となるように制度設計する。自動車税と同じ方法で年1回徴収し、自動車重量税のような車検時徴収は行わない。
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通常、軽自動車と呼ばれる軽四輪は、以下の規格にあった自動車のことを言う。
全長 3,400mm(3.40m)以下
全幅 1,480mm(1.48m)以下
全高 2,000mm(2.00m)以下
排気量660cc以下
このような軽自動車は、日本の税制上で他の自動車に比べて優遇されてきた。税金および保険面での優遇措置を列挙する。(ウィキペディアからの引用)
自動車取得税
課税対象額の3%(乗用登録車は5%)
自動車重量税
3年で11,400円、2年で7,600円(同0.5t以下の場合、3年で15,000円、2年で10,000円)
軽自動車税
自家用乗用 年7,200円、自家用貨物 年4,000円、営業乗用 年5,500円、営業貨物 年3,000円(同 自動車税 1,000cc以下の乗用車で29,500円、貨物車・貨客兼用車(ライトバン等、積載量1,000kg以下)で13,200円)(自治体によってそれよりも高い場合がある)
自動車賠償責任保険(強制保険)保険料
24ヵ月契約で18,980円(乗用登録車は22,470円)
優遇されすぎてきた税制を是正するためにも、以下の理由で、軽自動車優遇税制を廃止すべきだと、私は主張する。
1.660ccまでの車を過度に優遇する合理的理由がない。
2.軽自動車は、海外では売れず、国内規格で売れるだけで、大量生産に向かず割高である。輸出ができない規格である。
3.660ccと車体重量とのバランスが悪く、下手な軽自動車は1300ccの自動車よりも燃費が悪い。つまりエコとは限らない。
4.車体が小さいため、交通事故を起こしたときに、ドライバーや同乗者が怪我をしたり死亡する可能性が高くなる。生命重視で作られた車ではない。
5.自動車産業黎明期において、国内市場から外国車を事実上追い出すための“非関税障壁”が軽自動車優遇措置であった。しかし、今や自動車産業は成熟産業となっている。過去の悪しき慣例を現代に残す“非関税障壁”は即刻、取り除くべきである。
今までのように軽自動車枠に収まるような小さな車が、世の中にあっても構わないとは思う。しかしそれは、「小さな車が好きだ」というマニアが乗る車に限定すべき現象であって、何も車が小さいことを理由に過度の優遇税制の対象にする必要性はない。
たとえば「ローバー・ミニ」と呼ばれる英国車は、軽自動車以上に車格は小さい。
全長 3,075mm(3,100mmの車両も過去にはあった)
全幅 1,440mm
全高 1,330mm
外寸だけで言えば、軽自動車以上に小さな車ではあるが、最終モデルの排気量は1271㏄ある。よって、どんなに外見的に小さな車といえども、排気量が660㏄を超えているため、ローバー・ミニは、軽自動車扱いにはならない。
しかし、町中を丁寧に見てみると、マニアがローバー・ミニを乗り回している姿をしばしば目にする。つまり車自体が魅力的であれば、どんなに小さな車で古くても、マニアはその車を乗り続ける。そこに優遇税制の有無は関係ない。
もし今、軽自動車優遇税制を外せば、多くの人たちは、それでも好んで軽自動車に乗り続けようとするだろうか。合理的判断として言えば、税制上不利にならない範囲で、もっとも排気量が大きな自動車を選択するのではないかと想像する。
大衆車とは、時代によってそのイメージする車は変わってくるものだが、私がイメージする大衆車とは、1300㏄から1500㏄ぐらいの車である。実は丁度、このぐらいの排気量の車から、各社、色々なハイブリッド車が誕生した。誕生しただけでなく、人気車となって、軽自動車以上に売れた自動車もあった。
これはハイブリッド車に対する優遇税制もあったが、税制的に他の車が不利な扱いを受けなければ、軽自動車よりももっと排気量が大きな車を消費者は望んでいる結果の反映とも言える。
軽自動車に対する優遇税制を即刻外せば、それでも軽自動車を選択する消費者は少ないと私が考える根拠ともなっている。
改めて主張する。合法的な税金逃れを助長する軽自動車優遇税制は、即刻廃止せよ。
2010年11月05日