「権力者はこのようなことを絶対にしてはならない」
「審議拒否は税金泥棒」前原氏、野党を牽制
2010.11.27 21:04 産経ニュースより
前原誠司外相は27日、横浜市で開かれた民主党議員の会合であいさつし、仙谷由人官房長官らの問責決議を受けた自民党などの審議拒否の動きを念頭に「どこかの党は審議拒否だと言っているが、国会に出てこなければ税金泥棒だ」と牽制(けんせい)した。
内閣支持率低迷には「なかなか民主党政権への風当たりが強い。経験がなかったので頭をぶつけている所もあるが、もう少し時間をもらわないと効果は出ない。ぜひ信じてほしい」と求めた。
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権力者とは、自らの批判に対して寛容で無ければならない。
権力者とは、自らの批判に対して、批判によって返してはならない。
これは私にとって、大きな政治信条となっている。
つまり、与党と野党は平等ではない。野党は徹底して与党を批判して構わないが、与党は野党を批判するようなことは、厳に慎まなければならない。
与党とは、権力を持つものである。
意に沿わない者を、逮捕することもできる。
意に沿わない者を、殺すこともできる。
警察・検察権力という暴力装置を使って、いくらでも気に入らない人物を捕まえてどうにでもできるのが権力だ。
だからこそ、この権力の矛先をむやみやたらに、国内の批判勢力に対して向けてはならない。
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竹下は首相在任当時、皇民党事件や金権政治を批判する記事に対して、秘書が7通の告訴状を持って行ったところ「権力者はこのようなことを絶対にしてはならない」と一蹴したという。
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最近、私は、竹下登元首相を、再評価すべきではないかと思っている。一般に言われているように、消費税を導入した業績を評価してのことではない。その政治姿勢において、批判をとことんまで受け止めるという覚悟ができた政治家として、再評価すべきではないかと思っている。
それに比べ、安倍晋三元首相は、首相になる前から、何かとマスコミ批判を繰り返していた。野党批判を繰り返していた。
正直、私は「若い。青い。まだまだ」という印象を、安倍氏に対しては持った。
自分が権力の側にいると自覚しているのならば、竹下登元首相のように、批判に対しては、とことんまでそれを許容するだけの度量が無ければ、権力者としてはふさわしく無い一例である。
これぞ、政権末期の1つの兆候であった。案の定、安倍内閣、福田内閣、麻生内閣と続いて、自民党政権は崩壊した。
ひるがえって、今の民主党政権である。前原誠司外相は暗に自民党を指して、税金泥棒だと批判して見せた。それは事実かも知れない。真っ当な指摘かも知れない。ただし、それを権力の側が言ってはいけない。
前原誠司外相に対する私の印象は、かつての安倍晋三元首相と全く同じだ。
「若い。青い。まだまだ」
そして、このような与党からの野党批判が表に出てくると言うことは、民主党政権も、そう長くは続かないという1つの兆候でもある。
雄弁なことは結構なことだ。しかし、与党の政治家には、与党の政治家にふさわしい資質が求められる。その一つとして、批判に対して、黙って耐えること。批判に対して、批判で返さないこと。
もし野党が理不尽なことをしているとなれば、それは与党が批判しなくても、国民が冷静に判断して批判の対象にしてくれるはずだ。
尖閣ビデオなど、国民に報告すべき情報を開示せず、逆に情報統制しようとし、なおかつ野党批判をするような政権政党は、政権政党にふさわしく無い。
民主党崩壊のカウントダウンが始まった。
2010年12月01日