禁煙アパート誕生
「たばこはご法度です」 小山市に「全面禁煙アパート」
2010年12月9日 東京新聞より
敷地内すべて、たばこはご法度です-。入居を非喫煙者に限定する賃貸アパートが二十日、小山市羽川にお目見えする。全面禁煙の集合住宅は全国的にも珍しく、オーナーの農業、板子文夫さん(69)は「受動喫煙のトラブルに悩む人は多い。安心して暮らせる住まいを提供できれば」と訴える。 (小倉貞俊)
「マンションの隣人らがベランダで吸うたばこの煙で何十年も苦しんできた。穏やかに余生を過ごせるなんて夢のよう」。夫(75)と二人でこのアパートへ転居する千葉県流山市の女性(74)は喜びをにじませた。
二階建てのアパートの名前は「ヘルシーホーム」。共用の階段や廊下はなく、一階に各戸の玄関を設けた「重層タイプ」になっている。2LDKが十戸あり、家賃は駐車場付きで六万四千~六万八千円。室内はもちろん、ベランダや屋外も全面禁煙にし、来客にも適用される。管理会社との間で「違反した場合は退去する」などの確認書を交わすのを条件に、すでに八世帯が入居を予定している。
板子さんは長らく、禁煙運動に取り組んできた。一九九〇年には当時勤めていたJR東日本を相手に、社内喫煙の規制を求め東京地裁に提訴。職場だった小山駅執務室の禁煙化を勝ち取るなど、複数のたばこ関連裁判に携わった。今年一月、自宅を建て直す際に「煙の害で困っている人を救えないか」との思いから、自宅敷地内に“禁煙アパート”の建設を決めた。
アパートを施工し、子会社が管理を担当する大和ハウス工業によると、全面禁煙のアパートを建てるのは同社でも異例の試み。「健康促進住宅」と銘打ち、空気清浄器などを完備した。小山支店の担当者は「喫煙を規制すると入居者が集まりづらいというリスクはあるが、板子さんの熱意に賛同した」と説明。反響によっては同様のアパートを増やすことも検討するという。
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これは画期的なことです。当然、私の視察対象となります。
政策的な主義主張は、できることならばビジネスにもなることが望ましいのです。
例えばレストランには、今、当たり前のように禁煙席がありますが、これは主義主張に共感して、禁煙席を設けたという理由もゼロではないでしょうが、やはりその方が、「儲かるから」という理由にもなります。
ビジネスマンならば、「客の要望に応える」ことは当然であり、「客の要望に応えない」ビジネスがあれば、それは自然と消滅の道をたどります。
全国でも先駆的に禁煙アパートのオーナーになる板子文夫さんは、アパート経営のリスクを背負いつつ、同時に、無煙社会を作ろうと実践されている素晴らしい方です。
しかし、どんなに素晴らしい志があっても、アパートのオーナーになれるような人は、限られた人しかいません。そこへこの禁煙アパートが、ビジネスとして成功すれば、主義主張に関係なく、利に聡い方から順に、この様な禁煙アパートビジネスにも手を広げていくことでしょう。
私はこの様に、主義主張が実現する過程では、主義主張など持たない人間であっても、主義主張を持つ人間が望むように自然と動いていくような社会が、政治を、社会を変えていくのだと信じています。
「徳」は「得」に通じる。
これ無くして、思想信条は、庶民にまで広く普及はしないとの考えです。
この禁煙アパートが、ビジネスとしても成功し、東京でも当たり前のように禁煙アパート、禁煙マンションなどがたくさん出来て、この日本を一歩でも二歩でも無煙社会に近づけることが出来たのならば、禁煙政策を主張している議員の一人として、これ以上の喜びはありません。
2010年12月12日