田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

職業としての地方議員

就職難が叫ばれる今…「議員になる」のはリアリティのある話
★実は楽勝![市・区議会議員]当選ガイド
2010.12.08 ZAKZAKより

http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20101208/zsp1012081539012-n1.htm


 4年に一度、開かれる統一地方選挙。ここで、都道府県の知事、市区町村の首長、議員が決まることになっており、次回選挙は来年の4月と約半年後に迫っている。


「自分は一サラリーマンだし、政治家なんて別世界の話」と考える読者もいると思うが、少し待ってほしい。NPO法人ドットジェイピー(若年投票率向上を目的に、大学生を対象とした議員インターンシッププログラムを運営)の調査によると、全国の地方自治体(市区町村)の前回選挙時の平均倍率は、1.21倍で、実に82.6%の確率で当選しているのだ。最も当選倍率が高い福岡県福智町で1.95倍、最も低い佐賀県江北町は、1倍(候補者全員が当選の無投票選挙)となっており、もはや立候補すれば、ほとんど議員になれる状況なのだ。どうだろう、「政治家なんて……」と思っていた人も、現実味のある話に見えてくると思う。


 では、気になる収入はいくらかというと、平均月額報酬は30万4818円。年齢や当選回数は関係なく一律で、これに、期末手当(一般サラリーマンのボーナスにあたる)が加わる。ただし、地方自治体により差も大きく、高額上位だと神奈川県横浜市の97万円、東京都渋谷区で60万5000円、低額なところだと長野県平谷村の8万4800円となっている。いくつかの自治体の報酬を挙げてみたので見てほしい。これを高いとみるか、低いとみるかは、分かれるところ。


 しかしなぜ、地方議員という職が、こんなにも低い倍率なのか? ドットジェイピーの理事長で、『“20代、コネなし”が市議会議員になる方法』の著者、佐藤大吾氏は、その現状を「立候補する人も投票する人も高齢者がほとんど。選挙に参加する人が固定化されているんです。人口の構成比でいうと、全有権者の15%が20代なのに、議会には20代の議員はほとんどいません」と語る。


 新卒者や転職希望者の就職難が叫ばれる今、ならばと若手が立ち上がり、「地方から日本を元気にしたい」と職業の選択肢に「議員」を入れてみるのもひとつの手だ。
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 一般的には政治家と議員を同意語として使っている場合が多い。その点、私は政治家と議員を別の言葉として分けて使っている。
 政治家というのは、生き方の問題。政治的な主張をして具体的な行動をしている人間は広義で全て政治家である。狭義で言えば、現職議員、またはこれから議員になることを目指す人、または過去に議員だった人を指す言葉だ。皮肉を込めて、矛盾承知で言えば、政治的な活動など全然していなくても、狭義の意味では政治家である人が、広義の意味では政治家ではないと言う人もいる。具体的に身近な地方議員の顔を浮かべるとわかりやすい。
 それに比べて、議員とは、狭義で言う政治家の更に狭い範囲である、現職議員にしか使えない言葉だ。働いて報酬をもらう。つまりその多くが職業でなければ、議員とは言わない。


 国会議員もそうだが、地方議員を職業として考えることは、決して悪いことではない。むしろ積極的に職業として位置づけ、より多くの若者が政界に飛び込んでくることを歓迎する。どの業界もそうだが、参加者(分母ともいう)が多く、底辺が広い分野は、頂点もまた高く発展するのである。分母が少なくて、その中から、優秀な人材が出てくる可能性は期待できない。
 またこれもまたどの業界にも同じ事が言えるが、報酬が高い分野には人材が集まるが、報酬の低い分野には人材は集まらない。日本野球界の選手の報酬が、600万円とか1000万円だったら、どれだけの選手が日本に残るだろうか。政界も全く同じ事だ。職業として成立しなければ、それなりの人材しか、日本の政界には残りはしないだろう。


 動機が純粋であっても結果を出せない議員であるよりも、動機が不純であっても結果を出せる議員である方が、有権者にしてみれば政策実現という果実は大きいと思う。
 私の発言は、決して「与党寄り」ということばかりではなく、野党を支持したり、野党に身を置いていたとしても、それは将来の投資として考えれば、大いに意味あることであって、決して「今は結果を出せない議員」が駄目だと言うことでは無い。


 だから、有象無象から優秀な人材も含めて、色々な人たちが選挙に出ることは良いことだ。まずは有権者による洗礼を受けてから、望まれた者達だけが、議員となり政界デビューできることになる。そのためには何をしたらよいのか。豊かな発想と行動力が、政界にチャレンジする明日のあなたの人生を作っていくのだ。


 昨今の民主党の政権運営を見ても、日本の政治家が劣っていることは目に見えて明らかである。志を持ち、もっと優秀で的確な決断力がある政治家が、国・地方でも求められている。
 しかしながら、最近では公務員叩きよろしく、議員叩きも盛んである。この様な記事が発表されれば、多くの方々が、「そんなに議員は報酬をもらっているのならば、議員報酬をもっと減らせ」という声が出てくることは間違い無い。
 私は議員を職業として認識しているので、そのような意見には同意しない。ただし、議員にかかる経費が多すぎるという世論に対しては、同意する部分も有るので、議員定数削減などによって対応すべきだと考えている。議員個人の収入に着目するのではなく、“議会費”という役所の支出に着目する。議会費=(議員個人の年収)×人数+α。だいたいこの様な認識で良い。αとは、議員のお世話をする事務局スタッフの人件費や運営費、雑費のことを言う。
 この議会費の中で、その予算を減額したり、無駄遣いを減らすことが、税金の有効利用であって、何も議員個人の報酬を減らすことが有権者の得になるとは、思わない。
 もし、とことんまで議員報酬を減らすことを是とするならば、議会廃止論こそが私は正当な主張の帰結だと思うが、そこまで言い出す人はなかなかいない。


 記事は、あまくでも、議員報酬というプラスの部分しか語っていないが、実際議員になってみると、色々なマイナスの部分が発生することも事実である。しかし、今、ここで私がそれに言及することは、これから政界デビューしようとしている人間に対する、一種の脅しにも取られかねないので、それはおいおい議員になってから、自然と学んでいけば良いと思う。
 まずはより多くの人たちによる、選挙へのチャレンジを歓迎する。


2010年12月13日