田中けんWeb事務所

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日刊田中けん

渋滞対策と言っても、中国の政策を学んではいけない

北京、新車登録制限へ 渋滞対策で年24万台に
2010年12月24日 朝刊 東京新聞より


 【北京=安藤淳】中国・北京市は二十三日、新車登録台数を年間二十四万台に制限する渋滞対策を発表した。中国では所得水準の向上に伴い、今年の新車販売台数は世界一の千八百万台に達する見通しで、大都市で渋滞が深刻化。広東省・広州市などでも同様の対策を検討中で、来年から実施される今回の規制により、中国の新車販売にブレーキが掛かるだけでなく、日系自動車メーカーの企業活動にも大きな影響を与えそうだ。


 北京市の発表によると、車を購買する権利を月一回の抽選で無料で割り当てる。自家用車が88%、会社用10%、タクシーなどが2%となる。


 抽選への参加は、北京市の戸籍を持つ人や、地方から来た人は同市内で五年間就労した人などが条件で、抽選に当たった場合でも車保有を一人一台に限定するなど厳しい要件が課された。


 同市の自動車登録台数は四百七十万台を突破。今年一年で七十五万台増加し、年末には、規制が実施されるとのうわさが流れ、先週は一週間に三万台も売れた。


 中国の大都市では渋滞が慢性化している。上海市では、渋滞抑制策の一環として、入札を経て車のナンバープレートを入手するシステムになっており、平均落札額は三万元(約三十八万円)に高騰している。
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 大都市の渋滞とは、日本も既に経験済みの災難だ。
 ソウルに行くと、ソウルもまた常に夕方時など渋滞している。


 私は都市の過密化を防止すると常々言っているのだが、その中で生まれ育ってきた人からすると、異常であることが日常となってしまい、どんなに不便な日々を過ごしていても、それを根本的に変えていこうという発想さえ、思い浮かばないらしい。


 私は、今や悪名高き議員の海外視察で、ベルリンに行って衝撃を受けた。人口密度、3000人/k㎡という、大都市としては、少なすぎる人口密度でありながら、車線は片側5車線。一番外側の車線は、普通に駐車スペース。場所によっては、中央分離帯の位置にも駐車できる。それでいて、自転車専用通路もある。
 ベルリンでは、夕方時にあって、少し渋滞することはあっても、まず渋滞することはない町だとの説明を受けた。これが10年も前の話だ。


 私は議員になって、色々な海外の町並みを見てきた。シンガポールを除いて、総じて、アジアの都市は過密化に危機感がない。東京はその最たる都市で、首都圏に3500万人も住んでいるなんて地域は、世界中探しても、東京にしかない。
 こんな過密都市でありながら、よくみんな黙って、忍耐強く、日々生活ができるなと、嫌味ながら感心する。そう政治的テーマとして、過密防止は、もっと大きな注目を浴びて良いはずだ。


 東京の後を追って、ソウルも過密化した。東京とソウルの後を追って、北京も過密化か。
 しかし、「新車登録台数を年間二十四万台に制限する渋滞対策を発表した」などという政策は、過密防止とはいえ、最もやってはいけない政策の1つだ。
 都市の過密とは、都市に住むことを許容するから、そうなるのだ。人口の分散化を意図的に行い、地方都市を活性化させ、国土全体を有効利用するという発想があれば、この様なことをしなくても、自然と都市は、適正な人口密度に収まってくる。


 前述したベルリンのように、片側5車線の道路は完備されているか。車道には、当たり前のように駐車スペースはあるのか。自転車専用道路があって、歩道もしっかりと確保されているのか。建物の高さ制限があって、異常に高い建物を造って、そこに住民を詰め込もうとしているビルはないか、など。当たり前とも言える、街作りを行い、建築規制を強化すれば、都市の過密はおのずと押さえ込むことが出来る。
 東京の人口密度は、13000人/k㎡を超えているが、まだまだ、「過密は良くない」という意識を持つ者が増えれば、この東京だって、もう少しは過ごしやすくなるというものだ。


 幸か不幸か、日本は人口減少局面にある。政府が、どこをどうやっても、日本人の人口は増えない。劇的な移民政策でも打ち出さない限り、日本人が増えることは今後100年ありはしない。断言できる。
 そう、このピンチとも思える状況を使って、都市の過密化を少しでも緩和しようじゃないか。


 禁煙政策は、順調に進んでいる。
 高速道路の無料化は、不本意ながらも、低料金化のめどが付いた。


 よーし、これからは、タナカケンの三大政策の1つである、都市の過密化防止について、もっと本腰を入れて提言していくことにしよう。
 ただし、間違っても、中国のような対応をしてはならないという反面教師の意味で、今回の様な記事を紹介した。


2010年12月25日