田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

“無料化”というキーワード

中国当局が違法なネット電話業者摘発へ、「スカイプ」対象となる可能性も


 [北京 31日 ロイター] 中国当局は違法と判断したインターネット電話業者の取り締まりに乗り出す方針を示した。具体的な業者名は明らかにしなかったものの、世界中で利用されている「スカイプ」(本社ルクセンブルク)が取り締まりの対象となる恐れがある。
 工業情報省は31日明らかとなった10日付の声明で、インターネット上で音声のやりとりを行うための技術(VoIP)を利用した違法な電話サービスを取り締まるとした上で、法的措置に向け情報収集を行っているとした。
 同省やスカイプからのコメントは得られていない。
 スカイプは国際電話が無料もしくは格安となるサービスで、中国国内でも個人や企業による利用が広がっている。今回の方針は、中国電信(チャイナ・テレコム)(0728.HK: 株価, 企業情報, レポート)、中国連合通信(チャイナ・ユニコム)(0762.HK: 株価, 企業情報, レポート)、中国移動(チャイナ・モバイル)(0941.HK: 株価, 企業情報, レポート)といった国内通信会社を保護する狙いがあるとみられている。
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 私は前々から、“無料化”にこそ大きなビジネスチャンスがあると思ってきた。政策的には“高速道路の無料化”がそれにあたるが、この無料化の流れは何も高速道路だけに限らないと思っていた。
 スカイプは電話による無料通話を可能にするツールだ。利用者による「便利なサービスを安く利用したい。できれば無料で利用したい」という欲求に、スカイプは素直に応えてくれた。それがスカイプ流行の原動力だろう。
 ソフトバンクは、「ただ友」と称して、ソフトバンク同士ならば、21時から25時までを除き、無料電話が楽しめるというホワイトプランという料金設定をして、大いに消費者から支持を受けた。
 ウィルコムは、そのサービスが始まる以前から、ウィルコム同士の通話は原則無料という同等以上のサービスをしていたが、広告力が弱かったので、それほど話題にはならなかった。
 今回、そのウィルコムは、「だれとでも定額」(以下、“誰定”と称する)という新しい料金プランを発表し、話題になった。これは、10分間という制限時間はあるのだが、その時間内ならば、ウィルコムから、ドコモやauやソフトバンクのような携帯電話のみならず、固定電話にかけても、月500回までは通話料がかからないというサービスである。あくまでもプラス980円による新サービスであるから、無料ではないのだが、利用者の意識からすれば、最初に定額料金を支払ってしまえば、あとはどれだけ利用しようとも課金されないのだから、無料で使えるような感覚になれる。
 私はこの“無料のような感覚で使用できる”という意識が、人間を活発に行動させる。しいては経済を活性化させる可能性があるのではないかと思っている。


 インターネットにおけるGoogleやYahooの様な検索エンジンは、無料で利用できる。mixiやGREEのようなSNSも無料で利用できる。フェイスブックやツイッターも利用料は無料だ。他にもインターネット上のサービスはその多くが無料であることは珍しくない。
 またフリーペーパーのような雑誌も世の中にはたくさん出回っている。
 民法のTV番組が昔からそうであったように、利用者は表層的にはそのサービスを無料で受けているように見える。しかし、それ全てビジネスである。慈善事業ではない。よって、どこかでお金が儲かるシステムがあるわけだが、それがサービス利用者から直接徴収していないと言うだけであって、「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないが、どこかで儲けているのである。


 一口に高速道路の無料化というが、実態に即して、ソフトバンク風ではなくウィルコム風の言い方で言えば、高速道路の定額化が正しい言い方である。
 車は無料では乗れない。たくさんの経費を自らが支払い、税金も支払って乗るのだ。税金は車の乗ろうが乗るまいが、支払わなければならない自動車税や重量税のような税金もあるが、ガソリン料金の中に含まれている、揮発油税のような税金もある。揮発油税のように走れば走るほど支払わなければならないランニングコストとしての税金があるのだから、高速道路を利用する度に料金を支払う必要はないという考え方だ。
 それでは受益者負担の原則に反するではないかとの反論もあろう。そう、無料化は受益者負担ではない。でも、それならばなぜ各方面においては受益者負担が求められず、無料化は流行するのか。どんなに受益者負担が正論であろうとも、それでは消費は拡大しない。消費者のニーズには応えられない。


 今回、中国では無料サービスを実現しているスカイプを違法化しようとしている。これを中国の消費者は歓迎するはずはなかろう。中国はこのように既得権益を保護し、ベンチャー企業を排する経済運営をしているようでは、とても世界経済を牽引していくような市場に中国が発展するとは思えない。このような中国市場には目を配りながら、私は無料化ビジネスが、今後世界中にどのように展開していくのか期待しながら見つめてゆきたい。


2011年01月04日