田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

t_ken

日刊田中けん

子どもに対して教えるべき事

 1月12日(水)の文教委員会では、瑞江二中の授業を視察した。
 1月14日(金)は、新小岩幼稚園で講演会を聞いた。


 どちらのお話しも、子どもたちへの教育について「嘘はいけない」ということを教えているとのことだった。瑞江二中では、「卑怯なことはするな」とも教えているという。


 私はどちらも間違っているとは思っていない。むしろ日本人として正しいことを教えていると誇りに思う。ただし、本当はそこから先を子どもたちには教えなければならない。


 「嘘をついてはいけいな。しかし他人は嘘をつくことがある」
 「卑怯なことをしてはいけない。しかし他人は卑怯なことをすることがある」


 正に自らを律する徳目として、「嘘をつくな」、「卑怯なことをするな」は非常に正しいのだが、教えが、そこで止まってしまっては、子どもたちは自らの身を守る術を知らずに大人になってしまう。


 大人の社会は、「自分が嘘をつかなくても、相手は嘘をつくかもしれない」であり、「自分が卑怯なことをしなくても、相手は卑怯なことをするしもしれない」ということなのだ。ここまでキッチリと子どもたちに教えなければ、私は教育とは言えないと思う。


 もちろん、このようなことを、幼稚園児に話すべきか、中学生に話すべきか、その対象年齢となる子どもたちの成熟度合いにもよるだろうが、今はとりあえず「嘘をつくな」「卑怯なことをするな」で止まっている教えであっても、延長線上には、相手は決して、自分のような倫理観を持った人間ばかりではない。と言うことも、同時に教えていかなければならないのだ。


 経済一流 官僚二流 政治三流 教育四流 外交五流


 こんな言葉があります。他国と交渉するにあたって、自分自身がどんなに誠実であっても、嘘をつかずに、卑怯なこともしない人や国であっても、相手は違うのです。必ずしも、誠実さに対して誠実さで答えてくれるような相手ばかりではないのです。


 第二次世界大戦で、日本には零戦という優れた戦闘機があった。当時としては、航続距離、重武装、優れた格闘性能を持った戦闘機だった。それに対して、米軍のグラマンF4Fワイルドキャットは劣った戦闘機だった。よって、F4Fは連戦連敗。だから米軍はどうしたか。グラマン二機で、零戦一機と戦う戦法を編み出した。
 当時の日本は、武士道精神だったので「1対1で戦え」「卑怯なことはしてはいけない」という教えがあったので、二機で一機をやっつけるという戦法は無かった。そのようなことを相手がしてくるとは想像していなかった。他にも色々な要因はあったが、一例として、この様な理由もあって、第二次大戦後期では、零戦も負けてしまった。


 人としての徳目を教えることは非常に重要だ。しかし、時と場合によっては、その徳目が、自らの命を危険にさらすこともあるのだと言うことを、我々大人が子どもたちに教えなければならない。
 「やってはいけない」といいつつも、嘘をつくこと、卑怯なことを教えずして、我々は、相手から嘘をつかれたとき、相手が卑怯な手段を用いてきたとき、そんな時の自分たちの身を守る術を、教育されてこなかった。これが、私たち大人も含めて、多くの日本人の悲しき現状だ。


 良い意味でも、悪い意味でも、私はこれからの日本人は、もっと「ずる賢くなって欲しい」と思う。


2011年01月14日