大韓航空における大人の対応

　旅好きの人には是非追体験して欲しいのだが、対馬比田勝港から釜山港にかけて、韓国の大亜高速海運が高速船を運航している。往路も復路も韓国人ばかりで、希少な日本人として乗船した私は、そこに座っているだけでいたたまれない思いをしたことを今でも覚えている。
　船の中には、「独島は韓国領」と書かれているポスターが至る所に貼られていた。しかも各種アナウンスは韓国語だけで、日本と韓国間のフェリーでありながら、日本語によるアナウンスは一切なかった。
　あのような屈辱的体験が、今の私の思想に大きく影響を与えていることは間違い無い。

　さて、今回訳あって、大韓航空に搭乗した。韓国系航空会社は、アシアナ航空ばかりを利用していたが、大韓航空を利用したのは初めてだった。何を期待して搭乗したわけではなかったが、ちょっとしたことに気がついた。
　アシアナ航空で使われる地図では、当たり前のように日本海が、「East Sea」と表記されていた。これに対して、大韓航空では、空欄になって何も表記がなかった。本来ならば、「Sea of Japan」と表記されるべきであろう。しかし、韓国籍の航空会社である。さすがにそれはできないだろう。それならば空欄でという対応に、私は大韓航空なりの「大人の対応」を見た気がした。

　もちろんだからといって、日本の航空会社も日本海の部分を空欄表記しろとは言わない。日本海は日本海でいい。しかし、ことさら日本海か、東海かという日韓の対立点をあおるような対応をしないだけだ。

　日本はことさら他国の国民を挑発するようなことは避ける国民性ではあるが、日本人として、日本の立場をハッキリと言うべき時は言えるだけの自己主張できる人材を大いに育てていこうではないか。
　「沈黙は金」は日本人同士でのみ通用する価値観である。外国との交渉にあっては、「雄弁は金」のごとく大いに自国の立場について説明できる人材が政界に求められる。
　何も語らない「沈黙は金」であっては、外国人は日本人のことを何も考えていないバカだと思うに違いない。

2011年01月19日