田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
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日刊田中けん

長崎市議会の視察報告書を読む

 3月17日(木)本会議最終日、今期最後の本会議において、平成22年12月14日・15日に行われた長崎市議会の視察報告書が配られた。


 議会運営委員会による1泊2日の議員視察である。


 報告書の中で特に私が興味関心を持った部分を簡単に紹介する。あわせて、【】内に、江戸川区議会の実態と、私のコメントを書き添える。


★長崎市の概要
人口   44万人
世帯数 18.8万世帯
面積   406k㎡
予算額  2082億円
議員数  49人


★委員・会派の所感
 「新年会・忘年会など飲酒を伴う会合への政務調査費の支出について」に関連して質問したところ、「新年会・忘年会は論外。酒の入る会合には政務調査費は認められない」と軽快な答弁がありました。
【ちなみに江戸川区議会は、新年会・忘年会は1/2を経費として認めている】


 一般質問の時間については、通告書で質問内容を通知し、再質問は自席で一問一答形式で行っており、個々の割り当て時間も多く(60分)、配慮されていると思いました。
【ちなみに江戸川区議会は、一人会派に対して、年間20分。二人会派の場合は、毎回10分(=年間40分)。三人会派の場合は、毎回15分(=年間60分)。三人会派までの少数会派は、極端に質問時間を制限させられている。つまり少数会派に対する配慮がない】


 政務調査費が15万円。【江戸川区議会は、20万円/月額】


 長崎市議会は政令海における一般質問の日数は4日間。【江戸川区議会の一般質問の日数は2日間】
 質問時間も一人30分を保障。【既述】
 約半数の議員が質問している【江戸川区議会は、44人の議員の内、多くても10名前後。一人会派には、年一回の質問機会しか保障されていない】


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 さて長崎市議会を視察してきた報告書を読んでの私の感想である。


 議員視察は大いにしてきた方がいい。それは委員会視察であろうが、個人視察であろうが、海外視察であろうが、大いに江戸川区以外の世界を見てきた方がいい。
 問題はそこで学んできたことをいかに江戸川区政に生かしていくかと言うことだ。
 行政に対する様々な施策は、提言すると言う形で生かされる。最終的に議員の主張を採用するかしないかは、首長に権限があって、必ずしも議員提案が実現するとは限らない。
 しかし、議会改革についての問題に、区長は関係ない。自分たちが決めれば良いだけのことであって、議会改革が進まないとしたら、それは議会人だけの責任である。(つまり、区長をはじめとする行政に責任はない)


 それでは、今回、長崎市議会を視察して、議会運営委員会の面々は大いに勉強してきたのだろうから、それを江戸川区の議会改革に活かして欲しい。
 一般質問の時間増に関しては、一人会派等から、再三再四、要望し続けてきたことだが、ずっと無視されつづけてきた。
 正直、今の自公2/3体制(議員定数44名の内、自民党と公明党の議員の合計が30名である。この30名が常に一糸乱れず議会内で動き、大勢が決まってしまうため、他の議員が賛成しようが、反対しようが、採決には全く影響が無い状態のこと)の中で、議会改革は無理だと思う。自民党と公明党は、何も問題意識を持っていないので、全くもってやる気が感じられない。一人会派の主張を踏みつぶすことはしても、その小さな声に耳を傾けて、議会全体として、何かを変えていこうとする気概がない。


 私は長崎市議会で学んできた議会運営通りに、江戸川区議会も議会運営を行えば良いと思う。一般質問は4日間にして、毎定例会全ての議員に対して、一般質問を希望する議員に対しては、最低30分の質問時間を保障する。これだけでも、随分と江戸川区議会は活性化するはずだ。


 しかし、長崎市議会から帰ってきた議会運営委員会で、この長崎市議会の議会運営を真似ようという話は全然聞こえてこない。江戸川区議会は江戸川区議会であり、何も変えようとしていない。
 それならば、何のための長崎市までの議員視察だったのだろうか。
 何も学ばず、何も江戸川区議会に反映しない議員視察ならば、意味ないではないか。
 少なくとも、視察に参加した議員各位は、個人の見解で、長崎市議会における議会運営に関して、それを江戸川区議会に応用して考えた場合のコメント、つまり真似る、真似ないなどの見解を表明した方が良いのではないだろうか。
 真似るつもりもなく議員視察したのであれば、今後、議会運営委員会では、議員視察する必要性を感じない。
 真似るつもりで議員視察したのであれば、今後、江戸川区議会の議会運営に大いに反映していただきたい。


 はたして、江戸川区議会は、何のために、長崎市まで議会の視察を行ったのであろうか。


 「賢者は愚者からも学ぶ。愚者は賢者からも学ばない」


 これ以上書くと、「田中けんは江戸川区議会の名誉を大いに傷つけた」との理由で、また問責決議案が可決されるかもしれない。
 江戸川区議会とは、そういう議会です。


2011年03月19日